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「地元作物を使ったクラフトビールを世界に届ける」

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【鍛島 勇作 氏 略歴】
生年月日:1982年4月3日
出身高校:N.A
24歳から29歳までの約5年間で世界30カ国を周遊。商社勤務等を経て2012年ビアホールKAENを創業。2016年4月の熊本地震で被災。熊本発クラフトビールを作る事を決意し2016年に同社を設立。代表取締役就任。

【(株)ダイヤモンドブルーイング】
設 立 :2016年9月1日 
資本金 :17,500千円
所在地 :熊本県熊本市東区長嶺南3-1-102
事業内容:ビール製造、卸、販売、Eコマース、飲食事業

<起業家インタビュー>

地元作物を使ったクラフトビールを世界に届ける


■熊本地震でビールづくりを決意

当社は、地元熊本の特産品や農作物を使ったクラフトビールの開発から販売まで一貫して手掛けています。創業時は小規模飲食店経営からスタートしたのですが、2016年に熊本地震で被災したことが転機となりました。熊本の阿蘇は、世界の他の土地と比べても引けを取らないほど良質な水に恵まれており、雄大な自然があることを再認識しました。そして「熊本発のクラフトビールを世界に流通させる」という志を強くしました。

■捨てずに魅力を生かす

熊本には美味しい農産物が沢山ありますが、中には形や色、その他さまざまな理由で廃棄されています。そこで当社はJAや地元農家とタイアップし、廃棄される予定だった野菜やパンなどを使いクラフトビールの製造を行うことにしました。レストランに併設されているビールラボで、開発とビール醸造を行っています。これまで作ったビールは約70種類で「ごぼう」「甘草(カンゾウ)」「マルベリー」「すいか」などのフレーバークラフトビールが特徴です。賞も多数いただきました。国内流通だけでなく、イタリアやフランスなど海外輸出も既に始めており、海外には当社のファンもいます。1杯のビールには、人種や言葉の壁を越える力があります。

■今後の方向性

2年前の酒税法の変更(5段階に分かれていた税率の一律化)があり、今後10年で日本のクラフトビールシェアは10%程度まで伸びると予想しています。海外、特にアメリカではクラフトビール市場は急成長しています。世界のクラフトビールの約7割が缶で流通している実情にあわせて、当社は缶の製造ラインを持つ自社工場の建設を目指し、資金調達を図っていきます。
一方で、当社は小規模タンクを持つ強みがあり、国内の各自治体から地元特産物を利用した特徴あるビールづくりの依頼をいただいています。コンサルティング活動や製造受託、ビールによる「6次産業化」など地域産業の活性化にも寄与していきます。レシピ開発、原料調達、酵母自社培養、製造工程のデータ化などにITを上手く活用し、事業成長と効率化を進めていきます。

※2021年7月号掲載時点での情報です