アイキャッチ

「宇宙農業を実現する人工土壌づくり」

公開


【西田 宏平 氏 略歴】
生年月日:1993年12月6日
出身高校:滋賀県立石山高等学校
名古屋大学大学院環境学研究科卒業後、大手自動車部品メーカーに入社。設計業務、新規事業開発業務に従事。学生時代から思い描く宇宙農業の実現を目指して2020年当社設立し代表取締役に就任。

【(株)TOWING】
設 立 :2020年2月27日
資本金 :14,000千円
所在地 :愛知県名古屋市南区前浜通7-1-2 NTラボ
事業内容:循環型栽培システム(宙農)サービス

<起業家インタビュー>

宇宙農業を実現する人工土壌づくり


■高機能ソイルを提供する

当社は、次世代農業(CO2の排出量を抑え、持続可能な農業)に必要な良質土壌をつくる高い技術力および維持管理力を持っています。高機能ソイルは、植物の炭やスポンジ等の多孔体に、微生物や有機肥料を添加し、適切条件で管理しながら作ります。畑の良質な土壌づくりには、たいてい3年から5年くらいかかりますが、当社の技術と運営サービスでは約1カ月で可能です。農家、事業者、家庭向けの土壌や管理サービス提供をはじめ、近い将来は宇宙空間で作物栽培可能となるシステムを提供していきます。

■実証実験による成果

これまで、微生物による生物分解、二酸化炭素などのガスや水、あるいは植物の生育に必要な養分に変えるサイクル「土壌微生物環境」の再現は困難でした。しかし、当社のメンバーは、有機肥料栽培手法研究、環境学、そして技術の社会実装など多方面で経験を積んできました。小規模栽培実証実験(数拠点設置)を行いながら、このたび作物栽培ユニット「宙農園」β版リリースまでこぎつけました。 また、当社CDOの岡村は、京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員としてタンザニアに派遣された経験を持っています。世界には耕作不適の農地が多く存在します。当社は、各地で廃棄・放置されているもみ殻を使い、人工土壌として再利用し環境負荷をさげる構想を描いています。作物栽培実証は、病気にかかりにくく、作物の苦味やエグミを抑えることもできる、といった実験データも取ることができました(当社データ:硝酸態窒素濃度30%減)。

■今後の展望

2022年には自社工場を建設し、高機能ソイルの量産を実現します。その後、海外(例えばインドネシアやタイ)にも展開します。マネタイズは、初期費用として、高機能ソイルやハウスの導入費用、またランニングコストとして高機能ソイルの定期購入費や、土壌管理費用、環境検査費用を想定しています。フルパッケージ版だけでなく、例えば土壌管理作業の一部を購入者に担ってもらう廉価版も検討していきます。次世代農業や宇宙農業あわせた市場はおよそ3兆円規模と言われており、我々は食料危機も救い、かつ、宇宙農業を着実に実現していきます。


※2021年5月号掲載時点での情報です