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「(株)ラテラ、(株)アール・アンド・エー・シー」

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松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事




 (株)ラテラの荒磯氏は、「無菌人工土壌を活用した次世代の植物工場システムによる健康社会への貢献」をめざして、葉物中心の植物工場から、LA TERRAブランドでカブやニンジン等の品種も栽培できる植物工場を目指しています。インテリアグリーン用品という領域で報道でも取り上げられていますが、今後地域農業振興に資するには、次のような利点と課題を克服する必要があります。
 (株)アール・アンド・エー・シーの高山氏は、入金/回収特化型ソリューションパッケージに特化して、15年間継続して事業を進化させてきました。(株)ラクスからの事業・資本連携もあり、5年後のIPOを目指していますが、クリアにする課題もあります。
 質疑応答では活発な議論をいただきましたが、2社のさらなる進化を期待し、講評といたします。
 今回の事業計画発表会では、弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士の高橋正憲氏、(株)AGSコンサルティング IPO戦略部長の末廣正照氏にコメンテータとして知財戦略や資本政策に関するアドバイスをいただきました。
 また、会員スピーチでは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)イノベーション推進部スタートアップグループ主査の牧野泰丈氏より事業説明がなされました。

No.969 株式会社ラテラ(代表取締役 荒磯 慎也 氏)

①火山地域に豊富に存在する仁木ゼオライトを活用した無菌人工土壌の量産加工技術を

 水耕栽培が主流の高額設備ではなく、ゼオライトの骨格構造に菌コロニーなしの植物栄養肥料分子を吸着させ必要量の肥料が流出する無菌人工土壌を活用したインテリアグリーン用品のキットまで開発してあります。しかし、農業就業者の激減を救済するためには、インテリアキットを超えたゼオライトの大量加工技術が不可欠です。

②市場性あるIT活用の植物工場完成までの省力・自動化・流通までのビジネスモデル再考

 根菜を含めた多様な野菜を実験場で作ることは検証できましたが、土壌改良型の減農薬露地栽培とも競合します。植物工場まで立ち上げるには、IT活用のソフト技術・流通等バリューチェーンを構築する自社技術の強さを活かした総合的なローコストビジネスモデルを再考する必要があります。

③安心安全な食生活を提供するインテリアグリーン用品に特化するのも一手法

 現在若者やニューファミリーの健康志向、創作料理やユニークなレストランに挑戦する等社会の多様性に加えて、ネットを活用した暮らし方や生活の情報発信が活発になっています。自社技術を高付加価値製品としてマネタライズするかの足元を固めるために、札幌ブランドを打ち出し、インテリアグリーン用品に特化するのも一手法です。


No.970 株式会社アール・アンド・エー・シー(代表取締役社長 高山 知泰氏)

①Victory-ONEという入金/回収特化型ソリューションのストック型ビジネスの特性

 お客様の圧倒的な声は、消込作業の効率化で作業が激減したという単純作業の合理化が可能になったということです。一回合理化が進むと以前の手作業に後戻りはできず、ファンがファンを呼ぶ好循環でストック型ビジネスが実現しています。調達資金をマーケティング投資に投入し、短期の導入事業者の拡大を期待します。

②Victory-ONEシリーズのクラウド化時代の競争激化の可能性対応

 中小企業向けV-ONEクラウドWSを2017年リリースし、今年には全従業員とのコミュニケーションの量を増やし「働きがいのある会社」にも選ばれました。しかし、非代替的知財で参入障壁を築けるビジネスではなくソフトパワービジネスです。クラウド化時代にむしろ競争激化の可能性がありますので、シェアの一気拡大を期待します。

③入金/回収特化ビジネスの横展開の可能性を

 入金回収管理は、自動消込・仕訳出力・滞留債権・残高管理等正確であって当たり前のプロセスです。お客様にとって資金の効率化提案、回収資金の効率的運用、具体的な営業順位の提案等、現在の特化ビジネスの横展開をオプションとして開発・提案し続けることを期待します。


2019年4月8日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて