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「製造業のIoT化における一大プラットフォーマーを目指す」

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【細井 雄太 氏 略歴】
1982年生まれ。洛星高校出身。同志社大学工学部エネルギー機械工学科卒業。2009年アイシン精機入社。生産技術者として工法開発、生産ラインの企画、海外生産拠点立ち上げ、工場の合理化に従事。2016年当社設立、代表取締役就任。

【ものレボ株式会社】
設 立 :2016年2月1日
資本金 :16,200千円
所在地 :京都府京都市中京区町頭町112菊三ビル304
事業内容:工場の自動化・IoT化による生産性向上を支援するシステムの開発
従業員数:6名



<起業家インタビュー>

ものレボ(株) 細井 雄太 氏

「製造業のIoT化における一大プラットフォーマーを目指す」


IoTによる町工場の業務効率化を行うベンチャー
日本の製造業を再び世界トップにすることを目指す起業家


■これまで町工場ではIoT化が進んできませんでした。

金型部品の町工場では十人~数十人程の従業員で一品ものや小ロット品の作業を行うためライン化や機械化が難しく、毎月数百~数千案件の膨大な作業工程をホワイトボードやエクセルで管理していました。その結果リアルタイムでの進捗がわからず納期が遅れたり、得意先からの急な発注のために敢えて予定を空けておく必要が生じたりするという問題がありました。

■小ロット部品加工管理ソフト『小ロットスケジューラ』を開発しました。

『小ロットスケジューラ』は、金型部品などの高付加価値でニッチな部品製作工場をターゲットとした工程管理ソフトです。パソコンやタブレットからワンタッチで作業実績をリアルタイムで入力でき、作業員が日報を作成する必要がなくなるだけでなく、管理部門における集計業務も不要になります。計画の不備は自動で警告するため納期を守れるようになるほか、今まで見えてこなかった隙間の時間を明確にし、効率の良い計画を立てられるようになります。

■なぜこの事業を始めたのですか。

同志社大学で機械工学を専攻し、ものづくりが好きだったことからアイシン精機(株)に入社して生産技術者として工法開発や日米拠点の生産改革に従事しました。日米の様々な現場を見てきた中で気づいたのは、日本は米国と比較して技術力は優れているにもかかわらず情報伝達が未だに紙媒体で行われており、生産性が低いということです。そこで、工場のIT導入による効率化によって技術大国日本をもう一度世界に誇れる存在にしたいという想いで事業を立ち上げました。

■貴社の強みを教えてください。

従来の生産管理パッケージソフトは多機能で操作が複雑なために現場ではうまく使いこなすことができず、活用が進まないケースが多数ありました。『小ロットスケジューラ』は私の前職での生産管理ノウハウや生産現場への技術導入のノウハウを活かして実際の製造現場で実験と改善を繰り返し、必要最小限の機能に絞り込むことで作業員が説明書を読まずに使いこなせるほど簡単な操作性を実現しています。

■現場の声にすぐに対応して新しい機能やサービスを開発しています。

開発当初は使いやすさを重視して機能を最低限まで絞っていましたが、当社のソフトで現場管理だけでなくバックオフィス業務やデータ分析まで一貫して行いたいという声を受け、機能拡張を進めています。一方、端末への作業データ入力を省きたいという現場のニーズを受けて開発したのが『いきなりIoT』です。『いきなりIoT』は、『小ロットスケジューラ』で作成した作業指示書を専用のクリップで挟み、従来通りに現場で指示書を回すだけで自動的に作業データ収集ができるサービスです。

■スケジューラの販売戦略について教えてください。

現在は金融機関や自治体と共同でのセミナーを中心に顧客を開拓中ですが、今後は協業企業による他業種への代理販売も強化していきます。10月に機能拡張版が完成した後から本格的な拡販を進めます。お客様から海外の工場でも導入したいという声が上がっているため、近年中の海外展開も検討しています。

■データビジネスへの事業拡大を進めます。

単品部品製造から金型製造など他業種への横展開を進めながら、『小ロットスケジューラ』による製造業務の標準化によるプラットフォーマーを目指します。クラウド上に集まるスケジューラのデータを通して全国の工場の稼働状況を把握できるオンライン上のプラットフォームを形成し、発注者と工場のマッチングビジネスを展開します。工場側に対しては、他社と比較して自社の作業効率が全国的に優れているのかどうかを相対的に評価できる指標を提示し、経営分析やAIコンサルティングを行っていきます。当社のシステムが日本発の新たな生産方式として世界中に広がり、世の中に新しい価値を提供することを目指します。

(2018.8.9 文責:大森)