「プロチームとして国内初の株式上場 スポーツビジネスでファンや株主を笑顔に」
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【代表取締役 早川 周作 氏 略歴】
生年月日:1976年12月17日
出身高校:志学館高等学校
明治大学法学部法律学科卒業。政治家私設秘書として入職。2011年ベンチャー企業支援を行うSHGホールディング(株)を設立し代表取締役に就任。2018年卓球プロ「Tリーグ」の開幕時に、チーム設立および琉球アスティーダスポーツクラブ(株)を設立し代表取締役に就任。
【琉球アスティーダスポーツクラブ(株)】
設 立 :2018年2月23日
資本金 :68,750千円
所在地 : 沖縄県中頭郡中城村字南上原1112-1 オーシャンビュー松山ⅡB1F
事業内容:Tリーグ所属卓球プロチーム「琉球アスティーダ」運営、飲食店運営、卓球スクール運営
従業員数:100名
<起業家インタビュー>
プロチームとして国内初の株式上場
スポーツビジネスでファンや株主を笑顔に
■今年3月に、国内プロスポーツチームとして初めて東京証券取引所が運営する TOKYO PRO Market(TPM)に上場されました。
ありがとうございます。創業から約3年で上場をしました。事業だけでなく、ガバナンスを強化した点なども評価いただけたと思います。北京オリンピック、ロンドン、リオと、卓球人気が高まっています。卓球Tリーグの試合は、Amazon prime Video、dTVチャンネルでライブ配信されていて、皆様にも楽しんでいただけます。■事業について詳しく教えてください
卓球プロTリーグ男子・琉球アスティーダのチーム運営、トライアスロンチームの運営、スポーツバル、卓球教室、卓球物販 ECサイト運営などがあります。そして『沖縄×スポーツ×○○』をテーマに企業のマーケティングを支援事業を展開しています。卓球プロTリーグには、男子4チーム、女子4チーム(今夏から5チーム)がリーグに所属しています。■創業されたきっかけを教えてください
日本人初のプロ卓球選手、オリンピック4大会に出場されTリーグの初代チェアマン、なおかつ明治大学卓球部OBでもある松下浩二氏から声をかけてもらいました。私も明治大学の卒業生です。「5才で始めて15才でメダルをとれるような競技は卓球以外にない。これは子ども達にチャンスを与えることでもあるのだよ」と言われ、松下氏の熱い思いに打たれ、チームを引き受ける決心をしました。しかし、意気込みとはうらはらに、初年度、リーグ最下位になりました。チームマネジメントを見直し、3年でリーグチャンピオンになりました。■御社はクラウドファンディングからはじまり、TPMに上場した、というところが素晴らしく、東京証券取引所がこのプロセスを認めたというところにもインパクトありました。資金調達を決意された時に迷いはなかったのですか
多少はありましたが、㈱日本クラウドキャピタル Founder CSO 松田悠介氏から、株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」の紹介を受けたことが大きかったです。スポーツはそもそもファンビジネスである。ファンに株主になっていただき、選手やクラブを応援し、会場でグッズ購入いただくなど、濃いファン層を囲い込みができる。私はこのBtoCのマーケットで、株式投資型クラウドファンディングは有益なしくみだと考えることができました。だからこそ、大変な上場準備をひとつひとつ進めていくことができたのだと思います。またスポーツビジネスには、これまでは出口戦略がなかったので、我々が初めて出口を示そう考え、困難でもやり切ろうと思いました。■次の資金調達やステップアッププランについてはいかがですか。
2023年マザーズに上場を目指しています。5年で上場でも最短コースだと言われている中、我々は、常に次のステップやガバナンス、経営の透明性を意識し、資金を積極的に投入しています。■先回りしてやっておくことが大事ということですね。事業収益性を高めることを、貴社はどうお考えですか
楽天の三木谷社長が、台湾に楽天カードを広める意図もあり球団をM&Aしました。これはスポーツに経営を入れるということです。我々は、BtoB、BtoCマーケティング会社としてIPOしようと決めていました。スポンサーへのテレフォンマーケティング支援、営業代行、業務委託といった形で業務を引き受ける場合もあります。データ分析もできますので、スポンサー企業に対して有益なマーケティングプランの提案も得意です。■他のスポーツリーグとも事業をすすめていらっしゃる
相談案件をいただいています。スポーツ観戦と組みあわせたバル経営やパブリックビューイングです。業務提携もしくは資本提携の話もあります。また、我々は月間ビュー3万人のプラットフォームを持っていて、沖縄で商売を始められたい企業や事業者方の相談にもすぐ乗ることができます。 今年の9月にTリーグ参加予定である女子卓球チーム「九州アスティーダ」を当社グループで持っていて、九州でこのモデルを用いて事業展開中です。この成功体験をもとに、他のスポーツリーグや他地域に横展開していく計画です。■海外への展開や、今後の目標についておきかせください
中国、アジア、欧州のスポーツチームやリーグからもお話をいただいています。前向きに検討していますが、一方で、参加いただく企業のメリットを我々が作れるのか、示せるのかが判断のカギになると考えています。地元資本による、地域に根差した経営をしたいと考えています。SDGsの観点からは、衣料廃棄問題と子どもの貧困率の拡大を結び付け、企業から集めた廃棄予定の衣料を、貧困家庭に届けるしくみを考えています。私は、単なるスポンサーシップだけでは不十分だと考えています。社会課題と企業課題の循環型モデルをつくることが必要です。我々は、沖縄発、九州、東北、北海道、世界へ広がるマーケティング会社として成長していきます。
(2021.6.11 interviewed by 小原靖明)
※「THE INDEPENDENTS」2021年7月号 - p4-5より