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「支援システムで安心・安全な歯科インプラント手術を実現する」

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【曺 柄炫 氏 略歴】
生年月日:1981年10月3日 
韓国(デグ)出身。2010年韓国国立慶北大学電子電気コンピュータ学部修士課程修了。2014年九州大学大学院医学系医学府博士課程修了。2014年Koh Young Technology Inc. 医療機器開発部 課長就任。2015年日本学術振興会外国人特別研究員就任。2019年九州大学先端医療イノベーションセンター特任助教就任。


【Safe Approach Medical(株)株式会社】
設 立 :2017年3月22日
資本金 :10,300千円
所在地 :福岡県福岡市早良区百道浜3−8−33
事業内容:歯科インプラント手術支援システム事業、医科用手術支援システム事業 他
従業員数:0名



支援システムで安心・安全な歯科インプラント手術を実現する


■歯科インプラント手術ナビゲーションシステムの開発

 当社は歯科インプラント手術向けのナビゲーションシステムの開発を行う九州大学発ベンチャーです。もともと九州大学院での私の研究成果の社会実装を目指しており、福島県の地域復興実用化開発等促進事業費補助金に採択されたことを受けて起業しました。当社のナビゲーションシステムは、赤外線センサーを用いて対象物の3次元位置を計測し、既存のCTを基にドリル先端と患者口腔内の位置関係を計算、直感的にわかるよう3D表示することができます。既存のドリルシステムに追加する形であるため、導入コストが低い点が特徴です。システムについての周辺特許やビジネスモデル特許を4件取得しています。

■速くて正確な手術で患者の負担を軽減

 インプラント手術の際には、初めに顎骨に直径3ミリ程度の穴をあけ、チタン製のインプラント体を埋め込みます。6週間~半年でそれが定着した後、義歯を上から被せる方法が一般的です。従来は術中に顎骨に孔をあけるドリルの先端位置がリアルタイムにわからないため、設計した位置の通りにインプラント体を埋入することは困難でした。従来の手法では一本当たりの手術時間は約50分でしたが、当社のナビゲーションシステムによって30分以内に短縮できるだけでなく、誤差1mm以内、低侵襲での手術が可能になり、患者への負担が大幅に軽減されます。
 また、これまでは土台の手術後に患者の歯列の石膏型を取り、歯科技工所で義歯を作成していました。しかし、ガイドシステムを通して設計通りにインプラント体を埋め込むことが可能になれば、設計時点のCT画像に基づいて義歯を作成でき、作業の効率を上げることにも期待できます。

■今後の事業展開

 020年度内に薬事法認証を受けるべく、認証機関と話を進めています。初年度の販売台数30台を目指し、UI・UX面の改良も進めていきます。当社は設計と開発に注力し、製造と販売は提携先の専門商社に委託する計画です。今後はナビゲーションシステムとロボットを組み合わせ、ドリルを所定の位置まで自動で動かすガイドロボットの作成を検討しています。今後も安全・安心かつより良い手術支援システムの提供を通して医師や患者の満足度を高め、信頼されるパートナーになることを目指します。

※2019年10月号掲載時点での情報です