「クリエイター用左手デバイス「O2」(オービタル・ツー)」
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【神成 大樹 略歴】
1989年3月11日生まれ。デジタルハリウッド大学院卒、デジタルコンテンツマネジメント修士。学生時代よりイラストレーター、デザイナーとしての活動を開始。2012年、(株)B.C.Membersの取締役に就任。2016年、(株)BRAIN MAGICを設立、代表取締役CEOに就任。
【㈱BRAIN MAGIC 概要】
設 立:2016 年2 月16日
資本金:NA
主要株主:ウィルグループ、デジタルハリウッド、ABBALab他
所在地:東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル 12F
事業内容:クリエイター向けハードウェア・ソフトウェア開発
<起業家インタビュー>
(株)BRAIN MAGIC 神成 大樹 氏
「クリエイター用左手デバイス「O2」(オービタル・ツー)」
クリエイター向け入力デバイスを開発したデジタルハリウッド大学院発ベンチャー
テクノロジーの力で世界のクリエイティブを加速させることを目指す起業家
■起業の経緯を教えてください。
高校生よりイラストレーター、デザイナーとしての活動を開始し、2012年にはソーシャルゲームのイラスト、UI等周辺デザインをおこなう(株)B.C.Membersを友人と創業し取締役に就任しました。ソーシャルゲームブームの中、イラストレーター、アートディレクターとして仕事をおこなっていましたが、長時間にわたる作業がたたり両手が腱鞘炎になってしまったことから、「クリエイターの作業環境を変えたい」と思うようになりました。その後、社会人大学院生としてデジタルハリウッド大学院に通い始めたことをきっかけに「O2」の研究開発をスタートし、2016年に(株) BRAIN MAGICを設立しました。■「O2」とはなんでしょうか。
「O2」はイラストレーターや動画クリエイター向けに開発した入力デバイスです。操作用のジョイスティックを倒したり、先端部分を回したり、頂点を押したりすることで、従来はキーボードのショートカットなどでおこなっていた操作を可能にしました。左手に包み込むように持ち、指先でジョイスティックを動かすことで様々なアクションを起こせるため、手首に負担をかけずに効率良く作業できます。「Illustrator」や「Photoshop」、「Premiere」などのAdobe製品のほか、「SAI」、「CLIP STUDIO」、「Avid」、「MediBang Paint」などショートカットキー操作に対応した様々なソフトウェアに対応しています。■「O2」は人間工学に基づいてデザインされています。手や腕への負担が軽減されることで、クリエイターの作業効率化につながりますね。
クリエイターは、作業によっては1時間に1000回以上のショートカットキー操作をおこないます。「O2」は、独自に開発したオ―ビタルエンジンにより、「倒す・回す・押す」のシンプルな3動作だけで、これまでキーボードで入力していた256種類のショートカットキー入力・コマンドに対応しており、最大で4倍くらいの速さで作業をおこなえます。「機能が多くて使いこなせない」というユーザーのためには、推奨プロファイルも用意しています。■クラウドファンディングの「Makuake」で「O2」の販売をおこないました。
2015年に、デジタルハリウッド大学院とMakuakeによる「アイデア実現支援プロジェクト」に企画が採用され、その後2年間、新しい入力デバイスの試作とフィールドテストを重ね、7世代20種以上のプロトタイプの制作を行ってきました。昨年10月にクラウドファンディングサービス「Makuake」を通じて、1台27,800円(税込)で「O2」の販売を開始した結果、222名にご出資いただきました。出荷台数も250台を超え、目標金額を大幅に上回りました。製品の配布は今年の4月を予定しています。■資本政策について教えてください。
昨年9月にウィルグループ、デジタルハリウッド、ABBALabを引受先とする第三者割当増資を実施しました。「O2」の生産を進めるため、現在シリーズAファイナンスを計画中です。■今年1月には米ラスベガスにて開催されたコンシューマー向け家電見本市「CES(Consumer Electronics Show)」に「O2」を出展しました。
世界最大級Techイベント「CES」に出展したことで海外でも注目されるようになりました。今後は「Kickstarter」を利用して海外での販売もおこなっていきます。■ハードウェア・スタートアップを目指す人の拠点となる「DMM.make AKIBA Studio」に入居されています。
「DMM.make AKIBA Studio」では、3Dプリンタや5軸マシニングセンタ、3D CAD、オシロスコープといったといった開発機材から、熱衝撃や水圧試験などの各種試験機など、量産を目的としたハードウェア開発に必要なありとあらゆる設備が揃っています。■本日はどうもありがとうございました。最後に今後の事業展開について教えてください。
今後は、一般販売を進めていくとともに、有名ソフトとのバンドルも検討していきます。また、働き方改革の提案を目的に、AIを活用したクリエイターの作業分析を行うBtoB向けソリューション提供も計画しています。これからも、日常や仕事における、様々なシーンに潜むストレスや非効率性を取り除き、最適化するソリューションを提供していきます 。※「THE INDEPENDENTS」2018年3月号 - p4-5より