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「沖縄から全国の地方企業の成長・発展に貢献していきます」

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【髙山 征嗣 氏 略歴】
1968年福岡県生まれ。大手民間信用調査会社、大手ディスクロージャーサービス会社でのIPOコンサルタントの経験を経て、2009年(公財)沖縄県産業振興公社に籍を移し、新産業の創出に向けた、研究開発支援事業、ファンド事業を手掛ける。2012年官民共同事業体として(株)OKINAWA J-Adviserを設立。2016年度内閣府沖縄振興局 政策企画調査官を拝命。

【株式会社OKINAWA J-Adviser】
設 立 :2012年7月30日
資本金 :330,000千円(準備金含む)
所在地 :沖縄県名護市字豊原224-3 名護市マルチメディア館104
事業内容:株式上場審査・支援事業、コンサルティング事業
従業員数:18名


<起業家インタビュー>

沖縄から全国の地方企業の成長・発展に貢献していきます


東京プロマーケットとオキナワベンチャーマーケットの両輪で
金融・産業双方の集積による産業振興を目指す起業家


■東京プロマーケット(TPM)のJ-Adviser業務と異業種交流イベント事業を行っています。

当社は、沖縄県の産業振興事業政策の一環として2012年7月に行政主導による官民出資によって設立されました。現在はTPMの上場審査を行うJ-Adviser事業とB2B事業である「オキナワベンチャーマーケット」を中心に県内外の様々な企業の企業価値向上と資金調達を支援しています。強い沖縄経済の構築を推進しつつ、成功モデルを全国で応用することで、日本の地方経済全体の活性化と日本資本市場の活性化に貢献することを目指しています。

■これまでの沖縄は上場企業が少なく、商圏が県内に限定されている企業が多い傾向がありました。

沖縄はかつて「万国津梁」と称され中継貿易で栄えた国際交流都市でした。現代においても地理的に近い台湾や中国の企業の日本進出の入口となっており、日本中から観光客が集まるためテストマーケティングやサンプリングにも適しています。現状を打破し、沖縄に日本と世界の架け橋となる強くしなやかな自立型経済を構築するには、強い企業を育成しつつ企業が民間資金を活用できる仕組みを構築しなければいけません。

■沖縄での起業に至った経緯を教えてください。

私は前職で沖縄県の公的ファンドとVC設立支援に携わったことがきっかけで2009年に沖縄県産業振興公社に転職しました。一方で金融の集積のために株式上場を活用して企業価値を向上する方法を模索していたところ、TOKYO AIM取引所(現在のTPM)設立を契機に、日本の各地域に疑似的な証券市場を構築し民間企業として継続的にベンチャーを支援しつする産業振興プラットフォームを創ることができるのではないかと考え、2012年7月に当社を設立、同年11月にJ-Adviser認定を受けました。

■TPMは上場企業29社のうち7割が地方の企業である点が特徴です。

当社がJ-Adviserを担当しているのは沖縄県の(株)碧、WBFリゾート沖縄(株)、四国の(株)デンタス、アザース(株)、東京の(株)シンプレクス・ファイナンシャル・ホールディングス、(株) global bridge HOLDINGS、クボデラ(株)の7社です。TPMの投資家は特定投資家(プロ投資家)に限定されており、企業に対する規制が大幅に緩和されています。マザーズ上場のための足掛かりとして資金調達を目指す企業や、社会貢献性が高く信用度を高める目的で上場する企業、スピンアウトや事業承継のために上場する企業など様々なモデルの企業が上場しています。

■ローカルファースト型の上場モデルを推進しています。

例えば徳島県の(株)デンタスの場合は、県や中小機構、地元銀行によって設立されたとくしま市場創造ファンドが投資をしていた先で、当社とJ-Adviser契約を結びTPM上場を果たした後、徳島合同証券が特定投資家口座の開設を行い、取引先を中心とした地域法人が特定投資家として市場で株式を購入しました。さらに上場による信用力の向上によって阿波銀行が好条件にて運転資金の融資を行いスムーズな資金調達環境が整備されました。私たちはこのような地域金融機関との協働による地域完結型上場モデルを全国各地に横展開し、沖縄だけでなく日本中の地方都市を活性化させることを目指しています。

■2018年12月には第9回オキナワベンチャーマーケットが開催されました。

オキナワベンチャーマーケットは、ビジネスマッチングや商談会のように特定の目的にフォーカスしたものではなく、幅広い対象・ニーズに応えることのできる「ビジネスフェア形式の異業種交流会」と定義し、これまでになかったパブリックでリアルなビジネス交流の場となっています。イベントを通して日本だけでなく中国、台湾などの国や地域を超えた新たなネットワークを創造し、沖縄を日本と世界の情報が集まる最先端の地域へと進化させてきたいと考えています。沖縄から海外投資家を日本の市場に引き込むことができれば、TPMも“世界へのゲートウェイ市場”と考えられるようになるのではないでしょうか。

■今後の抱負をお聞かせください。

常に30社程度の企業と契約をしながら毎月1社の上場を担当し、今後もJ-Adviser事業を核として収益を上げていくことが目標です。将来はTPMの上場企業が1000社になるまで市場を成長させたいと思っています。大げさな数に見えるかもしれませんが、全国の各都道府県で20社ずつ上場する、と考えれば十分実現可能だと考えています。ローカルファースト型上場モデルの全国展開とベンチャーマーケットによるリアルなマッチングの場の提供という両輪で地方産業を活性化し、日本の資本市場全体を盛り上げていきます。



(2018.12.8 文責:大森)


※掲載時点での情報です