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「(株)ガデル、tripla(株)、(株)ドラフト」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事

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No.839 株式会社ガデル(代表取締役 上井 健次 氏)

上井社長は、ロジスティック関係の事業数社を経て、大阪岸和田で、水耕栽培による葉菜類の生産・加工・貯蔵・販売事業を2016年に起業しました。米国AmHydro社水耕栽培ユニットの販売権を取得し、ユニットの販売とプロデュース農園の生産物の卸売りで、数年後に、IPOを考えていますが、次の3点を配慮する必要があります。

①従来の農産物の市場流通の変革を加味した採算シナリオの明確化

農業者の努力が結ばれるように、食品スーパー等への直販方式を、葉菜類中心にした水耕栽培方式を提案するビジネスです。葉菜類の品質・物流・食品スーパー対応の一貫体制で採算シナリオを明確にすることが農業者への説得材料となります。

②AmHydro社水耕栽培ユニットの競争力とエリアの選定

現在岸和田で建設中のモデルプラントは、食品安全性の世界標準の栽培方法ですが、世界各国にある水耕栽培手法の世界競争優位性を明確にし、物流コストを下げるために、顧客ニーズに対応したプロデュース農園をどこに配置するかの立地マップを作りましょう。

③水耕栽培の独創性開発の可能性

AmHydro社水耕栽培ユニットに日本独自の最適なアイディア付加が可能なのか、アイディアの知財化が可能か等の自由度を検討し、事業川上の効率性を高め続けることが事業の競争性を高めます。


No.840 tripla株式会社(代表取締役 高橋 和久 氏)

高橋社長は、外資系の経営コンサルティング、マーケティング事業を経験後、インバウンド旅行客向けを中心として、AIと人のハイブリッド型チャットボットサービスの提供、アプリ開発およびシステム開発事業を、2015年に起業しました。 2020年をめどに、IPOを考えていますが、次の3点を配慮する必要があります。

①多言語対応チャットでAIとオペレーターの融合で即時対応能力の向上

旅マエ・旅ナカ・旅アト毎にチャットサービスを提供できる練り上げたサービス内容であるが、AIで解決できない内容はオペレーターが対応しています。オペレーターの対応に競争優位性があるとすれば、今後の成長には彼らの量的確保が問われます。

②ホテルや旅館の付加的サービスを基点に先行優位性を

トップホテルチェーンよりも一定規模以下の宿泊施設から営業を開始し、レンタカーをはじめインバウンド顧客へのAI旅ナカサービス機能を拡大してきました。サービス開始後明確なKPIを作成し、足腰の強いルート顧客確保手法で、先行優位性で走りぬいてください。

③海外展開の可能性を見据えた商標権の押さえを

すでに5か国語に対応しているtriplaサイト活用は、日本のみならず海外展開が容易になるはずです。サイトを活用した訪日外国人の評価がその基盤になりますが、tripla関連の商標権を進出可能性のあるエリアで押さえておかないと、ブランドが棄損します。


No.841 株式会社ドラフト(代表取締役 伊藤 佑樹 氏)

伊藤社長は、繊維産業で栄えた出身地福井で、「オシャレで人生を豊かに」を目指して、メディア型メンズアパレルECサービス事業を、2009年に起業しました。2020年をめどに、IPOを考えていますが、次の3点を配慮する必要があります。

①販売の前に自社メディア「オシャレの教育」にAI活用を

自社メディアを通してオシャレ相談を行っています。地方には多いオシャレ初心者向けに対して集客を兼ねています。お客様の声を次なる製品開発に活用のために、顧客様個々人の趣味趣向データを収集にAIを積極導入し、規模拡大に対応する必要があります。

②商品数を絞り込み、地元メーカーを活用する手法に限界は

商品数160商品(色サイズを入れても2000SKU)を競合より5分の一に絞込み、地域メーカーを活用し、年間在庫回転率16回を達成し、高い利益率を維持しています。AIを活用し、コーディネートに最適な製品開発・製造を拡大していくには、在庫・物流を含め海外生産拠点の活用は避けて通れません。

③自社製品のシェアードサービスを

ヤング・ミドルからシニアへ世代を超えた身だしなみが簡単に整う製品を年間会費制で提供し続けるためには、買い続けることだけではなく、これらを共有しシェアードサービス化することは、右足を左足で蹴ることになりますが、検討に値します。


2018年2月15日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて