「世界一のリユースエアコンメーカーを目指す」

鮫島正洋の知財インタビュー

「世界一のリユースエアコンメーカーを目指す」

■エアコン買い取りを支える修理技術

河口：中古エアコンの買取・販売事業はいままでになかった事業ですので注目度も高く、家電量販店大手のヤマダ電機が不採算店舗を中古家電の再販店舗にリニューアルするなど追随する企業もでてきました。現在は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が主ですが、今後はエアコンも扱ってくると思うと脅威に感じます。

鮫島：貴社の強みは、中古エアコンの修理ができる人を自社で抱えられている点です。大企業が参入しようとしても、修理のノウハウがないと外部工場と提携しないとならないので収益率が落ちるでしょう。そういう意味では、現状でも十分な参入障壁はあるのではないかと考えています。

■全国からエアコンを買い取る

鮫島：現在は中古エアコン買取・販売と電気工事の2本の柱で事業を展開されています。

河口：電気の専門家として東海エリアを中心に空調、電気設備工事業からスタートし、2009年より電気トラブル駆け付けサービスを開始しました。2014年より、中古の業務用・家庭用エアコンを買取り、メンテナンスをおこなった上で販売するサービス『エアコン買取王』『エアコン販売王』を開始し、現在では常時3000台以上の在庫を保有する日本一のエアコンリユースメーカーになりました。2017年からはエアコンの宅配買取サービスもおこなっています。

鮫島：2017年6月から稼働している自社リユース工場では、障害者を積極的に受け入れていますね。

河口：エアコンのメンテナンスにあたっては様々な工程があリますが、その一部の業務を標準化することで、障害者にも業務が可能となりました。現在50人ぐらいの障害者の方達にエアコンの分解洗浄を行って頂いております。また、検査体制を整備することで、中古エアコンであっても新品とほぼ同様の品質を実現することができました。

■海外需要の大きな日本製中古エアコン

河口：従来は買取を控えていた古い業務用エアコンから取り出した部品を安価なリユース部品として販売することを計画しております。。今後はリユース部品を事業の軸の一つとしていきます。

鮫島：中古エアコンを日本一買い取っている貴社だからこそ実現可能だと思います。資源の有効活用にもつながる社会性の高いビジネスですね。

河口：実はベトナムには日本のエアコンが世界一流れているんです。日本では壊れたエアコンを修理する際にエラーコードを見て部品を替えますが、ベトナムでは部品そのものを直します。部品の中身を直す技術を獲得するためにベトナム人の技術者を実習生として受け入れることにしました。

鮫島：事業のスピードアップを図るには買取ネットワークの拡大が重要なポイントです。

河口：現在、東海地方を中心に広告と生活情報誌を展開している企業と提携して、フリーペーパーの空いた広告枠に広告を無料で掲載させていただいています。広告をみた人が当社のサイトでエアコンを購入するとキャッシュバックする仕組みにしたところ大変好評で、今後は同様の取り組みを新聞販売店や賃貸管理会社などとおこなっていく予定です。

鮫島：ネットワークも一つの知的財産です。買取先を集積するには泥臭い営業活動必要で、よほどの熱意がないとできません。そういう意味でも大企業には難しいビジネスのような気がします。大手からの参入を懸念するより、今後はブランディングや認知度向上に注力すべきです。

河口：将来的には「元気でんきにエアコンを依頼しない理由はない」というポジションを目指していきます。

鮫島：エアコンのリユースマーケットにはポテンシャルを感じます。法律のアドバイスなどのお手伝いさせていただきますのでお気軽にご相談ください。本日はありがとうございました。

―「THE INDEPENDENTS」2018年2月号 P28-29より