アイキャッチ

「「野菜シート『VEGHEET(ベジート)』で地域の農作物を海外に販売していきます」」

公開

【早田 圭介 略歴】
1989年山口大学卒業。1989年野村證券入社。1994年同社退社、早田商店入社。2006年有限会社アイル取締役就任。2014年株式会社アイル代表取締役就任。

【㈱アイル 概要】
設 立:2006年3月27日
資本金:215,200千円
主要株主:早田圭介、VC他
所在地:長崎県平戸市田平町小手田免419-1
事業内容:野菜シート製造販売


<起業家インタビュー>

(株)アイル 早田 圭介 氏

「野菜シート『VEGHEET(ベジート)』で地域の農作物を海外に販売していきます」


環境・地域・人にやさしい野菜シートで、グローバル展開を目指す起業家

<予告>2018年9月号にAGSコンサルティング小原専務と早田社長の対談記事を掲載予定です。対談の模様を一部動画でご紹介いたします!



■有明海の海苔生産の技術から野菜シート『VEGHEET』が生まれました。

『VEGHEET』は、海苔乾燥機を応用してペーストした野菜をシート状に加工させた新しい食材です。人参・トマト・ダイコン・キュウリ・バジル等あらゆる野菜を色味や風味を損なうことなくシート状にできます。寒天をつなぎに使った100%天然食材を原料として、食品添加物や化学調味料を一切加えていませんが、常温で2年間持ちます。

■海苔の代わりに野菜で巻いた寿司やサラダを巻くベジロールなど 新しい用途開発が進みそうですね。

現在注目されているのは「キャラ弁」の素材として『VEGHEET』の野菜シール化です。カラフルな野菜シートをキャラクターとコラボすれば、野菜嫌いの子供も喜んで食べるかな、と。

■2016年ニッポン新産業創出産業・最優秀賞を受賞では、環境問題や地域活性化への貢献が評価されました。

傷入りやサイズ違い等で廃棄されている規格外野菜を原料に使うことで環境への負荷が軽減できます。それだけでなく農家の所得安定や雇用創出、地域農産品のプランド力向上にも役立つと思います。

■海外で広がる寿司市場やベジタリアン向け需要にも期待できますね。

来年2月に仏で開催される農水省主催の日本食材コンテストに出展を機に本格的海外展開を図ります。2010年に初めてNY展示会に出展した時に、海外市場の手応えを感じました。欧米のベジタリアンは5000万人、インドには3億6000万人もいます。ミラノ万博以来、ヨーロッパでも日本食ブームですが、和食店は華僑系が独占しており、まずは高級食材としてフランス高級レストランへ仏バイヤーを通じて展開していきます。

■競合商品に対する特徴を教えてください。

野菜シート『VEGHEET』は色彩豊かな点、食物繊維を多く含む点が特徴です。類似商品としてはJ-オイルミルズ社がアメリカでソイラッパー(大豆シート)を販売しています。海苔シートの製造技術をベースとする当社商品は、味覚風味を大切にしながら加工性に優れた食材開発に努めています。

■野菜シートと出会ってからの19年間、どんな苦労がありましたか?

1998年に有明海沿岸にある熊本の海苔業者が開発した野菜のりと出会ったときに衝撃を受け「これは必ず世の中のためになる」と商品化に共同で取り組みました。ところが2004年にその業者が中国事業に失敗して倒産してしまいました。当社が野菜のり事業を引き継ぎましたが、製造技術もノウハウもありません。そこで全国の大学に当たりましたが、それは無理だと断られ、ようやく長崎県内にある大学の教授に出会い、自社で製造機械を開発すると同時に2011年に製法特許も共同出願しました。

■量産技術の確立に成功して、これからはマーケティング戦略が重要になります。

2014年に乾燥装置のトラブルを解決して量産化の目途が立ち、現在は1ラインで月産16万シート製造体制となっています。野菜シートは海苔の約2倍の価格で食品メーカーや食品問屋に販売しています。消費者向けに店頭販売するためのシートの加工などは行わず、BtoBに特化し販売管理費を最小限に抑える戦略です。当社自身は商品開発、市場開拓や生産効率の向上に注力していく計画です。

■VCからの資金調達を進めていますが、資本政策について教えてください。

2013年に三菱UFJキャピタルとひびしんキャピタルを引き受け先とした第三者割当増資を行いました。その後も量産試作開発のために増資を重ねて現在の資本金は準備金も含めて3億3390万円になりましたが筆頭株主は私です。現在は来期に向けた量産設備の投資資金を確保するために増資を検討中です。

■本日はどうもありがとうございました。最後に今後の事業展開について教えてください。

シート食材はコンパクトに収納でき保存性もあるので災害時の備蓄食材としても活用できます。また高栄養かつ低カロリーで小麦等のアレルギー成分も入っていないため、子供の離乳食や高齢者の介護食への利用も期待できます。現在は野菜だけですが、今後はフルーツシートも製造していき、シート食品のパイオニアとしてグローバルに展開をしていきたいと思います。

※「THE INDEPENDENTS」2018年新春号 - p4-5より