「何気ない会話を通じてチームエンゲージメントを高め、イノベーションを生み出すツールの開発を目指す」
公開
<話し手>
Miletos㈱ 代表取締役 朝賀 拓視 さん(左)
1979年生まれ。早稲田大学国際教養学部中退。10代からスタートアップに関心を持ち、20代前半からいくつかのビジネスを展開。Thammasat University留学後、アクセンチュアに入社。2015年コンサルタントとしてアクセンチュア在籍中にL.A. Glocal Travellers LLC.設立。アクセンチュア退職後、2016年6月にCVO(Chief Visionary Officer)としてMiletos(株)創業、現在代表取締役社長。2018年にアメリカにてGroovin Inc.を設立予定。
<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋さん(右)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。
鮫島正洋の知財インタビュー
「何気ない会話を通じてチームエンゲージメントを高め、イノベーションを生み出すツールの開発を目指す」
■リモートワーカー向けオンライン・ワークプレイス『Groovin』
鮫島:アメリカではリモートワークが進んでいますが、遠隔地とはいえフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションは必要だと思います。
朝賀:我々はリモートワークでも基本的にはフェイス・トゥ・フェイスで話し、必要なことだけテキストに落として共有・保存するようになれば、場所はバラバラでもチームとして強くなると考えています。当社が開発したオンライン・ワークプレイス『Groovin』は、オフィスのようにいつでも会話ができる空気感を醸し出すことを目指しています。鮫島:「Slack 」や「Skype 」などのビデオチャットが台頭していますが、それらのツールとの違いを教えてください。
朝賀:それらは基本的に会議室システムなので会話したい時間をアレンジしてコネクトしますが、『Groovin』は利用者 がチームメンバーと映像で常に繋がっている点が特徴です。常時接続を担保するために、当社CTOの平野が長時間繋げたままでも切れないアーキテクチャの実現に成功しました。また、ルームの概念を取り入れており、別の誰かと話をしたい場合は部屋を移動することで、システム上はオンラインのまま別の会話にシームレスに移行できる点も強みです。鮫島:映像を相互に送りあっていると多額の回線使用料 が発生するのではないでしょうか。
朝賀:「Google ハングアウト 」などで用いられているアーキテクチャでは、回線使用料の大半はサービスを提供する側の負担になってしまいます。そこでWebRTCという新技術を用いて、大部分のデータに関してはクライアント同士のブラウザがそれぞれP2Pで直接送受信するようにしています。一方、音声に関しては、通話品質を担保するため、当社の高品質なネットワーク環境の下、各参加者に配信するシステムにしています。■機能開発と知財戦略
鮫島:先日、OIST(沖縄科学技術大学院大学)で開催された異業種交流会「オキナワベンチャーマーケット」のAsianPitchではネイティブに近い英語でプレゼンされていましたね。
朝賀:アメリカで会社を設立して、資金調達することを目指しています。鮫島:アメリカで投資を受ける場合、特許を2,3件取得していたほうがバリュエーションを上げるには有利です。現在はオープンベータ版とのことですが、今後リリースされてユーザーが使い始めるといろいろな改善点がでてくると思います。そこで追加される機能に特許性がでてきます。
朝賀:『Groovin』は一つの部屋に100人入ることができますが、画面上に100人は表示できません。会話をしている人をいかに自動的に表示するかが重要になってくると考えています。
鮫島:100人を念頭に置いてしまうとセミナーや通信教育のシステムとかぶってしまいます。貴社の実現したい「チームエンゲージメントを実現するための空気感」をリモートで再現する点に特化した機能が特許取得のポイントになります。
鮫島:現在はリモートワーカー向けを前提にしていますが、オフィス内で使用することも可能ではないでしょうか。
朝賀:実はとある上場会社にオフィス内での利用を検討いただいています。オフィス内を移動することなく会話ができ、部屋を作ればいちいち会議室をとる必要がないので、業務の効率化や社内空間のコスト削減にもつながると考えています。鮫島:『Groovin』はいろいろな使い方ができるプラットフォームだと思います。使い方に応じて実装する機能も少しずつ変わってきますので、その一つ一つが特許のネタになります。但し、それを全部取得するには費用がかかりますので選択と集中が必要です。
朝賀:今後はコミュニケーションの円滑化を図るために、デスクトップ共有やファイル共有、ホワイトボード機能などを実装し、オフィスにいる雰囲気を機能的に再現していく予定です。
鮫島:リアルをバーチャルに置き換えようとしている貴社のビジネスは大変有意義だと思います。本日はありがとうございました。
―「THE INDEPENDENTS」2018年1月号 P22-23より