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「「名大ファンドについて」」

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1994年東京大学工学系研究科情報機械工学修了後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。1998年日本ベンチャーキャピタル入社。2009年4月代表取締役就任。2016年3月「名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投資事業有限責任組合」設立。

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■ 東海広域5大学ファンド

名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、岐阜大学、三重大学(以下『東海広域5大学』という)には、今世紀の国内ノーベル賞受賞者の半数近くを輩出していることで証明されるように、優秀な研究人材が多数存在する上、地元製造業との長年の連携により高いレベルの研究成果が存在しています。また、東海広域5大学は産学連携に熱心に取り組んでおり、基礎研究はもとより実用分野において数々の目覚ましい成果を挙げています。しかし、大学発ベンチャーの起業数において東海地区は低迷しています。そこで今般、地元企業や金融機関からの出資25億円による名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャーファンドを設立する事になりました。

■ GAPファンドの創設

 最先端の技術シーズほど、世間のニーズとマッチしていないことが多々あります。また、研究を実用化する為には、ニーズやコスト、工程など検討すべき課題が多々ありますが、大学での研究レベルではそこまでの検討がなされていないことが多く、事業が行き詰る例が数多くありました。
 それを解決するためにNVCCの寄付金により大学の産学連携部署を事務局とした「GAPファンド」を創設しました。これは起業を前提とした大学の技術に対し、1件数百万円を支給し社会実装に相応しい技術か否かの検討を行うもので返還義務はありません。GAPファンドの資金により選抜された起業に相応しい技術のみをベンチャー化することで、投資時の事業リスクの低減を図ります。
 NVCCは同時に起業家教育に対しても寄付を行い、人材育成面からも実用化支援を行います。

■ 投資先紹介

1.APTJ株式会社(名古屋大学発、2015年9月設立)
・名古屋大学高田教授が2015年9月に設立したベンチャー。自動車のECU(電子制御ユニット)の為のAUTOSAR準拠の共通OSを開発し、自動車関連企業に提供する。
・大手自動車各社はAUTOSAR準拠のOSを搭載したECUを2020年モデルの市販車に搭載すると発表しているが、現在AUTOSAR準拠のOSをまともに提供できるのはドイツのベクター社のみであるが、同社は明確にドイツメーカー優先を表明しており、日本メーカーは納期のコントロールもできず高いコストを強いられておりこのままでは2020年モデルへの搭載が事実上不可能になっている。
・今後自動運転や自動車のIoT化等、勘案すると、不具合が起きた時の対応の為にも、国産でECUのOSを確保することは日本の自動車産業の競争力維持のためにも必須と考え、ベンチャー設立の運びとなった。
2.WHILL株式会社(2012年5月設立、神奈川県・米国)
・スマートで操作性に優れたパーソナルモビリティとしての電動車いすを開発・販売している。
・同社CTOの内藤氏(ソニー出身)、福岡氏(オリンパス出身)は共に名古屋大学大学院工学系研究科を修了している。

―2016年7月13日名古屋インデペンデンツクラブ(名古屋証券取引所)にて