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「「日本の竹が世界を変える!」」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明さん
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社タケックス・ラボ
代表取締役 岡田 久幸さん(写真)
1963年高知県香美郡生まれ。1981年高知県立城山高等学校を病気のため中途退学、家業である「蜂の巣工房」入社。2002年当社設立、代表取締役就任。

【株式会社タケックス・ラボ 概要】
設 立 :2004年12月1日
資本金 :100,000千円
所在地 :大阪府吹田市江坂町1-23-5 大同生命江坂第2ビル7F
事業内容:竹を原料とした製品資材の研究開発及び有効活用事業
URL :http://www.takex-labo.com///

<特別対談>これからのIPOスタイル

「日本の竹が世界を変える!」


地方創生モデルの確立

小原:「バンブーフロンティア南関町(熊本県)Project」に、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)やA-FIVE(農林漁業成長産業化支援機構)などの公的機関からの助成や出資も決まりました。
岡田:私どもは竹資源をバイオマス燃料として有効活用する事業に、2015年7月より熊本県南関町に対し計画立案から事業立ち上げまでコンサルティングしてまいりました。熊本地元企業や電力会社からの出資に加え、NEDO、A-FIVEやふくおかフィナンシャルグループの厳しい審査を通過して大型の資金調達に成功しました。
小原:地元企業や金融機関、電力会社が出資をするスキームは今までにはありませんでした。今後、工場が立ち上がって雇用が促進されると、地方創生の基本モデルになってくると思います。
岡田:「バンブーフロンティア南関町(熊本県)Project」は3つの企業が共同で行います。地元企業を中心に設立されたバンプーフロンティア㈱(資本金2億円)が竹の広域収集体制を確立して竹チップを原料・燃料として製造します。バンプーエナジー㈱は総事業費15.5億円でバイオマス発電所を建設、バンプーマテリアル㈱は総事業費23億円で建築用ボードを製造します。当社の収益源はコンサルティングフィー、当社開発商品に対するロイヤリティーになります。多くの自治体が竹林荒廃による表層滑り等の災害や経済林への侵食等の問題に頭を悩ませている中で、私どもは竹資源の有効活用や事業化を30年以上研究開発していきました。

ハラルマーケットへの展開

小原:コンサルティング事業、ライフサイエンス事業に加えて、ハラルマーケット向けの事業も開始しています。
岡田:衛生材や食品添加物を中心に展開するライフサイエンス事業が従来の収益の柱でしたが、現在は競合状況が激しくなっています。今後はバンプープロジェクトのノウハウのコンサルや竹からの抽出物を主成分とした衛生材や食品添加物の海外展開を主力にしていきます。これら製品がマレーシアのハラル認証機関であるマレーシア・イスラム開発局(JAKIM)から直接認証を受けました。
小原:ハラル認証がとれて、製品化も完了しているのであれば、あとはどうやって展開するかですね。
岡田:マレーシアには世界中のイスラム教徒へハラル製品を届ける物流システムが構築されております。マレーシア政府の下部組織と提携し、ムスリム市場への販売を一気に加速していきます。一方で、ハラル関連のマーケットはムスリムの方がいる国だけでなく、ハラルマーケット向け製品を製造しているオーストラリアや中国・台湾・韓国なども対象になります。また、ムスリム以外の食品工場への輸出も行います。海外事業の拡大に伴い、シンガポールでの拠点開設を準備中です。

株式上場に向けて

小原:ハラル事業拡大のためには、人材育成などの組織固めが必要になってくると思います。
岡田:過去にオンリーワンの製品としてスタートした事業も、人材と資金の不足が原因で苦戦を強いられました。この苦い経験を活かして、ハラル事業はかならず成功させたいと思います。
小原:上場を目指すうえでは、ハラル事業部門を子会社化して、そちらを海外で上場させることも選択肢の一つですね。
岡田:国内向けの食品添加物や抗菌剤の販売は、競争は厳しいものの年間一定の売上があります。当面は安定収益源として継続していきながら、海外展開に注力していきます。
小原:もちろん当面は「国内」での「バンブーフロンティア」におけるコンサルティング事業およびライフサイエンス事業の成長・展開に注力すべきでしょう。海外で展開する場合には、弊社にはシンガポールにも支社があります。支社の半数は日本人ですので日本語での対応が可能ですし、現地の金融機関の紹介などいろいろとお手伝いができると思います。ハラルマーケットでの衛生材及び食品添加物のナンバーワン企業になれるよう応援しております。本日はどうもありがとうございました。


<対談を終えて>

小原:「バンブーフロンティア南関町Project」が成功すれば「地方創生」の基本モデルとして全国への展開が可能となるでしょう。また、今後収益が確実に得られるようになれば、非常に高く評価されると思われます。現在は、14名の少数精鋭で運営しているようですが、ライフサイエンス事業におけるハラル市場への展開も想定すると、早急に人材の拡充が急務となるのではないでしょうか?当社は過去に苦い経験もしたそうですが、その話からすれば、早期に営業・開発・管理等の「経営(管理)体制を構築」しなければならないでしょう。

岡田:バンブープロジェクトやハラル事業など多岐にわたる事業に大掛かりな攻めをかけているように見えると思いますが、実は長い年月をかけて準備したものが、偶然にも時を同じくスタートしたものです。ヒト・モノ・カネが必要なタイミングですので、小原専務のアドバイスをいただきながら、管理体制の構築を進めてまいりたいと思います。

※「THE INDEPENDENTS」2017年3月号 - p18-19より