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「2016年のIPO市場」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任


年初からの株式市場の下落で、今年のIPO予想100社に陰りが出てきたようです。株式市場が長期下方トレンドであれば、IPOを延期せざるをえなくなるケースが増えます。赤字モデルの企業の中には、資金調達が出来ずに行き詰る企業も出てくるかもしれません。最近は、投資、特に株価についてVCは慎重になり始めています。

株式市場の低迷要因には世界経済の不安定さがあります。しかし日経平均最高値38,957円を超えられない時代が、あれはバブルだったからという言う声もありますが、25年も続いている状況にもあります。IT革命と騒がれた2000年代から現在に至るまで、日経平均は7,000円から20,000円の間を繰り返しています。株式市場は日本の長期的成長力に疑問を呈しているのでしょうか。

日本の成長戦略には破壊的イノベーションが必要と言われています。しかし市場は社会変革を志す起業家を求めているのか、安定配当を約束できるプロ経営者を求めているのか。日本の投資家は、保守的あるいは短期志向が多く、さらに高齢化社会を迎え安定志向が強くなってきているようです。全員が反対している時にリスクを取れるか、ベンチャー投資の勝負どころです。

2015年度のインデぺンデンツクラブ大賞グランプリは、アクセルスペース社が選ばれました。東大と東工大の学生チームが興した超小型人工衛星を打ち上げるベンチャー企業です。その他にもテクノロジーを武器に、新しい市場を切り開く大学発ベンチャーが増えています。大勝負に賭けている起業家にIPO市場はどこまで応えるのか、今年は試されています。


※「THE INDEPENDENTS」2016年2月号 - p2より