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「「光技術はKey Enabling Technology」」

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光産業創成大学院大学
理事長 晝馬 明 氏

1956年静岡県生まれ。米国ニュージャージー州立ラトガース大学コンピュータ・サイエンス専攻卒。光センサ/光源メーカーである浜松ホトニクス(株)に入社し、米国法人社長を経て、2009年同社代表取締役社長に就任(現任)。2010年ベンチャー/中小企業による光技術を応用する新しい産業の創成を支援している光産業創成大学院大学の理事長に就任。2013年「浜松光宣言」に署名し、光技術応用産業育成のための新しい連携システムを提唱。


今日は浜松ホトニクス(株)代表取締役社長としてではなく、光産業創成生大学院大学理事長としてお話します。インデペンデンツクラブは個性ある起業家を発掘し、我々は個性のある起業家を育てることを主旨としているからです。今日の講演は互いの思いが非常にマッチしたものであると思います。

■光産業創成大学院大学と光の可能性

 始めに光産業創成生大学院大学とは何かをお話します。当大学は13年前に光技術を応用し新しい産業を創成し、人材を育成することを目的に創設しました。光には色、強さなど多くの要素があり、様々な対象に効果を与えることができる無限の可能性があります。他の産業と異なり、逆ピラミッド構造のため、広い産業領域に新たな展開を生み出すことができ、光技術の応用範囲は日々広がっています。
 論文よりも実践を重視し、入学試験ではビジネスプランの評価を行っています。起業を目指す方、中小企業やベンチャー企業の経営者も多く入学されています。市場ニーズは把握しているが光技術を活用してソリューションをどう生み出すのかを学ぶためです。

■浜松を光産業のメッカ(聖地)へ

 浜松は光技術を活用した電子式テレビが世界で初めて開発された場所です。人に追随するのではなく、新しいものを生み出そうという意識を地域全体で共有し、ベンチャーを育てる土壌があります。
 光産業のメッカにしたいという思いが「浜松光宣言」です。国立大学法人静岡大学、国立大学法人浜松医科大学、学校法人光産業創成大学院大学、浜松ホトニクス(株)よる共同宣言で、浜松を光の尖端都市にし、個性あるベンチャーや中小企業を育てていきたいという願いが込められています。

■新しいエコシステム“産学学官金”

 私は“産学学官金”という新しいエコシステムが必要ではないかと思います。2つの“学”はサイエンスとテクノロジーを意味し、研究を追求する大学と応用技術を追求する大学が連携した産学学官に資金を合わせたものです。主要国立大学の基礎研究を地方の大学が技術展開し、中小企業や起業家が活用した事業を展開する流れを作らなければいけないと思います。これは『社会が求めるニーズをもって光技術を応用した新産業創成を志す人材を育成する』という光産業創成大学院大学の思いとも重なります。

 光技術を応用した新しい産業を創出するために光産業創成大学院大学を創設したことは一定の成果を出しています。しかし“産学学官金”を含んだエコシステムをどう拡大していくかという課題があります。資金を回すための仕組みが不足しているのです。投資資金で新製品を開発し、製品を市場に提供するまでに要する時間を短縮することで倒産するリスクを減らし、企業が成長することで新たに雇用を創出することが求められています。そこで欧州で成果をあげている中小企業の短期集中型イノベーション支援プロジェクト“ACTPHAST(アクトファスト)”を浜松に適した形に変え、浜松版ACTPHASTを計画し、実行し始めています。具体的には製品化に繋がるような地域企業の技術等を選定のうえ、大学や研究機関等で支援チームを組織し、製品開発に向けた技術・資金の提供など総合的な支援を行います。

 “産学学官金”というエコシステムが光産業以外の分野・地域で実践され、日本全体で応用してほしいと思います。


2018年5月24日浜松インデペンデンツクラブ SMBC日興証券浜松支店ホールにて