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「「『死の谷』を乗り越えろ ~創業は易く守成は難し~」」

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株式会社システムサポート
代表取締役 小清水 良次 氏

1956年石川県出身。星稜高校出身。名古屋商科大学卒業後、1980年に創業直後の(株)システムサポートに入社し、エンジニアとして金融・情報サービス業向けメインフレーム開発などを担当。1990年専務取締役就任、1994年代表取締役就任。(一社)石川県情報システム工業会副会長、金沢商工会議所評議員も務める。


講演レポート


■デスバレーを乗り越える必要条件

 起業すること自体は容易ですが、そこから事業として成立させ、黒字化させていくには創業者の情熱と覚悟が試されます。起業時の夢を絶やさず、いかに財務戦略と事務戦略の両輪のバランスをとるかが重要です。
 私は、起業から黒字化までの間にあるデスバレー(死の谷)を乗り越えるには、以下のABCDEが重要だと考えています。Ambitious=目的があり、夢を持っていること。Believe=仲間や可能性を信じること。Commitment=いかに計画・準備をして覚悟を決めて責任を負うか。Do=机上で考えてばかりではなく、実行すること。Enjoy=どんなに苦しくても心の余裕をもって楽しむこと。この5つをそろえることが起業家として必要だと思います。

■従業員持株会が筆頭株主で上場

 私は星稜高校出身で、情報処理科でプログラミングについて3年間学びました。大学卒業後に名古屋で就職した後、1980年に金沢に帰郷し設立間もないシステムサポートに転職しました。IT業界の成長とともに事業は拡大しましたが、1991年のバブル崩壊に伴う不動産投資の失敗で創業者は引退しました。1994年に私が代表取締役に就任した当時は財政的に厳しい状態でしたが、従業員全員で一致団結し4年間で累積損失を一掃できました。ちょうど次の目標を探していた時に、(株)アイ・オー・データ機器の細野会長の講演で「私たちの上場から10年近く経つが、地元からIT系の上場会社が出てこない。今後に期待している」という言葉を聞いて上場を目指そうと決めました。同時に社員向けに株式募集を行ったところ、予想外にも8000万円が集まりました。社員の力強い後押しを受けて、絶対に上場しようと決意を強めました。結果18年かかりましたが、2018年についにマザーズに上場できました。未だに従業員持株会が当社の筆頭株主になっています。

■尖った技術力を強みとして、業界でのポジションを確立

 日本のIT業界において当社のような独立系のソフトウェア企業が勝ち残るには突出した強みを持ち、それを活かせるフィールドを選ぶことが重要です。
 例えば、当社はオラクル社のデータベースの最高峰の認定資格「ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g/12c」の保有者数が国内累計で3位、単年で2位(2018年8月時点)であることを活かして、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure等のクラウドへのデータベース移行の技術的なサポートを行っています。当社の場合は社員の技術力の向上が、お客様をご紹介いただくことにつながり、成長の大きな原動力になっています。

■従業員から新しいサービスが生まれる環境をつくる

 今後は収益性の高い自社開発のプロダクト分野を伸ばしていく計画です。そのためには、社員からうまくアイデアを引き出して支援することが会社として重要だと考えています。例えば『SHIFTEE(シフティ)』というクラウド型のシフト管理システムは社員の発案でスタートしたサービスで、今も発案者が主体となって事業を進めています。また資格取得の補助といった形で社員に投資していくことが、社員のモチベーション向上に繋がっています。社員一人一人が着実に成長しているからこそ、当社全体が成長し続けられているのだと思います。


<会社概要>

設 立 :1980年1月29日
資本金 :717百万円
所在地 :石川県金沢市本町1-5-2 リファーレ9F
事業内容:ソリューション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業 他
上 場 :2018年8月2日 東京証券取引所マザーズ市場上場(4396)
時価総額: 4,235 百万円(公開時)、9,680百万円(初値時)
業 績 :18/6期(連結) 売上高 9,970百万円 経常利益 368百万円
     17/6期(連結) 売上高 8,865百万円 経常利益 254百万円


2019年3月22日北陸インデペンデンツクラブ@石川 ITビジネスプラザ武蔵にて