「認知症による資産凍結に挑む「スマート家族信託」」
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【代表取締役 磨 和寛 氏 略歴】
生年月日:1979年9月26日
出身高校:立教高校
立教大学法学部卒業後、司法書士資格を取得。資格取得後から都内司法書士事務所勤務。
2009年トリニティグループ創業。
司法書士法人トリニティグループ代表
2020年トリニティ・テクノロジー(株)設立、代表取締役CEOに就任。
【トリニティテクノロジー(株)】
【設 立】 2020年10月30日
(グループ創業 2009年7月1日)
【資本金】 619,270千円(資本準備金含む)
(2021年11月24日時点)
【所在地】 東京都港区新橋2-1-1 山口ビルディング1階
【事業内容】スマート家族信託に関する事業、TRINITY LABO.に関する事業
【売上高】 N.A
【従業員数】約80名(グループ)
【グループ】司法書士法人トリニティグループ、弁護士法人トリニティグループ、行政書士法人トリニティグループ
<起業家インタビュー>
認知症による資産凍結に挑む「スマート家族信託」
■「家族信託」とはどのような制度か教えてください
高齢化社会が進む日本では認知症高齢者・軽度認知障害の総数は1000万人を超えています。 認知症高齢者が保有する銀行預金・有価証券・不動産等の資産は200兆円にも上り、日本の家計金融資産の10.4%を占めると言われています。その資産凍結問題は、家族のお金の不安増大を引き起こしています。2000年4月に裁判所監督下の制度である「成年後見制度」がスタートしましたが、高額なランニングコストや、資産活用・運用は認められにくい等の理由により、認知症高齢者のうち、利用はわずか4%未満に留まっています。 そこで裁判所の関与なく家族で財産管理が可能な「家族信託」が2016年頃から注目されるようになりました。
■「スマート家族信託」の財産管理サービス内容を教えてださい
家族信託した財産をAPIで銀行口座情報等を取り込み、スマホやタブレット内のアプリで管理することができる国内唯一の財産管理サービスです。アプリ内で収支を記録し信託帳簿や報告書を自動作成、受託者である親族関係者や専門家(司法書士・税理士)が資産管理状況をモニタリングします。月額利用料は1,980円から。安心・安全で手間なく便利に財産を管理いただけます。
■トリニティグループについて詳しくお教えください
300件以上の信託組成実績を有する国内トップクラスの司法書士法人を中心に、弁護士法人・行政書士法人があります。2015年頃から家族信託の分野に参入しトリニティ・テクノロジー株式会社を2020年10月に創業後、2021年5月に「スマート家族信託」をローンチしています。■銀行・証券会社との提携もスタートしています
4月からは横浜銀行との業務提携もスタートし顧客紹介を受けています。ご紹介いただく顧客の資産額は平均1.3億円で金融機関の預り資産増加にも貢献しています。全国の400社以上もの税理士との業務提携先があり「TRINITY LABO.」の運営を通じて家族信託に関するコンテンツ提供を行うことで、我々の知見を積極的に他の専門家に開示し、業界の専門家の育成をはかることを目指しています。
■司法書士によるスタートアップ起業は珍しいと思います
大学を休学して24歳までバンド活動に注力しましたが、音楽活動では食えず、かといって就職もできず、国家資格取得を目指しました。最終的には大学は卒業しましたが、高卒資格でも取得できる司法書士試験に働きながら猛勉強して、27歳で合格しました。登記や裁判所提出書類作成など従来の司法書士業務には全く関心がなく、上場企業等の組織再編等の企業法務を担当していました。
2009年に司法書士法人を設立、当時はリーマンショック後で企業再生案件に関わるようになりコンサル型営業を展開していきました。ある弁護士先生からは「国家資格者が営業するとは何事だ。価値を下げてしまう」と叱られた事もありますが、税理士や弁護士との勉強会を通じて顧客基盤を広げました。
■株主には錚々たる方々を迎えています
レオス・キャピタルワークス代表取締役の藤野英人氏、Chatwork代表取締役の山本正喜氏、辻・本郷グループ会長の本郷孔洋氏、三優監査法人創設者の杉田純氏にはエンジェルラウンドで出資いただきアドバイザーとして事業を応援いただいています。 昨年10月にはジャフコグループ等VCから総額6.1億円を資金調達しました。■『エイジテック×フィンテック』のリーディングカンパニーを目指しています
私どものミッションは、超高齢社会の課題を解決し「ずっと安心」の世界をつくる事です。「スマート家族信託」の SAM(Serviceable Available Market)は、75歳以上の世帯資産のうち信託される財産を5%と仮定した32兆円であり、それに対するシェア率70%を目指しています。自社コンサルタントからパートナー士業との提携、最終的にはエンドユーザーに課金できるSaaSモデルを構築しIPOを実現したいと考えています。
(2022.4.7 interviewed by 國本行彦)
※「THE INDEPENDENTS」2022年5月号 - p6-7より