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「あらゆる生き物の情報を収集し、生物分布情報の保有世界一を目指す」

公開

<話し手>
㈱バイオーム 代表取締役 藤木 庄五郎さん(右)
1988年7月生まれ。大阪府立天王寺高校出身。2012年3月京都大学農学部卒業。2017年3月京都大学大学院博士号(農学)取得。2017年5月(株)バイオーム設立、代表取締役就任。
取締役 源六 孝典さん(左)
1993年3月生まれ。私立奈良学園高校出身。2015年3月京都大学農学部卒業。2017年5月(株)バイオーム設立、取締役就任。

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋さん(中央)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

「あらゆる生き物の情報を収集し、生物分布情報の保有世界一を目指す」


■生き物採集アプリ開発ベンチャー

鮫島:生き物情報を収集する投稿型アプリは面白いアイデアですね。

藤木:ポケモンGOのようなコレクションゲーム性に現実世界の生き物を組み合わせたアプリです。ユーザーが自分で撮影した生き物の名前を判定する機能がアプリ内にあります。アプリ内でコレクションした生き物に対しての投稿機能もありますので、SNSで世界中の生き物愛好家と繋がることができます。

鮫島:画像認識によって自動的に名前を判別するのですか。

藤木:生き物の分布情報や環境条件といった画像以外の情報を重視して、生き物の名前を判別するアルゴリズムが私どものコア技術です。京都大学を中心とする研究者グループが保持している膨大な生き物ビッグデータから、生き物の特徴についての簡単な質問に答えるだけで2~3種類までに絞り込むことができます。
源六:画像認識はみんながやっていますし、オープンなアルゴリズムも出ているので、あまり注力していません。我々は生態学を学んできましたので、「見た目」よりも「環境によって生き物の分布が制限されている」ことを重要視しています。

鮫島:需要は大きいと思いますが課題はマネタイズですね。ビジネスモデル・オリエンテッドではないので、まずはユーザーを増やすことに注力して、それから有料サービスを行えばよいと思います。

藤木:想定ユーザーを登山、ハイキング、キャンプ、釣りなどアウトドア人口約5,500万人を対象にアプローチしていく計画です。現在、国立公園との提携を進めていますが、今後は地方自治体とも連携して観光集客に貢献しながらユーザーを獲得していきたいと考えています。

■今後の特許戦略

藤木:来年の春にサービスを開始する予定ですが、リリース前に知財を固めたいと考えています。

鮫島:特許を取ると技術は公開されますが貴社の技術は簡単には真似できないと思います。とは言え、技術のPR効果や後発サービス抑制のために最低限の特許は取ってよいでしょう。ただし、後発に対して侵害事実を検出できるような特許でないと意味はありません。


源六:「この時期に、この漁場で、この魚が獲れる」といった日常的に会話されている情報を、アプリで自動判定する機能に置き換えただけでも特許は取得できますか。

鮫島:「魚の生息状況を自動的にデータから判断して画面に表示されます」では請求範囲が広すぎて難しいと思います。「生き物系サイト特有の表示方法」などに絞り込めば特許性がでてくると思います。


藤木:最近、事業プレゼンする機会が増えてきましたが、それによって技術が公知にはならないでしょうか。

鮫島:特許を取るまでは技術内容についての詳しい話はしないほうが良いと思います。一方で完全クローズにしていますとベンチャー企業は資金調達や販売提携先獲得、特許取得もできません。


藤木:今後は特許戦略も視野に入れて資金調達を進めていきます。

鮫島:特許1件取得するのに40~50万円の費用が必要です。特許出願を1度経験すると費用や効果などおおよその感覚が分かってきます。先ずは自社サービスにどんな機能があったら面白いかをリストアップをしてみて、それから特許出願範囲を絞っていくとよいでしょう。本日はありがとうございました。



―「THE INDEPENDENTS」2017年10月号 P24-25より

株式会社バイオーム

住所
京都府京都市下京区中堂寺南町134番ASTEMビル8階
代表者
代表取締役社長 藤木庄五郎
設立
2017年5月31日
資本金
166,410千円
従業員数
事業内容
生物情報プラットフォーム、生物情報アプリ開発運営
URL
http://biome.co.jp/