「低軌道の人工衛星のためのクラウド地上局プラットフォームを開発」
=$DATE?> 公開
=$CORP_NAME?>
=$CORP_KANA?>
=$CORP_KANA?>
=$PERSON_POSITION?> =$PERSON_NAME?>
=$PERSON_KANA?>
=$PERSON_KANA?>
【代表取締役 粟津昂規 氏 略歴】
生年月日:1987年1月7日
出身高校:岩手県立黒沢尻北高校
慶應義塾大学在学中に趣味の無線技術研究から映像伝送会社を起業。その後、防衛省・自衛隊(陸自)にて地上通信/衛星/サイバーセキュリティを担当。会計ソフトのフリー㈱を経て、2020年にSkygate Technologiesを創業し代表取締役に就任。第一級陸上特殊無線技士。
【スカイゲートテクノロジズ(株)】
設 立 :2020年2月
資本金 :31,000千円
所在地 :東京都渋谷区代々木1丁目30番14号
事業内容:クラウド地上局プラットフォーム及び地上局関連支援
<起業家インタビュー>
低軌道の人工衛星のためのクラウド地上局プラットフォームを開発
近年商業目的で小型の人工衛星が数多く打ち上げられ、直近でその数は年間1,000機以上に。人工衛星と地上間の通信・接続サービスが求められています
当社は人工衛星と地上をつなぐクラウド地上局プラットフォーム「Skygate(スカイゲート)」を開発し、サービス提供をしています。これまで、人工衛星と地上間の通信に必要な設備は、人工衛星を打ち上げる国家組織や大手企業が構築し、運営してきました。しかし、商業目的で地球観測データを入手し、活用したい企業にとって、通信設備を自前で準備するとなると億単位の巨額な資金が必要となります。そこで我々が提供する人工衛星と地上間の通信接続サービスやデータ転送サービスを利用いただくことで、システム構築や実運用までにかかるリードタイムを大幅に短縮でき、コストも下げられます。宇宙からの地上観測データを活用するビジネスが急速に広がっています
1機100kg~1,000kgの小型人工衛星を打ち上げ、比較的近距離である地上500-800キロ付近から取得された地上観測データを商業目的で活用したいと考える企業が当社のターゲットです。観測対象は、たとえば港湾、都市、道路、農地や山林、鉱山の採掘現場です。変わったところでは大型不動産の建設進捗状況の監視や、5Gゲームに登場する都市のアイデアを得るためなど、目的や用途には幅広いニーズがあります。サービス提供のためには高度な無線技術と高い調整能力が必要です
宇宙との通信に必要な無線の割り当ては許認可制のため、人工衛星と地上局プラットフォーム間の通信で混信がおこらないよう、所管監督庁である総務省の担当部局、他の人工衛星を運用している会社と事前協議や調整を行います。人工衛星の軌道上に別の人工衛星が飛行しているなど、現場オペレーションは実はかなり複雑で、調整には時間がかかります。政府間調整さえ必要な場合があります。代表の粟津さんは異色のご経歴です。起業したきっかけを教えてください
元々無線通信に興味があり、慶應義塾大学理工学部在学時に、インターネットでのライブ配信技術を研究し、映像配信会社を起業しました。東日本大震災で防衛省・自衛隊の活動に触れたことがきっかけとなり、入隊することとなりました。通信・サイバー分野を担当し、軍用通信衛星の実運用を経験しました。自衛隊を辞めた後に勤務したクラウド会計ソフトの Freee ㈱ではセキュリティマネージャ/セキュリティPMを務め、金融庁等との調整も経験しました。一方、かねてより抱いていた無線や人工衛星に対する熱は冷めませんでした。並行して、国内の小型衛星開発会社にエンジニアとしてコミットし、IaaS/地上局設備を手伝ううちに、現在の宇宙通信サービスにおける課題を発見しました。軌道に投入されている人工衛星群を連携させ、一つの機能やサービスを達成する「衛星コンステレーション」に強い興味とビジネスの可能性を感じ、2020 年 2 月にスカイゲートテクノロジズ㈱を設立しました。
