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「「地域出張型個別指導塾『学習塾ブランチ』」」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真右)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社コラボプラネット
代表取締役 西原 申敏 氏(写真左)
1985年5月生。筑前高校出身。2008年3月西南学院大学経済学部卒業。2008年4月メディア総研株式会社入社、法人営業を5年経験。2011年9月日本キャリア開発協会認定CDA取得。2013年8月株式会社コラボプラネット設立。

【株式会社コラボプラネット】
設 立 :2013年8月1日
資本金 :22,700千円
本 社 :福岡県糸島市前原中央2-3-23 下川ビル1
事業内容:学習塾ブランチの運営、システム開発
URL :http://blearnch.com///

<特別対談>これからのIPOスタイル

「地域出張型個別指導塾『学習塾ブランチ』」


■地方の「教育の機会格差」をなくしたい

小原:このビジネスを始めたきっかけを教えてください。
西原:大学卒業後に勤めた採用支援会社で企業が求める学生像と実際の学生の学力ギャップを感じ、中学や高校時代から勉強に関心を持つようにしてあげたいと思うようになりました。教育分野での独立を目指し、ボランティア活動をしながら地元の親御さんにヒアリングを進める中で、「塾に行かせてあげたいけど、遠くて行かせられない」という意見が多いことに気が付き、近くに塾があれば便利という声に応えるために、1教室8人でも維持できる学び場作りを始めたのがこの事業のスタートです。
小原:地方には小中高生の生徒数が200人以下と少ないために、既存の塾が進出できない地域が多数あります。貴社の事業は、すべての子供たちに平等な教育機会を与えることができる社会的意義の大きいビジネスだと思います。

■eラーニングを活用した小規模教室運営

小原:固定の施設を設けないことで、教室の開校コストを大幅に削減しています。
西原:地域の遊休スペース(お寺や自治会の集会所など)を週2回借りることで固定費を削減するとともに、eラーニングの導入により講師にかかる費用を削減することで、既存塾が進出しづらい子供が少ない地域でも開校が可能になりました。福島県糸島市からスタートし、現在県内で13教室を運営しています。

小原:既存の個別指導塾と違って教室に先生がいない代わりに、地域のアクティブシニアや主婦の方に学習サポーターとして出欠確認や教室の管理をお願いしています。
西原:生徒は、テキスト、プリント、動画(iPad)を使い、個人の理解度やペースに合わせて学習します。eラーニングですので、様々な学年の子供たちが1つの教室で同じ時間に学習することが可能です。どうしても答えが分からないときは、オンラインチャット「FaceHub」を使って、提携先の九州大学生寮の学生がオンラインで質問対応できるようにしています。

小原:eラーニングのコンテンツを自社で作成しない点は大変評価できます。新規参入で一からコンテンツを作っても、膨大なデータを蓄積した大手塾には敵いません。
西原:現在4つのeラーニング教材を使っています。より効果的な学習ができるように、本部スタッフが個人のレベルにあったコンテンツを組み合わせて一人ひとりカスタマイズしています。

■九州初の株式投資型クラウドファンディングで資金調達

小原:(株)日本クラウドキャピタルが運営する株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO」を活用した資金調達をおこないました。
西原:1167名の方にご出資いただき1,940万円の調達に成功しました。クラウドファンディングを利用したことで、認知度が上がり地元で応援してくれる人も増えました。調達資金は、新規教室の開校と人件費に充当する予定です。

■地域に根付いた事業モデルを全国で展開する

小原:5年後に売上6億円、12年後に売上100億円を計画していますが、学習塾だけでは難しいと思います。
西原:教室運営システムをパッケージ化することで、全国3,500校の展開を目指します。また、現在地元の国立大学と共同で、生徒が書く文章を言語解析し理解度を測定する研究を進めています。そこに学習ログの解析を加えることで、将来的には一人ひとりに最適な学習計画を提供するAIの開発を検討しています。

小原:面の拡大をするには、各地域で協力先と提携していくことも重要です。
西原:大手通信会社では九州エリアで毎年500人の退職者がでるとのことなので、『学習塾ブランチ』のサポーターをセカンドキャリアの受け皿として利用していただけないか提案中です。
小原:サポーターとして地元の人材を雇用することで、地域活性化にも貢献できますね。

小原:現在、九州大学グローバルイノベーションセンター客員教授として九大発ベンチャーの資本政策等のアドバイスをしております。月に2回は九州にまいりますので、お困りのことがあればお気軽にお声がけください。本日はありがとうございました。

※「THE INDEPENDENTS」2018年1月号 - p20-21より