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「「インバウンド向けアプリからバーコードを活用した情報流通革命を起こす」」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真右)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社Payke
代表取締役 古田 奎輔 氏(写真左)
1993年5月23日東京都生まれ。私立成蹊高校中退後、単身沖縄に移住。琉球大学に入学後、個人でネット通販事業を行う。その後、県内貿易商社と協業し、沖縄県産品の貿易業や海外プロモーション、越境EC事業に携わる。2014年11月当社設立。

【株式会社Payke】
設 立 :2014年11月26日
資本金 :223,000千円
沖縄オフィス:沖縄県那覇市銘苅2-3-1 なは市民協働プラザ産業支援センター411号室
東京オフィス:東京都港区麻布台1-4-3 エグゼクティブタワー麻布台 501
事業内容:外国人向けアプリ「Payke」の運営
URL :https://payke.co.jp///

<特別対談>これからのIPOスタイル

「インバウンド向けアプリからバーコードを活用した情報流通革命を起こす」


■インバウンド(訪日外国人)向け商品説明アプリ『Payke(ペイク)』

小原:『Payke』は、台湾、香港、マカオでAppStoreランキング1位を獲得している訪日外国人向けアプリです。
古田:例えば、訪日外国人にとって、商品パッケージだけではシャンプーなのかリンスなのか分かりません。そんな時にスマホアプリ『Payke』をバーコードにかざせば母国語で商品情報が表示されます。対応言語は、英語・繁体字・簡体字・韓国語・タイ語・ベトナム語・日本語の7ヶ国語で導入実績は800社に及びます。

小原:インバウンド対応の新しいツールとして、小売店向けにタブレット端末を提供しています。
古田:現在、都内のドラッグストアなどで訪日外国人の接客ツールとして利用されています。「いつ」「誰が」「どこで」「何に」興味を持ったかリアルタイムでデータ化できますので、いままで見ることのできなかったユーザーの興味関心を可視化し、商品開発に活かすことができます。

小原:アプリは無料ダウンロードですが、収益モデルを教えてください。
古田:メーカー向けに商品情報の登録・編集やデータ提供が主な収益源です。今後は、商品データベースを広げるとともに、企業向けのデータ解析ツールを強化していきます。

■19歳で単身沖縄に移住して起業する

小原:ご出身は東京です。沖縄に来たきっかけはなんですか。
古田:高校に入学するも1年で中退しバイクで日本全国を旅していましたが、「今の生活を変えたい」と思うようになり沖縄に移住しました。大検(高卒認定)を経て琉球大学に入学しましたが、海外の商品を日本で販売するネット通販事業を立ち上げ、結局大学は半年で辞めてしまいました。

小原:バーコードを活用する『Payke』のアイデアはどこからきたのでしょうか。
古田:ネット通販事業が軌道にのった後、県内貿易商社と組んで沖縄県産品を外国で販売する貿易事業を始めました。その時に商品管理に使われていたバーコードを、物流インフラとしてだけでなくデジタルデータの情報インフラとして活用できるのではないかと思ったのがきっかけです。商品のパッケージに記載される内容は物理的限界がありますが、100カ国以上で採用されている国際規格としての普及度と知名度を持つバーコードをメディアとして利用できれば、世界中の膨大な情報面積を獲得できると考えました。高校も大学も途中で辞めてしまいましたが、ビジネスの世界はものすごく楽しくて飽きることはありませんでした。そうしたなか、もっと大きなビジネスにチャレンジしようと思い、大学の同級生だった比嘉良寛(現取締役)と2014年に当社を設立しました。

■沖縄発スタートアップから世界へ展開

小原:2017年6月に事業会社及びVCから2億円の資金調達をおこないました。
古田:BEENOS(東証:3328)、NTTデータ、沖縄銀行、沖縄振興開発金融金庫、コロプラネクストなど事業会社からの資本調達で、事業拡大に伴う組織体制の強化や、新規サービスの開発、ユーザーのさらなる獲得に向けたプロモーションを行っていきます。来年の夏にも追加ファイナンスを予定しています。

小原:今はインバウンド向けのサービスですが、日本人が海外に行った時や、日本人が日本国内で買い物をする際にも展開できそうですね。
古田:バーコードは世界統一規格なので、現状のシステムそのままで世界展開できると思います。また今後は商品データベース化から分析、広告配信までを自社内で完結するアドネットワークを構築していきます。アプリはあくまでもツールの一つであり、将来的にはバーコードをベースとした新しい情報流通プラットフォームを目指します。
小原:日本のITベンチャーでワールドワイドに活躍できる会社は少ないですが、貴社にはその可能性を感じています。本日はありがとうございました。


<対談を終えて>

小原:一般に日本のITサービスが海外の模倣であったり、二番煎じであったりする中、貴社のビジネスは、世界共通のツールである「バーコード」を情報インフラとしてのプラットフォームに創り上げて、独自のものとなっています。日本へのインバウンド客のみならず、日本からのアウトバウンド客、さらには、世界各国への展開の可能性もあります。ただし、技術的障壁は低く、他社が追随してくる可能性もあります。どこかの時点で大量な資金投入などをして、市場シェアの確保を図ることが肝要かと思われます。

古田:バーコードという既存のインフラに対して、新たな価値づけしこれまでになり体験を創ります。新しいサービスなだけに、そもそものマーケットがなくすべてが新規開拓になります。そこには体力や資金リソースが必要になるので、今後事業を急拡大するうえで、調達ニーズが出てきます。スピード感を緩めず、事業拡大を進めていきます。

※「THE INDEPENDENTS」2017年11月号 - p22-23より