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「炎症性腸疾患の特効薬開発を目指す宮崎大学発ベンチャー」

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【新城 裕司氏 略歴】
1975年生まれ。宮崎西高校出身。京都大学工学部、同大学院修了後、JR九州を経て宮崎大学産学・地域連携センター(後に知財部門長就任)。2017年同校退任し、当社設立、代表取締役就任。MBA、弁理士資格を持つ。

【ひむかAMファーマ株式会社】
設 立 :2017年2月1日
資本金 :309,450千円
所在地 :宮崎市清武町木原5200番地
事業内容:次世代型アドレノメデュリンの新規創薬シーズの研究開発
従業員数:2名



No.872 ひむかAMファーマ株式会社


<2018.8.6 インデペンデンツクラブ月例会に登壇されます>

「炎症性腸疾患の特効薬開発を目指す宮崎大学発ベンチャー」



■宮崎大学の先端研究・アドレノメデュリン(AM)

当社は、生理活性ペプチド(アミノ酸が結合したもの)の一種であるアドレノメデュリン(AM)の改良による創薬シーズの研究開発を実施し、炎症性腸疾患の治療に貢献する創薬を目指しています。AMは1993年に宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)の北村和雄氏(宮崎大学教授)、寒川賢治氏(国立循環器病研究センター名誉研究所長)らによって、ヒト褐色細胞腫組織から発見されました。強力な粘膜修復作用や血管新生作用を持ち、体内に必須のものとして存在する物質であるため抗原性がなく安全性が高いという特徴を持ちます。

■次世代型AMの開発で炎症性腸疾患に対する創薬を目指す

天然型のAMは宮崎大学が研究開発を進めており、宮崎大学と当社の間でライセンス契約を締結しています。当社では独自の改良型(次世代型)AMの開発を進めており、今後、CMC開発や非臨床開発を進めていきます。次世代型AMの創薬開発は、2017年に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業―希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業―」の補助対象に採択されました。炎症性腸疾患とは主に消化管に炎症を起こす慢性疾患の総称で、潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的な疾患です。日米欧に約260万人の患者が存在し世界市場は90億ドル以上と言われています(推定値)。現在は投薬による寛解導入療法が用いられていますが、完治が難しく炎症が再燃してしまうという課題があります。主要な治療薬である抗TNF-α阻害剤は感染症や発がんリスクを増加させるという報告もあり、革新的な治療薬の開発が求められてきました。

■今後の事業展開

天然型AMは、難治性潰瘍性大腸炎に対する治験が宮崎大学を中心として実施中で、難治性クローン病に対する治験も今年から実施されます。当社では、宮崎大学から開発のバトンを引き継ぎ、外部企業との提携を進め、上市を目指します。次世代型AMはグローバル市場を見越した創薬開発に注力し、数年内に臨床試験の段階へと開発を進めたいと考えています。開発と並行して、開発資金の調達及びIPOを見据えた社内体制の構築にも取り組みます。将来的な成長のために、当社シーズを炎症性腸疾患以外の疾患領域へ拡大することも検討が必要と考えています。