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「ベンチャー業界の徒弟制度」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任


“ベンチャーキャピタルは最後の徒弟制度である”。私が日本合同ファイナンス(現JAFCO)時代に当時社長の今原さんから教わった言葉です。ベンチャー成功には、とにもかくにも経営力が重要であり、そのためには経験あるキャピタリストから様々なケースを教わる必要があるという意味です。当時のJAFCOは、この言葉を日本に伝えた米ベンチャーエコノミクス誌プラット氏著の「アメリカのベンチャーキャピタル」を翻訳して、米国VC業界やVC投資スタイルを学びました。日本電産や第一臨床センター(現アインホールディングス)に投資成功した今原さんはベンチャーキャピタリストの第一人者であり、JAFCOだけでなくJAICを上場会社に育てた経営のプロでもあり、米国の投資事業組合方式を日本へ導入して、日本のVC業界の礎を築いた偉大な先人です。

1946年のARD社設立によって始まった米国VC業界は、1980年代にファンド規模1億ドル以上のVCが増え、独立系VCとコーポレートVC主流的存在になっていました。現在の日本では毎日のようにVCファンドが設立されています。有望な投資運用先を探す機関投資家、新規事業先開拓を狙う事業会社、自身の成功経験をスタートアップ企業に活かしたいと考える企業家などVC業界への期待は高まっています。

日本のVC業界も30年が経ち、数々の成功体験を持つキャピタリストや起業家が増えています。日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)では現役キャピタリストが講師を務めるベンチャーキャピタル研修が本格化し、大阪では先輩起業家がメンターとして若手起業家を指導する制度「ブーミング」が始まり、熊本崇城大学では起業経験者が学生の起業を促進する起業部も創設されました。日本のベンチャー業界も経験値を伝承する徒弟制度が進んできました。

※「THE INDEPENDENTS」2016年4月号 - p2より