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「「職域マーケットを通じて従業員のライフプランを支援していきます」」

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【坂口豊隆 略歴】
1956年2月1日生まれ。武蔵大学出身。
1991年 加藤久典公認会計士事務所入所 FP部門担当
1996年 株式会社ジャスティ 創業
2001年 SBIグループ イーアドバイザーと合併
2005年 モーニングスター社と合併 執行役員常務
2006年 同社退社、エスティライフ創業


【株式会社エスティライフ 概要】
設 立:2006年6月2日
資本金:8,450千円(株主:経営陣)
所在地:愛知県名古屋市中区栄1-5-8 藤田ビル3F
事業内容:パーソナルファイナンシャルデータベース事業

<起業家インタビュー>

株式会社エスティライフ 代表取締役 坂口 豊隆 氏

「職域マーケットを通じて従業員のライフプランを支援していきます」


職域マーケットを通じてパーソナルファイナンシャルDB事業を展開。
金融ITベンチャーの先駆けとしてFintech市場に挑戦する起業家。

職域マーケットにおける貴社のビジネスモデルについて教えてください。

私どもは企業を通じて従業員のライフプラン設計を支援する会社です。企業に対してライフプランの教育研修ツールをASPサービスで提供し、従業員は無料でライフプラン設計ができます。一方で金融機関に対してはライププランに関する金融商品をマッチングしていきます。私ども自身では金融商品販売は行いません。

終身雇用制度の終焉に伴って早期退職制度を導入する企業が増えています。

企業はキャリアアップに挑戦する自立した従業員を育成したいと思っています。しかし従業員は経済的不安から転職や起業をためらいがちです。私どもは金融知識やライフプラン設計の教育研修を通じ従業員の独立チャレンジを支援しています。

「ほけん診断アプリ」を通じてファイナンシャルデータベースを構築しています。

スマホで保険証券を撮って送ると個人の財産を一元管理する「ほけん診断アプリ」を通じて、職域マーケットを通じた「ファイナンシャルデータベースシステム」を構築しています。2015年には日本IBM基礎研究所とAI志向の「ファイナンシャルデータベースシステム」を共同開発し、「貯蓄」「保険」「住宅ローン」「年金」「相続」の6分野の専門家と電話とメールによる相談サービスを提供しています。

金融機関はコンペティターになりませんか?

私たちにとっては競合先ではなく、むしろパートナーという位置づけです。確かにメインバンクと企業の繋がりは強く大手金融機関は無料で金融セミナー開催やシステム提供も行います。私どもの最大の特徴は職域マーケットを通じて従業員のフィナンシャルデータベースを構築している点であり、金融機関はそれができません。従業員も複数の金融機関を比較して自分に最適な金融商品を選択する事を望んでいます。

Fintech市場が注目される中で家計簿を握るベンチャー企業が急成長しています。

インターネット上にもライフプラン設計や相談できる企業はありますが、日本で最も与信力の高く余剰金融資産が多いのが職域マーケットです。特に福利厚生制度が充実している大企業の職域マーケットはライフプラン設計のきっかけを作りやすく、参入障壁も高くて十分に大きな市場です。

最初の起業は1996年で今回は2度目の上場チャレンジです。

企業向け教育研修事業を行うファイナンシャルプランナー(FP)として起業し1998年にはVCからの出資も受け上場準備に入りました。1年でも早く上場したいとSBIのグループ企業と2001年に合併しましたが、企業文化の違いから思っていたようなシナジー効果は得られませんでした。企業は確固たる理念を持つ必要があると痛感しました。今回の起業はパナソニックをはじめとする大企業の人事部、共済会、労組などからの要請と、ファイナンシャルプランナー(FP)研修事業の経験豊かな堀江取締役との出会いが私にとっては大きな原動力になっています。

株式上場を目指すにあたってのポイントは何でしょうか?

上場の目的は対外的信用を得るためです。職域部門における教育研修とシステム利用料で収益基盤を固め、金融機関等に対する情報提供事業による成長戦略です。職域を通じて得るファイナンシャルデータベースを現在8,000件から5年後に5万件へ増やす事がKPI(重要業績評価指標)になります。

団体保険や社内預金などの企業の福利厚生制度は減少していきます。

従業員同士の繋がりが希薄する中で、人生設計を相談できる相手や場所も減っています。私どもは強みである職域システムとマーケティングに特化する中で、退職者OB会運営や結婚や出産などのライフイベントに対応したサービス提供などを広げていきます。

本日はありがとうございました。最後に今後の事業展開についてお聞かせください。

私どもはFintechという言葉ができる前から金融ITベンチャーとしてライフプランシュミレーションに関わっていきました。職域マーケットで培った経験とノウハウを活かしながら、個人の人生設計を応援できる上場企業を目指していきます。

※「THE INDEPENDENTS」2016年8月号 - p4-5より