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「学生ベンチャー「動物園を応援するしくみ『KAI主』」」

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【毛笠 龍之介氏 略歴】
生年月日:1999年10月10日
出身高校:兵庫県立洲本高校
2018年徳島大学理工学部入学。徳島大学の課外講義である「イノベーションチャレンジクラブ」をきっかけに、2019年当社設立、代表取締役就任。


【(株)KAI(カイ)】
【設 立】2019年11月18日
【所在地】徳島市南常三島町2-1 徳島大学研究支援・産官学連携センター内
【資本金】300千円
【株主】 経営陣、スターインベンション(株)、顧問
【役 員】(代)毛笠龍之介、前田晏里
【事業内容】給餌装置および給餌システムの開発販売 【売上高】300千円(2020年10月期)
【従業員】2名


<起業家インタビュー>

学生ベンチャー「動物園を応援するしくみ『KAI主』」



■徳島大学 学生ベンチャーとして起業

創業のきっかけは、徳島大学イノベーションプログラムで課題として出された、「ベアリングを活用した製品の開発」を考えていた時に訪れた動物園で、動物が動き回っていないことに気付いたことでした。多くの動物園では、動物の運動不足は深刻で、それが動物の短命化にもつながっていることを知り、さらに、公立動物園のうち黒字経営はわずか1園のみであることに驚きました。

そこで、まず、動物の運動不足の課題解消を目的とした、エサやり機と遊具を合わせた装置の開発を、香川県の「しろとり動物園」にご協力をいただきながら進めました。2019年4月にクラウドファンディングも成功させ、給餌装置『kuru・kuru』を開発しました。「動物に質の良い暮らしの提供」をミッションに掲げ、大学の仲間とともに自社を起業し、装置関連の特許も申請しました。



■動物園の収益構造を改善する

欧米の動物園の収益は、入園料、行政補助、寄附金とその基金運用益という、3つの太い柱によって支えられています。欧米では入園料がおおむね千円から2千円ですが、日本では入園料は500円程度であり、収入の柱としては弱い状況にあります。そこを行政補助で支えており、寄付金も少ないことが動物園経営上の大きな課題です。

そこで、当社は一般の方が動物園経営にかかわり、応援するしくみ「KAI主(飼い主)」をスタートさせました。これは、動物園にいる動物の共同飼い主になれる権利です。「KAI主」になると、飼い主証明書が発行され、ライオンやゾウなど、普段ペットしては有り得ない動物たちのサポーターになることができます。

■動物のいる豊かな暮らしを守る

当社は、国連が2030年までに達成すべき世界共通の目標として掲げるSDGs(持続可能な開発目標)「15.陸の豊かさを守ろう」の達成を目指しています。『kuru・kuru』から得られる動物の生活習慣に関するデータを生かし、野生動物の生態系の維持にも貢献していきます。

近年、少子高齢化が進んだこともあり、動物とのふれあいを求める人は増えており、ペット市場は1兆円規模になっています。我々は、動物園、動物を扱う方々、飼い主、そして地域のみなさんに喜んでいただける付加サービスを考え、発信していきます。

※2021年10月号掲載時点での情報です