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「「メニュー情報を活用して、今までにない価値を提供していきます」」

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【高橋 洋太 略歴】
1984年6月11日生。法政大学第二高校出身。
2004年学生起業家選手権優勝、法政大学在学中に起業。
2009年4月(株)エニグモ(2012年東証マザーズ上場)入社。
2013年5月(株)gram30設立、取締役就任。
2014年12月当社設立、代表取締役社長就任。*gram30より事業譲渡。

【株式会社SARAH 概要】
設 立 :2014年12月1日
資本金 :50,540千円(経営陣、事業会社、VC)
所在地 :東京都渋谷区神宮前2-21-17
事業内容:グルメアプリ「SARAH」の運営
従業員数:11名(アルバイト含む)

<起業家インタビュー>

株式会社SARAH 代表取締役 高橋 洋太 氏

「メニュー情報を活用して、今までにない価値を提供していきます」


グルメメニュー検索「SARAH」を基盤にデジタルヘルス市場開拓を狙う。
学生起業と転職先ITベンチャー上場という事業経験豊かな起業家。

「SARAH」はメニュー単位で外食店舗を検索できるアプリサービスです

私どもはメニュー情報をデータ化して、メニュー検索(Ex.餃子、ナポリタン)、直観検索(Ex.温かいもの、辛いもの)、ヘルスケア検索(Ex.低糖質、オーガニック)、味覚学習(個人の好みに合わせたランキング)、レストラン内の人気メニューランキングをユーザーに提供しています。

グルメサイトには大手競合先が数多くあり参入余地は少ないと思いますが

食べログ7000万人、ぐるなび5000万人、ホットペッパー2000万人、Retty1000万人が大手グルメサイトのMAU(月間アクティブユーザー)です。しかし既存グルメサイトは店舗情報のデータ化に対して、私どもはメニュー情報から店舗情報をデータ化しています。例えば「新宿 麻婆豆腐」という「エリア×メニュージャンル」のワードは検索ボリュームを増やせるので、新たなグルメ市場を創造できると考えています。

ユーザーからの投稿がソーシャルメディア運営のポイントになります

「SARAH」はメニューに対しての口コミ評価と写真投稿で成り立つソーシャルメディアです。ユーザーはソーシャルメディアとの相性が最も良い若年層が多く、口コミ情報が集まりやすいサイトになっています。社会人男性や主婦がメインユーザーである既存グルメサービスとは競合しません。

他社からの類似サービス参入に対する競合対策はどのように考えていますか

2015年4月のサービス開始から累計レビュー数15万件、投稿者率20%と、グルメサービスの中で圧倒的な成長率とポジションを得ています。ページ数・インデックス数の増加によりユーザーは月間200%増加しており、累計メニューデータ数は200万件を超え日本一になりました。コンテンツが溜まっていくCGM(消費者生成メディア)は参入障壁が高いのが特徴です。

グルメ検索の収益モデルにはユーザー課金と広告収入があります

外食店舗からの広告収入(B2B)と、コアユーザーを対象とした課金(B2C)とのバランスの取れた収益モデルを考えています。外食産業のWEB広告費市場は600億円、グルメサイトに対する個人の支出(サイト課金)市場は20億円あります。さらに広告収入は飲食店からだけでなく、メーカーからの広告収入も考えています。

企業向け広告事業における強みはどこになりますか。

メニュー単位のため、食品・健康食品・飲料・化粧品メーカーとの相性が良く、コンビニ・ドラッグストア・スーパーへの店舗誘導ができる強力な広告プランとしての十分な価値提供ができると考えています。食品メーカーの広告市場だけで3000億円もあります。外食口コミサイトから食品口コミサイトへと指していきます。

マネタイズはどのようなスケジュールで行っていきますか

現在はユーザー獲得と継続利用率を最優先目標にして収益は全くありませんが、年内に食品メーカーへの広告事業を始めます。その後はヘルスケア検索サービスでユーザー課金を始め、来年は飲食店からの広告収入を広げる計画です。

黒字化までの資金確保が課題です

ユーザー数が多いグルメサービスのメイン流入はSEO(検索エンジン最適化)が中心です。SEOで勝てればユーザーは伸び、そうでなければ停滞します。SEO対策は社内のエンジニアチームで行っています。バーンレート(固定費)は人件費が中心で、外部プロモーションなどの変動費は考えていません。損益分岐点は低く設定でき、来年度単月黒字達成までの固定費をエンジェル・取引先・VCから今春に調達する予定です。

デジタルヘルス市場をターゲットとした事業提携も進めています

デジタルヘルスに関するアプリ市場は2020年には現在の10倍超の5兆円になると予想され、ヤフーやドコモなどはヘルスケア事業に取り組み始め、ヘルスケアベンチャーへの出資を行う大企業も増えています。ダイエット・健康・美容を意識している人は、外食時の食事管理に課題を抱えています。「SARAH」が提供するヘルシー検索は、低糖質や低カロリーなど栄養素のキーワードで外食店舗を探せます。ダイエットやフィットネス業界とも相性が良く、大手フィットネスジムやダイエットアプリのユーザーに私どものサービスを提供しています。

学生起業から上場経験まで様々な経験があります

法政大学在学中の19歳の時に、学生起業家選手権での優勝賞金300万円を元手に、ストリートダンサーを活用した人材ビジネスを起業しました。社員5名に増えたところで事業拡大に限界を感じ、ソーシャルショッピングサイト「バイマ」を運営するエニグモに入社、web事業の経験と人脈、そして2012年7月に東証マザーズ上場という経験もしました。Web事業の経験や人脈を築いて今回の起業に至りました。

最後に将来ビジョンを教えてください

SARAHのビジョンは、みんなが本当に食べたいものにたどりつくグルメサービスです。メニュー検索は、英語圏でも競合が少ないため、億単位のユーザーが獲得できるポテンシャルがあると考えています。ただ実際の日々はシンプルにグルメ好きな自分自身が利用したくなるサービスを創りたいと思っているだけです。

※「THE INDEPENDENTS」2016年3月号 - p4-5より