「「オリゴジーニー」による再生医療」
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【城戸 常雄氏 略歴】
生年月日:1962年3月5日
出身高校:福井県立武生高等学校
京都大学卒業。神経内科医として患者の診療に携わる。1997年に遺伝子治療研究のため京都大学に助手として戻り、2000年より米国国立精神疾患・脳卒中研究所(NINDS)へ留学。2004年にStem Cell Medicine, LLCを米国で創業し、製薬企業と共同で再生医療製品開発を行う。2011年に新規ヒト神経幹細胞「オリゴジーニー」の開発に成功し、国内外で特許を取得。日本で臨床治験を行うため2015年に(株)オリゴジェンを創業。
【(株)オリゴジェン】
設 立 :2015年8月18日
資本金 :98,100千円
所在地 :京都府京都市左京区吉田下阿達町46京都大学医薬系総合研究棟
事業内容:幹細胞技術を用いた中枢神経疾患の治療法の研究開発
<起業家インタビュー>
「オリゴジーニー」による再生医療
■中枢神経疾患の治療をめざす
オリゴデンドロサイト(中枢神経系のニューロンの軸索が集まっている白質部分に集まる)が神経軸索周囲に作る髄鞘(ミリエン)が絶縁体としてうまく働いている場合、神経信号伝達は正常に行われています。ところが、外的もしくは病的な理由で脱髄(ミエリン異常)が起こると、神経伝達異常が発生し、麻痺や感覚障害などの重篤な症状を引き起こします。当社は幹細胞技術を用いた中枢神経疾患の治療法の確立をめざしています。中枢神経(脳)疾患の多くは有効な治療法がなく、患者さんは麻痺や脳機能障害により不自由な生活を強いられており、患者家族にも多大な負荷がかかっています。これらの疾患を治すべく、創業者自身が2010年に新しいタイプのヒト神経幹細胞「オリゴジーニー」を開発し、その大量培養方法を確立しました。2011年にこの細胞と培養方法に関して特許出願し、現在では日米欧を含む世界30カ国で特許が成立済みです。
これまで大阪医科薬科大学、京都大学との共同研究、自治医科大やNCNPから治験準備の協力を得ながら研究開発を進めてきており、今後は治験用細胞製造及び非臨床安全性試験を行い、その後臨床試験のフェーズに入ります。
■オリゴジーニーの持つ可能性
オリゴデンドロサイト(中枢神経系のニューロンの軸索が集まっている白質部分に集まる)が神経軸索周囲に作る髄鞘(ミリエン)が絶縁体としてうまく働いている場合、神経信号伝達は正常に行われています。ところが、外的もしくは病的な理由で脱髄(ミエリン異常)が起こると、神経伝達異常が発生し、麻痺や感覚障害などの重篤な症状を引き起こします。ペリツェウス・メルツバッハー病や多発性硬化症などの脱髄疾患への治療は、患部にオリゴジーニーを移植します。移植されたオリゴジーニーは、脱髄がない場合にはオリゴデンドロサイト前駆細胞(NG2グリア)の状態で長期間存在しますが、脱髄の生じた部位では髄鞘(ミリエン)を形成するために必須な細胞「オリゴデンドロサイト」に非常に高い効率で分化し、脱髄を修復します。オリゴジーニーは1週間で10倍、約30継代まで増殖可能で、選択的培地で培養するため精製操作が必要なく、凍結解凍に強い事から、他の神経疾患の再生治療技術と比べ、製造コストが非常に低く、造腫瘍性がないため安全性にも優れております。
またNG2グリアが抗炎症作用や神経細胞保護作用などの様々な機能を持っている事やNG2グリアの数の減少や機能障害による脳の炎症がアルツハイマー病の発症に関わっている事、アミロイドベータの排泄に関与している事などが報告されており、オリゴジーニーがアルツハイマー病、脊髄損傷や脳梗塞を含む多くの中枢神経疾患に対して治療効果があると考えられるため、これらの疾患に対する臨床応用に向けて研究開発を進めております。
■ビジネスプラン
再生医療製品のため第I/IIa臨床治験において安全性を示した後に条件付承認を申請し、治験中に市販を開始します。例えばペリツェウス・メルツバッハー病に対しては、1000-2000万円程度の薬価を期待しています。(脊髄損傷に対する治療薬として条件付承認を得た間葉系幹細胞のステミラック注の薬価は1495万7755円)。多発性硬化症、脊髄損傷、アルツハイマー病の患者本人のQOL改善や家族の負担軽減をはかるべく、再生医療を着実に実現化していきます。またオリゴジーニーの創薬応用に関しては、製薬企業と提携して進めていきます。
※2021年6月号掲載時点での情報です