アイキャッチ

「SORABITO㈱、㈱鈴生」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。
2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。
インデペンデンツクラブ会長

【バックナンバー】

2008年12月~*最新号もこちら

【イベント一覧】

全国年45回の事業計画発表会他

【入会案内】

月刊誌購読、イベント参加etc.

【マイページ登録】

メルマガ購読、電子書籍閲覧etc.


No.632 SORABITO株式会社(代表取締役 青木 隆幸 氏)

青木社長は、学生時代から建設機械を買い取り、海外のお客様へ販売するビジネスを行っていましたが、日本の建機等の品質が海外で高い評価を得ていることをわかり、働く機械の国際オンライン取引所を開設すべく、2014年5月にSORABITO(そらびと)を起業しました。建設・農業・運送・工作等の大型且つ高価機械をネット取引するサイトALLSTOCKERを今般立上げ営業を開始しました。国際標準に合致する「検品・査定→安心決済→物流」を一体体制でできる仕組みを作り上げました。オリンピック前にはIPOをする予定であるが、次のような課題をクリアする必要があります。

①BtoB取引での信頼確保

取引所の取引相手は、現在国内のレンタル会社から海外のレンタル会社が多く、プロ同士のBtoBです。取扱品の詳細な情報をWeb上にアップし、24時間365日オープンにし、取引金額の5~15%を成約手数料とするビジネスモデルです。取扱品の検品・査定、決済、物流については、それぞれ専門機関又は人と連携した信頼関係から成り立っています。一連の信頼関係がより深化するように、常なるブラッシュアップ努力をすること。

②ブランド確立と駆け抜けるスピード感

この取引所に参入障壁はありません。取引が拡大するにつれて、大手資本が参入する可能性もあります。メーカー、レンタル会社等の取引先にとって、自社で実施するよりもリスクが低く、効率が良いという、強固な信頼関係(ブランド)を構築し、一気に駆け抜けるスピード感がベンチャーにとって不可欠です。

③大型機械取引+αの付帯ビジネス体制

現在の取引に「+αの付帯ビジネス」、すなわち海外の顧客ニーズ情報を活用したデータベース事業、海外顧客への部品供給等加え、収益モデルへの厚みと国内外の取引先への付加価値の提供が重要になります。


No.633 株式会社鈴生(代表取締役 鈴木 貴博 氏)

 大学を卒業後「レタスで日本一は鈴生(すずなり)」と言われるように、「おいしさを求めて」2008年12月に新しい農業法人を起業しました。現在、静岡県7市を中心に、生産グループを運営しています。直営農場、協力生産者、県外協力者、さらに集荷・出荷場、加工場をグループ内に持ち、7億円の売上を上げています。日本一になるために、リアル農場の見える化にフィールドサーバー等ITを有効活用しています。リアル情報と生育状況の人確認、農場ごとのコスト計算、合弁先のモスフードサービスとは契約農場情報の共有を行っています。このような、集中管理と共に、農作業のプロセス分業化を明確にし、農薬散布やレタスのピッキングなどは専門家を導入し、効率化を図っています。
 海外との連携を含め日本の農業システム輸出モデルになる可能性があるが、次のような課題をクリアする必要があります。

①収益基盤確立からビジネスの安定成長へ

会社設立以降7年が経過し、台風などの影響はありましたが、国内でのリスクを克服し、農業法人としての収益基盤の確立段階を経過し、着実に規模拡大を伸ばす仕組みが出来上がりつつあります。また、「日本のレタス=鈴生」を目指すのか、枝豆も含め総合農産物法人になるのか、ビジネスの安定成長モデルを明確にする必要があります。

②分散と集中のバランス

事業においては「レタス生食+レタス活用法+機能性食品」のように、レタス文化の質的進化、さらに協力農家などのグループ化など量的拡大を同時に展開しています。事業構造の分散化を進めながら、管理面においては監査法人の指導を受けながら本部機構として管理の集中化を進めています。事業の多様化・分散拡大と末端情報まで即時的確に把握し、即効対応ができる集中化のバランスをとり、盤石な経営基盤の仕組の構築を期待します。

③海外展開伝道チーム

起業家精神旺盛な鈴木社長の行動力は、当然人口減少と耕作地に限界のある国内から、アジア各国に目が向いてきています。日本でビジネスモデルを構築し、モデルを海外輸出する6次産業ロールモデルになりうる会社です。ただし、海外では政治や地域有力者との連携になるので、事業規模とスピードが異なります。海外展開を実行する伝道チームとして鈴木社長の分身を何人育成するかが重要になります。


2015年11月9日東京インデペンデンツクラブ 東京21cクラブにて