アイキャッチ

「レーザー応用計測技術の工業応用展開を進める徳島大発ベンチャー」

公開


【出口 祥啓 氏 略歴】
生年月日:1962年10月17日 出身高校:三島南高校
豊橋技術科学大学・同大学院卒業後、三菱重工業(株)入社。航空宇宙技術研究所、国立環境研究所を兼務。2010年徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部教授。2017年より社会産業理工学研究部教授。

【株式会社Smart Laser & Plasma Systems】
設 立 :2018年2月26日
資本金 :13,500千円
所在地 :徳島県徳島市南常三島町2丁目1番地 徳島大学大学院社会産業理工学研究部内
事業内容:先端レーザー・プラズマ技術を用いた計測技術の研究開発
従業員数:4名



レーザー応用計測技術の工業応用展開を進める徳島大発ベンチャー


■CT半導体レーザー吸収法技術の社会実装を担う

 当社は先端レーザー・プラズマ技術を用いた計測関連機器の設計、製造、販売を行う徳島大学発ベンチャー企業です。私は徳島大学大学院の研究室で、2010年から2019年にかけて、光通信用の半導体レーザーを用いた燃焼用の温度計測技術と医療分野で活用されているCT技術を融合させ、世界で初めて原理検証されたCT半導体レーザー吸収法を開発しました。この研究成果を社会に還元し、地域の雇用創出や地域社会へ貢献することを目指すべく、2018年2月に当社を設立しました。

■多様な環境でガス温度・濃度分布の計測が可能

 エンジンやボイラーなどの燃焼機器や半導体製造装置などの化学反応機器の開発の際には、機器内のガス温度や濃度の分布情報が必要です。従来は熱電対やガスサンプリング法などを用いた測定が行われてきましたが、接触・点計測方式であるため機器内全体の温度・濃度が測定できないことや、時間応答性が低いといった課題がありました。これらの課題を解決すべく、高精度の空間分布計測技術が求められていました。当社のCT半導体レーザー吸収法を活用することで、機器の大きな改造や機器の状態を乱すことなく、2次元、3次元での高精度且つ時系列・リアルタイム計測が可能になります。この技術は様々なアプリケーションでの活用が可能で、発電プラントやエンジン、鉄鋼プロセス、半導体プロセスなどの高度制御や開発の高効率化、歩留まり向上などが期待されています。

■今後の事業展開

 CT半導体レーザー吸収法については、徳島大学を主導機関として、自動車やレーザー計測機器メーカーなど16機関を含むコンソーシアムを結成しており、当社でも装置販売を進めております。また、徳島大学にて開発したLIBS(レーザ誘起ブレークダウン法)の装置化を進めている他、産業機器向けの次世代制御プラットフォーム開発を開始しました。海外展開も積極的に進めており、中国やマレーシアへの販売が開始しているほか、中国の西安交通大学との共同技術研究開発を行っています。国内外での早期社会実装に向け、技術の向上とさらなる研究を進めていきます。

※2019年11月号掲載時点での情報です