「南阿蘇産ハーブティーで世界市場に挑戦」
=$DATE?> 公開
<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真右)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)
<話し手>
株式会社クマモト敬和
代表取締役社長 宮野 敬之 氏(写真左)
1970年生まれ。熊本県立大津産業高校卒業。
家業(緑茶販売店 宮野園)継承後、健康茶販売会社設立。
【株式会社クマモト敬和】
設 立 :2007年3月1日
資本金 :8,000千円
本 社 :熊本県熊本市中央区保田窪2丁目12-3
事業内容:ハーブティー・健康茶の配合・加工・販売
URL :https://kumamotokeiwa.com/
<特別対談>これからのIPOスタイル
南阿蘇産ハーブティーで世界市場に挑戦
■豊かな自然の中で生まれた南阿蘇産のハーブティー
小原:2003年に個人事業主として、ドクダミやカキノハなどの日本のハーブを用いた健康茶の販売をスタートしました。宮野:その後「眠れない」「妊娠中でも飲めるお茶が知りたい」といったお客様の悩みを聞く中で西洋ハーブの研究を始め、ハーブティーの販売へと事業を拡大しました。現在は熊本県北東部に位置する南阿蘇村を拠点にハーブティー・健康茶の生産・加工・販売を行っています。
小原:貴社のハーブティーは、NPO法人メディカルハーブ協会の認定資格である「メディカルハーブコーディネーター」がブレンドしたオリジナル商品です。豊富なハーブ知識や薬事関連法に基づき配合を行っています。
宮野:「南阿蘇TeaHouse」・「茶房南阿蘇」という二つの自社ブランドで商品を展開し、特に美容に悩む女性や、妊娠中の女性から好評を博しています。九州地域に小売店を6店舗展開しているほか、大手雑貨チェーン23店舗への卸売販売やOEM製品の開発も行っています。
小原:老若男女誰でも安心して飲める品質の高さが評価されているのだと思います。原料栽培のために2010年に設立した「農業生産法人 南阿蘇農園」の農地は、有機JAS認定を受けていますね。
宮野:農薬や化学肥料に頼らずに、レモングラスやカモミールなど12品目のハーブ栽培を行っています。栽培したハーブは当社でハーブティーに加工されるだけでなく、化粧品などに用いられる原料としての出荷も行っています。
小原:ハーブティーの原料生産から加工、販売まで一気通貫で行っている会社は、国内では貴社を含めて2社しかありません。6次化成功例としてもっと投資家にアピールするべきだと思います。
■国内事業拡大に向けたブランディング戦略
小原:2017年の日本の無糖系飲料(コーヒー・緑茶・紅茶など)の市場は1兆7千憶円ですが、そのうちハーブティー・健康茶の市場は約500億円と大きいとは言えません。しかし毎年約2割のペースで成長しており、健康志向の高まりによってさらなる市場拡大が期待されます。宮野:特定のファン層から購買層を広げていくため、ハーブティーのギフトに力を入れて潜在顧客を開拓しています。また、2019年から東京を中心にフランチャイズ(FC)展開を開始する予定で、パートナー企業の開拓を進めています。おかげさまで、大手商業施設から多数のお声がけをいただいています。
宮野:これまでは低価格帯での商品開発を行ってきましたが、本格的な東京進出に向けてブランディングの再構築を検討しています。
小原:貴社の一番の課題はブランディングだと思います。ブランドを定着させるには高い品質を追求して訴求力を高めていく必要があります。九州を拠点に良質なだし・調味料を高価格帯で販売している、株式会社久原本家の「茅乃舎」のブランド戦略を参考にしてみてください。
■「JAPANブランド」として世界展開を目指す
宮野:2017年に福岡証券取引所の「九州IPO挑戦隊」に10期生として入隊し、3~5年以内の株式公開を目指しています。 小原:IPOに向けて、今後3年間の緻密な事業計画を練る必要があると思います。組織拡大を支える人材育成も時間をかけて行うべきでしょう。宮野:2017年12月にベトナムに工場を設立し、現在はハーブの良品選別を行っています。今後は世界展開に向けて製品化や出荷まで行う海外供給の拠点にし、輸入規制のある中国市場への進出も視野に入れていきます。また、福岡女子大学の石川洋哉准教授と共同でハーブバスボール(ハーブの入浴剤)の開発を進め、東南アジアの日系ホテルに納入する予定です。
小原:「JAPANブランド」としての質の高さをアピールして海外での評価を得れば、一気に世界中に拡散する可能性もあります。将来は欧米の一流ホテルにもクマモト敬和のハーブティーが当たり前のように置かれることを期待します。
※「THE INDEPENDENTS」2018年7月号 - p20-21より