「家事代行のミッションは、忙しい方々の大切な時間を創る事です。」
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【加茂 雄一 氏 略歴】
生年月日:1982年10月28日 出身高校:創価高校
2005年早稲田大学商学部卒業後、同年中央青山監査法人入所。2007年太陽ASG有限責任監査法人入所。2014年株式会社CaSy設立・代表取締役就任。
【株式会社CaSy】
設 立 :2014年1月30日
資本金 :451,295千円(資本準備金含む)
所在地 :東京都品川区上大崎3-5-11 MEGURO VILLA GARDEN 6階
事業内容:家事代行サービス事業
<起業家インタビュー>
家事代行のミッションは、忙しい方々の大切な時間を創る事です。
■家事代行事業者としては後発ですが、急成長を遂げています
2014年サービス開始以来、「業界最安値水準」「いつでもどこでも簡単予約」「質の高いキャスト」が評価され、日経DUALによる「家事代行サービスランキング」では2019年第1位に選出されています。私どもは家事代行のミッションを「お客様の時間を創出すること」と定め、KGI(経営目標達成指標)を”時間”に設定しています。■ユーザーはどのような方ですか?
私どものお客様は多忙な共働き子育て世帯やビジネスパーソンなど30~40代が中心です。家事代行は、あったら便利だなという富裕層向けのBetterな需要から、忙しい方のために時間を提供するMustなサービスになってきています。■家事代行するスタッフ(キャスト)はどのような方ですか?
40~50代の主婦の方を中心に現在は約6,000名います。家事が大好きな方が家事代行サービスを通じてお客様に感謝される事に喜びを感じる。私どものビジネスはキャストも笑顔にするサービスです。■キャストの品質レベル標準化への取り組みもポイントです
業界最高水準の報酬や充実した研修制度も整備していますが、何より仕事に対してロイヤリティの高いキャストがCaSyの信頼を創っています。私自身、キャストに直接会う機会をできるだけ設け、「笑顔の暮らしを、あたりまえにする」というビジョンや「大切なことを、大切にでき時間を創る」というミッションを共有するよう心がけています。■収益構造について教えてください
利用継続率を上げる事でサブスクリプション型(積み上げ方式)に近い収益構造になっています。お客様のLTV(顧客生涯価値)も重要な指標ですが、キャストのチャーンレート(離職率)は更に重要視しています。チャーンレートも毎年改善しており、非常に低いレベルを維持しています。■AIを活用した精度の高いマッチングシステムが強みです
従来は家事代行のサービス提供までに約2週間の時間を要していました。これに対し、当社独自のWebで完結するマッチングシステムによってコーディネータが不要となり、最短当日でもサービス提供が可能となりました。さらに今後はダイナミックプライシングによるマッチング率向上や、不在時でも利用できるスマートロック連携も推進していきます。■経営メンバーについて教えてください
創業メンバーは監査法人に勤めていた私と、NTTデータにシステム開発に従事していた現CFOの池田裕樹で、グロービス経営大学院で知り合いました。現在は、CHRO(人事採用関連)に白坂ゆき、エンジニア部門長にIT創業経験豊かな金子憲太郎、ビジネス部門長には家事代行事業経験のある三山晋大朗が経営メンバーに加わりました。■資金調達に関してはVCからだけでなく事業会社からも行っています
当初はVCからの資金調達が中心でしたが、様々の事業シナジーを見込める事業会社からも出資いただき事業連携を進めています。■サービス提供エリアは都心部中心になります
現在は、関東、関西、名古屋、仙台エリアで展開しています。東京での家事代行サービス普及率は世帯数の1%と、シンガポールの25%と比べてもまだまだ低く、成長の余地はかなり大きいと思っています。今後はマス広告も積極的に行っていきます。■これからどのようなスケール展開をお考えですか?
創業からの目標は、サービスレベルをNo1にする事、ユニットエコノミクスをあげる事でした。この6年間でそれを達成でき、これからの2020~2022年はスケールする事が目標です。そのために、家事代行事業を根幹とした「暮らしのプラットフォーム事業」を展開していきます。■様々なサービス業者と連携を広げていく事が暮らしのプラットフォームのポイントです
昨年度には、料理代行サービスでは生鮮宅配サービス「アマゾンフレッシュ」の買物代行と連携しました。他にも暮らしの中でお客様の時間を創るサービスを拡大するために、いろいろな会社との提携戦略が重要になります。■先行するサービスプラットフォーム事業者との差別化はどのようにお考えですか?
家庭内へつながるラストワンマイルを押さえているのが当社の価値です。例えば、エアコン清掃は当社キャストの気づきから提案する事でマッチングを広げることができます。頻度高く家庭内へ訪問する機会があり、そこから得られる様々な情報を専門業者とつなげることで、これまでにないマッチング機会を創出することができると考えています。■人口減少の中で働き手(キャスト)の確保をどのように行いますか?
研修品質を維持しながらも期間短縮するなど即戦力化も進めながら、現在は人材を多く抱えている会社とのアライアンスや、将来的には海外からも活躍できるキャストに来ていただくことも考えています。(2020.2.4 interviewed by 國本行彦)
※2020年3月号掲載時点での情報です