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「次代の教育に教員が安心して取り組める環境づくりに貢献します」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真右)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社アズコミュニケーションズ
代表取締役 佐々木孝氏(写真左)
生年月日:1971年4月5日 出身高校:大分県立宇佐高等学校
熊本学園大学卒業後、トヨタ自動車系列住宅メーカーを経て2007年(株)アズ・サウンドミュージックを設立、代表取締役就任。2011年に商号を(株)アズコミュニケーションズに変更。

【株式会社アズコミュニケーションズ】
設 立 :2007年5月18日
所在地 :福岡県福岡市中央区天神2-3-36-4F
資本金 :29,562千円
事業内容:学校向けシェアリングサービスの提供
URL :http://www.azcom.ne.jp/

<特別対談>これからのIPOスタイル

次代の教育に教員が安心して取り組める環境づくりに貢献します


■学校向けの教材シェアリングサービス

小原:貴社は学校や教育施設を対象に楽器や武道具、部活用品のシェアリングサービスを行っています。
佐々木:私はトヨタ自動車系列の住宅メーカーを経て、家業の楽器店を継ぎ、楽器のレンタルサービスを行っていました。2000年に教育指導要領の改定で中学校での和楽器指導が必修となり、購入費用や指導者不足で困っている声を聴いたことがきっかけで、この事業を引き継いで当社を設立しました。
小原:地元の大分でのサービス開始から19年を経て、北海道から沖縄まで全国で取引を行うほどに成長しました。
佐々木:現在は中高の音楽科、体育科を対象とした教材シェアリングサービスを提供しており、今後は幼稚園・保育園の理科を対象に新しいサービスを提供していきたいと考えています。配送費用や不具合時の商品交換費用、商品の故障による修理費用なども原則当社が負担しており、学校側のコスト削減に貢献しています。契約後の解約率は5%以下で、7~8年の継続が見込めるため、顧客獲得コストが低く、利益率が高いビジネスモデルが特徴です。
小原:多くの楽器は1年間に3回転以上で収益化できる構造になっているため、事業のリスクが低く、予実管理がしやすい点もポイントだと思います。今後も安定的な成長が見込めそうですね。

■科目・学年における横展開の可能性

小原:各科目におけるアイテム数の拡大、そして対象となる学年の拡大という2つの横展開が期待されます。
佐々木:最近では同じ学校の中で時期に合わせて複数の商材・科目で利用されるなど、顧客単価が上がってきています。プログラミング教育など、ICT関連のコンテンツへの進出も視野に入れており、今後も教育の変化に合わせて商材を増やしていきたいです。
小原:現状では目立った競合企業はありませんが、今後メーカーや販売店が参入する可能性はあるのでしょうか。
佐々木:閉鎖的と言われている学校には容易に参入しづらいと思います。当社は全国の学校で年間1万件の商談を行うなど既に全国の学校・教員とのネットワークを確立し、営業のノウハウを構築している点が強みです。先行して30%程度のシェアを獲得することを目指しています。
小原:学習塾などの学校以外の教育業界への進出も考えると、拡大の余地はまだまだありそうですね。

■株式上場に向けて

佐々木:これまでは単年度で利益回収できる商材を中心に扱っていましたが、IPOによる資金調達を経ることで新しい商材への投資を進めていきたいと思っています。
小原:IPOを意識し始めたのはいつ頃からですか。
佐々木:5年前の2014年頃です。それまでにも上場企業の経営者から話を聞いていたものの、自分には到底できないと思っていました。しかし監査法人の先生から「当たり前のことを当たり前にやっていれば、難しいことではない」と言われたのがきっかけで、IPOを目指すことを決めました。
小原:早めに監査法人や証券会社とコンタクトを取っておけば問題ないと思います。真に社長として注力すべきなのは、直前期から企業価値を高めるための次の事業展開を仕込んでいくことです。
佐々木:教材による直接的な教育の支援だけでなく、教師のサポートによる間接的な教育支援にも進出したいという想いがあります。直近では、教師専用のオンライン上での情報共有プラットフォームの構築を検討しており、将来的には、当社が窓口になって、他の企業も学校に入っていけるような仕組みを作りたいと考えています。
小原:貴社が教育業界をあらゆる角度から支える一大企業に成長することを期待しています。上場に向けて頑張ってください。本日はありがとうございました。


※「THE INDEPENDENTS」2019年11月号 - p14-15より
※掲載時点での情報です