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「「塚原牧場の歩み~その差別化戦略」」

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【塚原 昇 略歴】
1966年11月19日生。茨城県立下妻第一高校出身。1989年千葉大学法経学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・ジャフコ)入社。1993年㈲アクトニー・イチ入社(現・㈱ACT21代表取締役)。1998年筑波大学大学院環境科学研究科卒(修士:環境科学)。2002年㈲塚原牧場(現・㈱塚原牧場)設立、代表取締役就任。

【株式会社塚原牧場 概要】
設 立 :2002年6月17日(株式会社ACT21より分離)
資本金 :50,000千円(株主:経営陣)
所在地 :茨城県猿島郡境町2170-1
事業内容:「梅山豚(メイシャントン)」肉の加工品販売

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■ 幻戦略「いつもはない、どこにもない」

『梅山豚』を知っている人はどのくらいいますか?実は知られていない事がいい。「梅山豚(メイシャントン)」は国内に種豚が100頭しかいない最高級豚肉です。1頭当たり12万円、普通の豚肉は3万円のところ4倍の値段です。販売先は、会員制直販「梅山豚倶楽部」、プレミアムレストランとホテル、全国の百貨店等に限定しています。デパ地下では売切れ必至の目玉商品で、伊勢丹では1週間限定のうち半分は固定客のために取り置きされています。プレミアムレストランはミシェランに載るようなレストランを中心に約100店に販売しています。アラン・デュカスが当牧場に来た事もあります。

■ 「エコ・フィード(Eco-feed)」の最高級霜降り肉

「梅山豚」は私の父が1989年に中国からの直輸入を機に、林間放牧場を開設して飼育を始めました。しかし世界一赤ちゃんを産む豚ですが未熟豚も多く飼育が難しい。そこでデュロック種との交配によってF1(50%雑種)へ品種改良しまし た。もう一つはエコ・フィードによる自家配合飼料の開発による品質向上です。私は筑波大学大学院の環境研究科で「食品資源の循環システム」を研究していました。食品工場から廃棄される麦茶粕やパン粉を原料としたエコ・フィードを1997年に導入し餌の品質改良を行なった結果、梅山豚霜降り肉の開発に成功しました。

■ トップブランドの多角化戦略

2002年に塚原牧場スピンオフと同時に、デザイン事務所と契約しトップブランド戦略を始めました。まずは商標登録です。「梅山」という種では難しいのでロゴマークと一体で取得しました。梅山豚開発物語の作成(リーフレット)、高級包装、電話応対にも気配りをしながらトップブランド浸透を図っています。種豚の頭数拡大はせず、付加価値追求と事業領域を広げる戦略です。今後はWeb販、自社直営店舗展開、焼売等の加工品販売、海外展開を考えています。

■ 農業経営者としての取り組み

養豚場のコンサルテイングを行っています。北海道の牛乳とじゃがいもを餌とした「望来豚(モウライトン)」は年商2億円になりました。後継者に悩む畜産家からの相談がひっきりなしに来ます。国内自給飼料の開発にも取り組んでいます。残念ながら先日の東北・関東豪雨で農地は水没しましたが来年からリベンジです。国産豚と言っても餌の半分以上を占めるトウモロコシは96%が輸入です。トウモロコシ・米を自給飼料化する事で国産自給率の高いトップブランド「梅山豚」のストーリーがいよいよ完成します。

【コメンテータ】

西島聡:農業ファンド設立とM&Aによる成長戦略を検討されたら良いでしょう。
幸谷泰造:市場や農協を通さない直販方式は強豪の偽装対策としても効果的です。

*2015年11月17日インデペンデンツクラブ×第一勧業信用組合にて