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「個性ある野菜で食卓に驚きや感動を届けられたらと思います」

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らでぃっしゅぼーや株式会社
会長 緒方 大助さん

1960年福岡県福岡市生まれ。1993年キューサイ青汁株式会社(現・キューサイ株式会社)入社。2000年らでぃっしゅぼーや社長に就任。2006年MBOでキューサイから独立。2008年ジャスダック上場を果たす。2013年同社会長就任。

設 立:1998年5月17日 所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル
事 業:有機・低農薬野菜、無添加食品、環境にやさしい日用品などの会員制宅配事業
従業員:245名(パート・アルバイト164名) 年商:220億円(2012/2月期)
http://www.radishbo-ya.co.jp/

らでぃっしゅぼーやは、有機野菜・低農薬野菜や無添加食品を、「自社便による定期宅配」と「インターネット通販」の2つのチャネルより販売しています。全国2,600軒の生産農家と契約し、7箇所の物流センターから11万世帯のご家庭へ、旬で安心安全な野菜をお届けしています。

お客様は30-40代の子育て層が最も多く、お子さんに安全なもの、健康によいものを食べさせたいというニーズがあります。当社では「RADIX」という業界最高レベルの厳格な商品取扱基準を設け、「安全でおいしいこと」「持続可能で環境にやさしいこと」などをチェックし、安心・安全が担保された商品を提供します。

ビジネスモデルは「食のSPA」、商品の企画から物流、販売までのバリューチェーンを一貫してマネジメントします。農作地や加工工場を持ってはいませんが、直接販売を通じて「お客様のニーズ」を理解しており、その要望にお応えできる商品は何かについて、契約生産者やメーカーの方々と一緒になって企画をしています。安心・安全ならでぃっしゅぼーやブランドとして、PB商品は全体の9割にのぼります。

取扱商品は年間8-10,000アイテムありますが、私が代表に着任した2000年1月は野菜のみ3,000アイテムでした。都市部で暮らすお客様は毎日有機野菜を料理したい訳ではなく、カップ麺や冷凍食品のような簡便な商品も求めています。安心安全や健康を求めているお客様に、らでぃっしゅぼーやの基準を満たした簡便な商品も取り揃えることができればニーズがあると考えました。早速大手小売店のPOSデータを購入し、PI値(レジ通過客1000人あたりの購買指数)より上位10位を抽出、当社に欠けている商品開発をはじめました。結果ワンストップで生活シーンにあった商品をお買い求めいただけるようになり、お客様を増やすことができました。これが実現できたのも生産者やメーカーの方々と私達の近さであり、今でも毎年1000の新商品が開発されています。

らでぃっしゅぼーやの価値は現場にいくということ。社長以下ほぼ全社員が、最低でも年1-2回は必ず契約農家さんを訪問するようにしています。それはRADIX基準が守られているかチェックをするためだけではありません。生産者と会って、土地を見て、お客様のニーズは何か、売れるにはどうしたらよいのか、現場には知恵が転がっており商品を生み出すチャンスです。大ヒット商品である「甘エビの頭の唐揚げ」は、それまでは廃棄されていたものに担当者が着目し商品化しました。現場に売る視点を持ち込み価値のなかったものに価値を見出すこと、労を惜しんで儲けることはできません。

とかちの魅力はやはり広大かつ肥沃な農地です。畑がひとつながりなので農作業がしやすく、作業効率化によりコストも下がります。じゃがいもなど単品目栽培をされている農家が多いイメージをお持ちかと思いますが、お客様・小売のニーズに合わせて多品目栽培に切り替えて成功している農家も増えています。多品目でも工夫すれば単品目より作業性を上げることは可能です。北海道の野菜セットボックス(詰め合わせ)はとかちの泉さん農家に支えられています。

らでぃっしゅぼーやは、「安心だね」「おいしいね」「健康的だね」だけでなく、こころや情緒によい影響を与える食を届けていきたいと考えています。昭和30年代には東京で30種類の大根が買えたのに、今では効率性を重視するばかりに品種改良によって消えていった野菜がたくさんあります。農作物が無個性化しているのです。当社には作りにくくて消えていった野菜を作ってくれる契約農家さんとのつながりがあります。固有種や在来種を発掘して契約農家さんに生産してもらい、個性ある野菜で食卓に驚きや感動を届けられたらと思います。

<レポート> 2013年8月22日「フードバレーとかち産業セミナー」当日の様子

※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年10月号 - p11にてご覧いただけます