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「介護の現場を総合的にサポートする「介護総合支援事業」」

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インフィック株式会社
代表取締役 増田 正寿さん

1967年静岡県牧之原市生まれ。大学卒業後、建材メーカーにて経理、不動産事業、新規事業企画を行い、大手介護会社の事業副本部長を経て、2000年にインフィックグループを設立。

住所:静岡県静岡市葵区黒金町61-5 中西ビル2F TEL:054-280-7340
設立:2002年12月  資本金:3,000万円 従業員数:124名
グループ会社:株式会社まごころ介護サービス
http://www.infic.net/

―どのような事業をされていますか?
一言で言うと、「介護総合支援事業」すなわち介護を取り巻くシーンを総合的にサポートするサービスを行っている会社です。「介護総合支援事業」というのは、私がつくった造語です。ご承知の通り、要介護人口は大きく増加しており、2024年には介護市場は25兆円(現在7.5兆円)になると言われています。介護保険制度が始まって10年、介護事業者はみるみる増加してきました。周辺事業に乗り出している企業も既に多くあります。しかし、これらを総合的に実施できる企業というのは実は少ないのです。

―具体的なサービスを教えてください
グループ会社「株式会社まごころ介護サービス」で介護保険対象となる介護事業を行い、10拠点22事業所を展開しています。介護事業の現場で培ったノウハウや高齢者・ご家族・スタッフの声をベースに、5つの周辺事業を行っています。

1.介護・医療分野に特化した人材派遣・紹介などの総合人材サービス事業
2.介護に携わる知識やスキル向上の場を提供し、質の高い人材の養成事業
3.介護用品や自立支援に役立つ用品のインターネット通信販売事業
4.要介護の高齢者向け旅行サポート事業および「おでかけヘルパー」養成事業
5.介護事業所に特化した実践的な経営戦略コンサルティング事業

これからの高齢社会はニーズが多様化してくるため、介護保険制度の一面的なサービスだけでなく、高齢者がその人らしく過ごしたり、家族、介護スタッフ、事業者全体を支える多面的なサービスが必要だと考えています。

―特に注力している事業は?
おでかけサポート事業ですね。島田市のあるお客様が「どうしてももう1度御前崎に行きたい」とおっしゃったそうなのです。御前崎まで車で30分もかからない距離なのに、高齢者からすると叶わない場所になっていることに気付きました。迷惑かけたくない、見られたくないなど複雑な思いから、高齢者自身が行動を制限してしまっていることもあるのだと。そもそも介護というのは高齢者の社会性を支えるもののはずなのに、これではいけないと思いました。実際に旅行に行くと、車いすの方が歩けるようになったり、旅行を通して信じられないようなお体や心の回復がみられます。

―旅行となるとリスクもあるのでは?
このサービスには課題もあります。まず、旅行先のバリアの情報が事前に必要です。実はバリア自体が問題ではなく、バリアがあることを知って宿泊・観光施設に段差等を少しサポートできる人がいれば要介護高齢者の受け入れは可能です。受け入れ側のソフト面を整えるために、宿泊・観光施設スタッフ向けの介助研修を提供しています。もう1点、旅行介助者のスキルや知識が必要という課題です。これには、ヘルパーと添乗の知識や技術養成のカリキュラムを構築し、「おでかけヘルパー」という独自認定を付与しています。さらに、宿泊・観光施設のバリア環境調査、バリア情報のインターネット発信や環境整備できている施設への誘客支援などを総合して行っています。大手旅行代理店の参入もありますが、介護目線がない分、限られた場所しかツアー設計していないようです。その点当社は、ヘルパー派遣、公共のサポートを利用してコストダウンできるポイントなどを現場ノウハウとして持ち合わせているので、ニーズに合った旅行提案を幅広く行えます。現在は静岡県緊急雇用創出事業を受託し、トータルに環境整備をすることにより「静岡県は行きやすい」と言われる地域となるよう、静岡県への高齢者の観光誘客に取り組んでいます。このノウハウを横展開することで、さらに大きなビジネスチャンスになると思っています。介護事業者のネットワークを活かして全国展開することも視野に入れています。

―ショップも好調なようですね
今後の大きな柱になりそうなのが、まごころショップ事業です。現在運営している自社サイトと楽天に加えて、AmazonとYahooへの出店が決まっています。団塊世代の多くがインターネットを扱える方々です。「家族の世話になりたくない」「自分で選びたい」というニーズの方がとても多いので、この世代が近い将来、介護が必要になってくることを考えるとインターネットでの展開は必要不可欠になってくるので、今の段階から積極的に仕掛けています。取り扱うアイテムも、単なる介護シーンで必要な用品だけでなく、自立支援に役立つアイテムを取り揃え、快適な老後生活をバックアップしていくことが必要だと考えています。介護を知り尽くした当社グループが提供することの優位性を活かせる事業です。

―戦略を実践する上で社内で取り組んでいることは?
毎年、幹部社員で合宿を行い、翌期以降の事業計画を検討しています。数年前までは、役員のみでほぼ全ての意志決定をしてきました。意図的に責任者を事業戦略の立案の場に巻き込んで、最近では思いもよらないアイデアが責任者から出てくるようになっています。事業化したものもあります。常に5年先10年先を考えて今から何をすべきか、事業計画に落とし込んで全社員への徹底をはかっています。設立から10年、ここまでやってこられたのは、事業の方向性を信じてついてきてくれるスタッフ全員のおかげです。スタッフの働きやすい環境づくりが私の使命です。これなくして顧客満足はあり得ません。全社一丸となって計画を遂行して、今後10年でグループ売上30億円達成を実現させたいと考えています。


11月8日静岡事業計画発表会では、インフィック増田社長に同社の事業計画について発表いただきます。ご関心のある方は是非ご参加下さい。

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推薦者のコメント(株式会社チェンジマスターズ 法貴 礼子) 介護ビジネスの成功は、高齢者・ご家族・現場スタッフの全てがWIN-WIN-WINの関係にあることです。高齢者やスタッフを幸せにし、さらに介護を取り巻く環境全体を整備していく姿勢・発想力・実行力が、インフィックグループが躍進している最大の要因だと思います。今後、静岡以外にも展開を目指していますが、理念・原理・原則をそれぞれの地域に合ったやり方で展開しようとしています。これからの展開にも目が離せない企業です。


※全文は「THE INDEPENDENTS」2011年10月号 - p36-37にてご覧いただけます