宇宙との通信には無線知識と経験が不可欠で、私自身、第一級陸上特殊無線技士や電気通信主任技術者(伝送交換)の資格を持っており、実務も担うことができます。
サービスの特徴や強みを教えてください
サービス提供企業がすぐにインターネットで利用できるSaaS型のサービスを提供している点です。人工衛星と地上局間の通信にはいわゆる統一規格のようなものがなく、様々な通信規格が混在しています。我々はソフトウェアを使い、通信規格の違いをまとめて吸収し、多種多様な通信規格をサポートできます。また、複数の人工衛星との通信にも迅速に対応することができ、顧客がスケールをすることが容易です。お客様には従来必要となっていた衛星毎に地上局を開設するような個別投資もいらず、利用量に応じてお支払いいただくサブスク型モデルとなっております。 リードタイムが短いことからも、お客様にとってもメリットは大きいです。通信アンテナは他社製品に比べるとかなり小型です
通常直径7メートル程度のものが多いですが、当社のアンテナは横3.5メートル、縦2.4メートルです。小型アンテナのアイデアは自衛隊での経験が生きています。すぐ展開ができ、簡単に撤収できるメリットがあります。国内でアンテナを製造しているのは3社ほどで、費用も大型のものになるとかなり高額になります。そこでアンテナは弊社が資産として持ち、1基あたり最大50機の人工衛星からデータを送受信することで、コストを抑え、サービス提供を行っていく計画です。スカパーJSATが最大手ですが、世界市場における競合はどういったところでしょうか
全世界では現在20社程度が我々の市場に参入しています。宇宙との通信は、地理的にも通信環境に優れるノルウェーのスバールバルにあるアンテナが有名で歴史も古く、通信サービス提供企業ではKSATというノルウェーの企業が世界最大手で、近年売上が前年比の3倍になるなど急成長中です。AmazonのAWSなどSaaS型のサービスも増えつつあります。しかしながらノルウェーの一か所だけで、地球全体をカバーするのは難しい点が我々にとっての商機です。弊社は英語が社内共通語であり、社員も国際色あふれるメンバーが揃っています。アンテナ1号機の完成は間近です
国内では3社と取引実績があり、通信運用を当社が担っています。すでにアンテナ試作機は完成しており、1号機となる地上局設備は今年の夏の完成を目指し現在製作中です。2号機以降も順次製作していきます。周囲が開けていて風速60メートルを超えないアンテナ設置候補場所の選定と用地確保を進めています。既に1万機程度の人工衛星が地球の軌道上を周回しており、イーロンマスク氏率いるSpaceX社の計画も壮大です
今後も毎年1,000機程度の人工衛星の打ち上げが予想され、イーロンマスク氏が率いるSpaceXのStarlink(スターリンク)プロジェクトでは1万を超える人工衛星を打ち上げ、世界の人々にインターネット接続を提供するという計画さえあります。地上局の運営には年間およそ1,000万円の通信コストがかかっており、この市場を我々はターゲットとしていきます。市場規模は2026年には世界全体で4-5,000憶円程度と考えらえており、我々はこのうちの10%程度獲得を目指しています。人工衛星1機あたり月額70-80万円でのサービス提供を考えています。現在自前で地上局を運営する企業に対する運用代行も計画に入っています。一昨年の8月に慶応大学系VCであるKIIから出資を受けるなど、事業成長に期待が寄せられています
米国、中南米、アジアに拠点を持つ小型人工衛星を打ち上げている海外の企業からも、アジアでデータを地上に落とせる通信拠点が欲しいというニーズがあり、引き合いが来ています。人工衛星が日本の上空を通過することからチャンスがあります。幸い「日本企業だから貴社は信用できる」とおっしゃっていただくことも多くあります。資金調達を成功させ、着実にビジネスを大きく成長させていきます。応援をよろしくお願いします。(2022.1.11 interviewed by 大東理香)
※「THE INDEPENDENTS」2022年2月号 - p4-5より