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「(株)リノヴェ、(株)スカイディスク、(株)エスティライフ」

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早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事

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No.710 株式会社リノヴェ(代表取締役 柏木 陽佑 氏)

株式会社リノヴェの柏木社長は、米国シアトルで学生生活を送り、郷里の徳島で英会話メソッドを確立し、地方からでもインターナショナル人材をということを目標に、事業所内保育を開始されました。通常の認可保育とは差別化した外国人も採用し、事業拡大中です。1億総活躍社会を目指し、女性の社会進出を促すために待機児童ゼロという政府目標とも合致しており、今後の事業拡大に期待が持てます。

①日本の資格試験問題

英語教育などの特性を生かすために、事業所内保育で外国人雇用をしている。ただし、保育士の資格試験が日本語のみで行われている。資格試験に複数言語で受験できる制度改革がおこなわれるまで、英語教室を展開する特性を生かし、日本文化に興味のある優秀かつ多様な能力の外国人材をいくらでも採用できので、多様なプログラム開発をし、成長を期待する。

②一事業者内保育の限界

各企業が、福祉的観点、優秀な人材確保、レピテーションの向上のために、事業所内保育を導入する傾向があるのは確かであるが、一事業所だけで児童の人数を長期に確保するのには限界がある。一定地域内での事業者連携・小学校からの学童対象など地域の特性を生かした工夫が必要である。

③安定的成長のための市場を求めて

待機児童・学童の量的問題はそのうち解消される。国内では、量的競争から質的競争に移る。学童は働き手であるという発展途上国の早期教育問題の解決など、既に実施してるマニュアルの整備や、均質な保育・幼児教育のシステム化という特性を生かして、徳島ローカル発のグローバルカンパニーに成長市場を求めて展開することを期待する。


No.711 株式会社スカイディスク(代表取締役 橋本 司 氏)

株式会社スカイディスク橋本社長は、過去数社の会社を設立し、時代の流れとIoT事業の構想を明確にして、2013年に当社をスタートしました。IoT事業の利用容易性を高めるためにセンサデバイス開発からデータ蓄積、さらに分析クラウドサービス化まで、利用者に難しさを意識させることなく一気通貫で提供するIoTビジネスを開発してきました。時代の要請を受けて、成長の手ごたえを感じてられますが、IPOは成長加速戦略と位置付けて、IoT分野で確固たるポジションを築くことを期待します。

①福岡という地の利をフルに活用を

国際戦略ベンチャー特区として認定された福岡市ではあるが、決してIPO企業を多く輩出している地域ではない。シリアルアントレプレナーとしての実体験から、大学教員・福岡コミュニティ・弁護士等の3タイプのメンターを活用し、IoT事業を構想してスタートしている。当特区には、きわめてコンパクトに日本産業のすべての業種が集積しているので、徹底して地域を刈り尽し、まず域内での高収益モデルの実現を期待する。

②BtoBに対する積み上げビジネスを

会社は「新産業構造ビジョン」のビッグデータ、IoT、AI活用の流れに乗ってはいるが、IoT事業者の主導権競争は今始まったばかりである。会社は農業と物流に特化して、進化するIoTビジネスで勝ち残ろうと考えている。2分野とも商流の川上から川下まで既存のバリューチェーンの短縮化など、大変革中のリアルビジネスである。彼らと連携し、深く多様なビッグデータを把握し、業界や産業の変革をともに推進することを期待したい。

③進化するIoTビジネスで勝ち残るには

京都は、戦後最もグローバルベンチャー企業を輩出した集積地です。しかし、ここ20年全く存在しません。西陣織という京都では最も古い技術を活かし、一度京都を体験した文化レベルの高いビジネスマンを魅了する京都で、MOT(技術経営:技術を活かした高収益モデルの構築)を実践していただきたい。

No.712 株式会社エスティライフ(代表取締役 坂口 豊隆 氏)

株式会社エスティライフ坂口社長は、1991年からフィナンシャルプラン(FP)事業に係り、2社目の創業として2006年当社を起業しました。パナソニック他の職域(大手人事、共済会、労組)向けライフプランシミュレーションを製作し、個人FP相談と併せた事業を展開しています。提職域向けのユーザーが利用するサービスを自ら選択できるプラットフォームを運営し、「ASP利用料+事業会社マッチング料」が収益モデルです。収益基盤を盤石にし、IPOによってさらに成長を加速させ、当分野のインフラとなることを目指してください。

①キャリア形成の職域教育での顧客獲得の加速

一億総活躍社会の一方で、年功序列のもとでの終身雇用制度が崩れている。キャリア形成を自分で考える時代が到来している。退職後の生活設計、401Kのように年金個人管理への移行、疾病に対するリスクに対する保険など、個人のFP教育を行っている。他依存型から自己管理型への移行で、職域教育で最も効率の良い営業方法を確立してきた。より多くの職域教育に食い込めるかが成長戦略に直結する。

②BtoBtoCのビジネスモデルの深化を

会社は、BtoBtoCビジネスの典型である。個々人のFPを長期に考えると、家族構成・年齢・余命を含め多くの家族情報、さらに転職の意向を含む生活設計情報を必要とする。個人情報を深く把握していない金融機関には、喉から手が出るほど欲しい情報である。短期の金融商品の組み換えサービスで個々人の信頼を高め、長期の金融支援ツールの開発で事業領域の拡大を期待する。

③深い個人情報把握の優位性活用

生損保・銀行・証券業界とのネットワークが強化されるほど、当社のFPサービスを通した個々人の必要とする人生設計情報が集積される。終身雇用の概念が崩れつつある現在、人生キャリア形成支援ビジネスが多様化している。個々人が資金をうまく運用する守りの支援ビジネスから、最適な自己の能力を発揮する攻めのビジネスという人材ビジネス、さらに終活ビジネスまで事業領域の拡大が可能である。把握した深い個人情報のセキュリティーを重視し、第二、第三の人生を安心・安全に過ごしたい高齢社会のインフラになることを期待したい。

2016年8月8日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて