「「地域企業のクールジャパン戦略(クールジャパン機構 若井英二氏)」」
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【特別対談レポート】
「地域企業のクールジャパン戦略」
(左)株式会社海外需要開拓支援機構 専務執行役員 若井 英二 氏
(右)第一勧業信用組合 理事長 新田 信行 氏
(司会)株式会社Kips 代表取締役 國本 行彦
新田:東南アジアへの進出を検討する企業、また実際に進出した企業も最近は増えてきました。しかし、各国からの進出で飽和しつつあり、競争も激化しているようです。クールジャパン機構では、場の提供だけでなく、どういったご支援をされているのでしょうか。
若井:今年7月にシンガポールでオープンした「ジャパンフードタウン」では、国内の地域外食ベンチャー16社が出店しています。外食企業の海外出店では、鮮度管理や物流費の問題で日本食材を使うことが難しいのが一般的ですが、沖縄の物流ハブから週4便の食材供給を行うことでサポートしています。また、テナント企業が共同購入した松坂牛フェアは好評だったようで、まさに集積によるPR効果といえます。お客様だけでなく、他国の商業施設運営者の出入りもあり、「ぜひ当国でも」というオファーもあるようです。
新田:第一勧業信用組合では、12の地域信用組合と提携し、首都圏の販路拡大等を支援しています。地域企業は首都圏だけでなく、東南アジアへの進出も見据えています。現地における日本のイメージはいかがでしょうか。
若井:日本の生活に対する憧れはあります。これまでは自動車や家電など、各企業がその断片を輸出していたに過ぎず、トータルで日本の文化を魅せる必要があると考えています。10月27日にクアラルンプールでオープン予定の「ジャパンストア」では、「全館クールジャパンの館」をコンセプトに、ほぼ日本のプロダクトのみを取り扱う実験的な取組みになっています。日本でもなかなか手に入らないもの、ということにもこだわっており、全商品ブランドのうち、約6割がマレーシア初進出のブランドを揃えています。
新田:今年2月から地方連携を開始し、「地方はピッチャー、東京はキャッチャー」なのだなと考えるようになりました。地方はどんどん東京に売り込みたい、東京は東京で地方を楽しみたい。東京資本が地域進出するのではなく、この形なら東京のお金が地域に流れます。
若井:2020年東京五輪に向けて、地方と東京のつながりを構築することが重要です。羽田空港を窓口として、東京を日本のショーケースと捉える。地方の多様さを東京に集め、本物は実際に地方を訪れてもらうもよし。最近地方の主要都市を巡る機会がありますが、自信を持って地方ならではの個性を出してほしいと思います。当機構では、「せとうち観光活性化ファンド」や、全国の民泊情報を提供する(株)百戦錬磨にも出資しています。
新田:最近つくづく感じるのは、日本の中小企業は素晴らしいプロダクトを作っているにも関わらず、ブランドで負けているケースが少なくないことです。
若井:良いものを安く大量に製造する、いわゆるファクトリー的ものづくりが日本社会の成功体験になってしまっていることが原因です。一方で、日本のテキスタイルや縫製技術は海外の超一流ブランドが注目しています。ブランドづくりで最も大事なのは、安売りしないこと。飢餓感を煽り、少量で、高く売る。マーケットの動向に過剰に振り回されない、ぶれない真のブランドを目指してもらいたいですね。
―2016年10月14日インデペンデンツクラブ×DKC(第一勧業信用組合)にて