「竹資源有効活用による地方創生戦略」
公開
<話し手>
株式会社タケックス・ラボ 代表取締役 岡田 久幸さん(左)
1963年高知県香美郡生まれ。1981年高知県立城山高等学校を病気のため中途退学、家業である「蜂の巣工房」入社。2002年当社設立、代表取締役就任。
<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋さん(右)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。
鮫島正洋の知財インタビュー
竹資源有効活用による地方創生戦略
■ 熊本県南関町から始まる『バンプーフロンティア』事業
鮫島:貴社の竹資源有効活用プロジェクト『バンプーフロンティア』事業の背景と取り組み状況について教えてください。
岡田:全国で荒廃竹林が急拡大しており、全国の自治体がその対策に頭を痛めています。荒廃竹林は環境整備面だけでなく、ほっておくと土砂災害などを誘発する原因になります。鮫島:そこで竹資源をバイオマスエネルギー源などに有効活用できないかと考えたわけですね。
岡田:竹は2か月で急成長します。木質資源の生育サイクル30年に比べると竹は3年と圧倒的に早い。荒廃竹林の整備と未利用資源の活用の両方ができます。鮫島:地方にとっては新たな竹産業の創出にもなる。
岡田:私どもがコンサルティングを行っている熊本県南関町では2015年7月より竹資源有効利活用プロジェクトが始まりました。地元企業を中心に設立されたバンプーフロンティア㈱(資本金2億円)が竹の広域収集体制を確立して竹チップ(原料・燃料)を製造します。グループ企業であるバンプーエナジー㈱は総事業費15.5億円のバイオマス発電所を、建築用ボードを製造するバンプーマテリアル㈱は総事業費23億円です。地域の金融機関や電力会社、さらに農林漁業成長産業化支援機構やNEDOなどの公的支援も受けながら事業拡大をしていく計画です。■ 研究開発と知財戦略
鮫島:ところでなぜ今まで竹工業が実現されなかったのでしょうか?
岡田:竹資源の工業化には、竹材調達と不安定品質が課題でした。民有林の権利関係整理や伐採収集システムの確立には自治体の支援が必要です。また竹は中空であるため歩留まりが悪く、含水率が高く、さらに融点が低いため燃料に向いていない等の問題がありました。鮫島:大学やプラントメーカーなどと共同して技術開発を行う事でそれらの問題を解決したのですか?
岡田:それもありますが、竹は地域ごとや1本1本で特性が違います。私は30年、父の代からですと竹製品開発を行ってきた50年の経験ノウハウが技術のベースとなっています。これからは蓄積したノウハウだけでなく、知財権との両輪を固めながらビジネスモデルや参入障壁を確立していく必要があるとも考えております。■ 地方創生モデルとして
鮫島:今後の事業戦略についてはどうお考えですか?
岡田:熊本県南関町のプロジェクトをスタートとして、バンプーフロンティア事業を全国各地に展開していきたいと考えています。そのためにホールディングス会社を設立して、技術者と知財権を集約することで効率的に多展開が出来る仕組みを構築します。収益源はロイヤリティやコンサルティングフィー、プラント販売収益となり、さらに竹資源有効活用を目指した技術開発に取り組みながら上場を目指していきます。鮫島:貴社の事業は雇用や税収面など、非常に完成度の高い地域創生モデルです。今まで相当のご苦労があったと思いますが、ぜひ全国に展開して地方活性化の先頭を走っていただきたい。
岡田:本プロジェクトの雇用創出は3社合わせて120名、伐採・収集等に関わる潜在雇用を入れると300名超になります。さらに、輸入材や県外で生産された建材が、県産材に代わることで地域経済ベースでは30億円以上の経済効果が期待できるなど、地域経済の循環モデルとして国や県からも大きな期待を寄せて頂いております。鮫島:本日はありがとうございました。
―「THE INDEPENDENTS」2016年12月号 P22-23より
株式会社タケックス・ラボ
- 住所
- 大阪府吹田市江坂町1-23-5 大同生命江坂第2ビル7F
- 代表者
- 岡田久幸
- 設立
- 2002年2月5日
- 資本金
- 従業員数
- 事業内容
- 竹資源有効利活用に関する製品開発及びコンサルティング
- URL
- https://www.takex-labo.com/