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「宇宙太陽発電衛星の実現化に向けて」

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【賀谷 信幸氏 略歴】
生年月日:1949年8月5日
出身高校:都立小石川高校
京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修了。マイクロ波無線送電を中心とした宇宙太陽発電衛星の研究者。神戸大学大学院工学研究科教授、システム情報学研究科長を経て、2016年WaveArrays(株)を設立し代表取締役に就任。2019年Metasat(株)を設立しCTOに就任。


【Metasat(株)】
【設 立】2019年6月12日
【所在地】141 Duke St. E. Kitchener, Ontario, N2H 1A6 Canada
【資本金】0千円
【株 主】Oqab Dietrich Induction Inc.、WaveArrays(株)
【役 員】(CEO)Haroon B. Oqab、(CTO)賀谷信幸、(CFO)George Dietrich
【事業内容】宇宙太陽発電衛星・マイクロ波無線送電の研究開発・事業化
【売上高】N.A
【従業員】3名


宇宙太陽発電衛星の実現化に向けて


■宇宙から地上へマイクロ波で送電

宇宙太陽発電衛星とは、宇宙空間に太陽電池を備えた衛星を配置して太陽光発電を行い、その電力をマイクロ波に変換し地球上へ送電するというコンセプトです。1968年に米国のピーター・グレーザー博士が提唱して以来、その実現に向けて研究が進められており、日本では1990年代から調査・研究が始まっています。天候や昼夜を問わず常時発電可能で、例えば5km×10km四方の太陽電池を用いれば、原発5基分に相当する500万kWhの電力供給が可能という試算があります。ここ数年、脱炭素社会の実現に向けて世界各国が舵を切る中、CO2排出量が極めて少なく、安定的に巨大な発電を行うことのできる宇宙太陽発電衛星は、再び脚光を浴びています。



■宇宙太陽発電研究の集大成として

私自身は1980年代より宇宙太陽発電におけるマイクロ波を用いた無線送電に関する研究に従事し、国内外での実証実験で成果を上げてきました。開発してきたアクティブ・フェイズド・アレイ・アンテナ技術を元に創業したWaveArrays(兵庫県尼崎市)と、NASAやESA(欧州宇宙局)とも強いコネクションを持ち、高いロケット技術を保有するColumbiad Launch Services(カナダ)と合弁で設立したのがMetasatです。宇宙太陽発電で必須となる宇宙からのマイクロ波送電の正確なエネルギー・ビーム制御技術を有し、私の長年に亘る研究成果と若いCEOの行動力で、このクリーンで無尽蔵な新しい電力源の実用化を推進していきます。

■2050年の実用化に向けて

宇宙太陽発電衛星の実現のために、小型衛星による宇宙実証が3年で20億円、赤道軌道の試験衛星が5年で100億円、静止軌道の試験衛星が8年で1000億円、静止軌道の実用衛星が10年で1兆円と、長い時間と巨額の開発投資が必要です。この度、欧州宇宙機関の研究公募で第一審査(約80件中4件)を通過するなど、公的資金の獲得に向けてカナダ宇宙庁やNASAに対してもアプローチしています。また、マイクロ波送電の制御技術をドローンへの無線給電や成層圏プラットフォームへの長距離無線給電へ応用し、段階的な収益事業の創出も図ります。各国のカーボンニュートラル実現目標の2050年までには実用化計画を達成すべく、一歩ずつ歩みを進めていきます。

※2021年11月号掲載時点での情報です