「M&Aで進化する日本型VCとベンチャー企業」
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アント・キャピタル・パートナーズ株式会社
代表取締役会長 尾崎 一法さん
1949年8月2日生。浦和高校出身。上智大学経済学部卒。石川島播磨重工業(現IHI)を経て、1984年日本合同ファイナンス(現ジャフコ)へ入社。取締役国際営業部長、取締役事業投資部長を歴任する。1998年から日本国内で本格的なマネージメントバイアウト投資を行う。総投資実績は約110億円。1999年、上級副社長としてGEキャピタルへ参画。GEの日本における本格的なプライベートエクイティ投資事業の立ち上げを行う。総額200億円のプライベートエクイティ・ファンド設立。2001年4月、当社代表取締役就任。2004年、日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)理事就任、2011年7月より同協会副会長。*2014年7月11日同会長就任。2005年より日本プライベート・エクイティ協会理事。2014年1月よりインデペンデンツクラブ理事。
住所:東京都千代田区丸の内1-2-1 東京海上日動ビルディング新館5F TEL:03-3284-1711
設立:2000年10月23日 資本金:3,086,945,965円
http://www.antcapital.jp/
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私は1984年にベンチャーキャピタル(VC)のジャフコへ転職しました。それ以来30年にわたり、日本のプライベートエクイティ(PE)業界に対して考えてきた事を今日は質問形式でお話いたします。質問(1):なぜ日本のVCは米国VCのように儲けることができなかったのか?
その理由は、シリコンバレーからの直輸入型VCは、日米の環境の違いから上手くワークしないからです。
・資金の質量
日米では、VCに支援され大成功し大富豪になれた起業家の社会的地位と数、そしてベンチャー資金の出し手としての年金基金、大学年金、財団の量と質が圧倒的な違い
・社会風土
日本は、先祖伝来の家業、プライド高き一国一城の主、中小企業の国だが、米国は、成功者を称え、成金を認め、誰もがBIG(力を持つ人)を目指す社会
・経営観
突出した個人の能力に権力を集中し徹底した結果主義を貫く米国式経営に対し、日本式経営は、組織的平等と融和を重視し、個人より全体の利益を重視する
・商慣習
全て経済合理性に基づいて人は行動すると考え高い報酬を是認する米国と、長年の付合いによる信頼に対して利益を削ってこれに応える村社会構造の日本。武士に二言はない、契約書を水臭いと考える日本の創業経営者マインドと、人種、言語、慣習の違いの全てを契約書でカバーせざるを得ない米国社会との違い。
質問(2):それでは日本ではどんな投資スタンスを取るべきか?
VCもバイアウトもセカンダリーもPEです。市場による株価変動リスクがある公開株式と違い、未公開株式であればVCとかバイアウトとかセカンダリーという壁はありません。そこには中堅中小企業に対する投資とEXITのための戦略があるだけです。日本の国情に合った日本型VCのあり方を本気で考え、固定概念を打破し、生存をかけて進化しなくてはなりません。
質問(3):ではどうしたら投資利益をあげることができるか?
売却重視のM&A的発想に基づく投資戦略が必要です。上場も「公開市場で売却する」という投資戦略の一つです。したがって投資チームはM&Aによる投資と売却のプロ集団で構成し、投資先はM&A売却に向いた案件だけに絞る。案件は待つのではなく、こちらから仕掛け創り上げる。そのために経営者を養成し、経営陣をそろえ、自らの経営能力を高め、付加価値を供給できる自前のビジネス・ネットワークを持つ事が重要です。すべての局面においてM&A的発想に基づいて投資開発から回収までを考えます。
アント創業時の第1号ファンドは、M&A的発想に基づく明快な投資方針を持っていました。
・買手が欲しがる案件に集中し、投資と同時に売却を考える
・投資担当者が専門(得意)または好きな事業内容であること
・対象企業の企業文化(社風)がアントの価値観と違和感がないこと
・投資期間は3年を目標とし、4年目中に売却が可能なこと
・適正価格(EBITDAの4倍以内)での買収に徹する
・キャッシュフローが黒字または1年以内に黒字化が可能なこと
・企業統治が可能であれば投資シェアにはこだわらない
従来型VCファンドのプロセスは、いかに将来性のある企業に投資するかという所までが勝負だと考えていました。しかしどんな投資機会でも、一定の投資要件をクリアすれば、後は投資後のハンズオンによるValue AddとEXIT(回収)戦略がリターンを決めると、アントでは考えます。
質問(4):M&A成功の秘訣は?
これからの中堅中小企業はM&Aで成長拡大を加速させる事が大切です。M&A成功のカギは業務統合と企業文化統合です。対等合併は失敗します。企業文化の統合を軽視し、戦略上の適合性にばかり気を取られ、企業文化の適合性を忘れてしまうとM&Aは失敗します。合併の成功に戦略以上にとはいわないまでも、同じくらい企業文化統合は重要です。
最後の質問:VCの役割とは?
「一人でも多くの起業家を世の中に送り出すこと、そして全力を挙げて成功を支援すること」。
そのためにVCが持たねばならない資質とは・・・
・起業家の潜在能力を感じ取れ、事業計画の可能性を見極められる投資経験を蓄積し、起業家が迷った時に背中を押してやり、挑戦する勇気を与えられる人間力を持つこと
・追加資金投入で難しい判断を迫られた時でも投資家の信頼を背景に決断できること
・困難を克服して成長する起業家を見守り、信頼し続けることができる勇気と忍耐力を持つこと
・EXITに際しては世界中から上場すべき証券市場や投資先と投資家にとって最適の売却先を探せること
これは私の理想であって、現実にはとても難しい事だと感じています。VC投資に失敗はつきものです。その中から1社でも成功するようにと願っています。ご静聴ありがとうございました。
2013年9月9日 東京インデペンデンツクラブ
【特別インタビュー】日本で成功する投資モデル(アント・キャピタル・パートナーズ 尾崎一法氏)
【VC紹介】国内だけでなく海外の出資者にも評価される(アント・キャピタル・パートナーズ)
※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年10月号 - p12にてご覧いただけます