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「認知症や重症狭心症、不整脈治療に変革をもたらす医療機器」

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生年月日:1961年11月24日
出身高校:嘉穂高校
京都大学大学院農学研究科修士。富士フイルムHDにて研究開発マネジメント、新規事業開発に携わった後、王子HDで医薬品・医療機器の研究開発、事業開発に従事。2016年東北大学ベンチャーパートナーズへ入社。2020年9月に当社の代表取締役就任

【 サウンドウェーブイノベーション(株)】
【設 立】2020年4月1日
【所在地】東京都中央区日本橋堀留町1-9-10
【資本金】175,000千円
【株 主】THVP、下川宏明
【役 員】(代)白土健太郎、下川宏明、山下翔 (監)尾中直也
【事業内容】低出力パルス超音波等医療機器の開発と事業化
【売上高】0千円(2021年3月期)
【従業員】7名

認知症や重症狭心症、不整脈治療に変革をもたらす医療機器


■LIPUSで認知症治療を変えていく

  当社は、東北大学 下川宏明名誉教授(現国際医療福祉大学副大学院長、医学部教授)グループの研究成果をもとに、低出力パルス波超音波(LIPUS)および衝撃波アブレーションカテーテルシステム(SWCS)の医療機器開発と臨床開発を行っています。これらの医療機器は、軽度アルツハイマー型認知症、MCI(軽度認知障害=認知症予備軍)、重症狭心症、不整脈等の治療現場に変革をもたらします。

超音波は1998年より骨折治療などに広く用いられていますが、下川らは、LIPUSがヒトの血管内皮細胞に作用し、一酸化窒素合成酵素(血管拡張)や血管内皮増殖因子(血管新生)などの発現を亢進するという作用機序を見出したことにより、微小循環不全が関連する幅広い適応症の治療手段となる展望が広がりました。


■不整脈治療向け「SWCS」

  2001年から、下川名誉教授の指導により、衝撃波アブレーションシステムの研究が始められ、こちらも当社の将来事業のパイプラインです。これは、難治性の頻脈性不整脈(Vt,Vf)を治療する技術で、従来型のアブレーションカテーテルと比較し、深い患部の治療が可能で、血栓、表面・周辺組織の損傷も少ない特長を有しています。

■認知症治療と今後の展開

  当社の3つのパイプラインですが、ひとつめのLIPUSによる認知症治験は、今年度中に探索的治験を終了させ、検証的治験を日本、次いで米国で行うことを計画しています。ふたつめのLIPUSによる重症狭心症治験も今年度中に終わり、検証的治験へ移るかどうか検証します。そして、SWCSを用いた不整脈についての治験は来年に開始する計画です。

国内の認知症患者数は、2025年には730万人に達すると予想され、内、約270万人が軽度とされています。さらに、軽度認知障害は、2025年には約630万人に達すると予測され、あわせて約900万人がLIPUSの治療ターゲットになります。

認知症の疾患修飾薬のひとつであるアデュカヌマブが、今年の6月に米国食品医薬品協(FDA)より迅速承認を取得しましたが、安全性や医療経済の懸念もあり、日本における承認については議論が続いている途上です。当社の試作品のプロダクトデザインはほぼ固まり、来年早々に完成予定です。LIPUSの知財(4件)とSWCSの知財(4件)は、全て東北大学等から当社に引き継いでいますが、今後、追加出願を行い、さらに事業体制を強くしていきます。また、海外の医療機器メーカーとのアライアンスを進捗させ、組織強化と事業モデルの確立を目指して進みます。

※2021年10月号掲載時点での情報です