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「従来の溶接では不可能だった精密肉盛・溶接が可能な新発想技術」

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テクノコート株式会社
代表取締役社長 青嶋 松寿さん

1944年静岡県藤枝市生まれ。日本ユテク株式会社を経て、従来の溶接技術ではできないダイカストの金型コーティングを追及するべく、1990年テクノコート株式会社を設立。

住所:静岡県藤枝市仮宿1458-3 TEL:054-646-1721
設立:1990年5月  資本金:5,000万円 従業員数:20名
http://technocoat.co.jp/

―原理・特徴
製造現場にとって肝となる金型は、消耗や傷が大敵です。当社は、予防保全や補修において、アーク放電やレーザーの技術を用いて電極材をワーク表面に低熱で処理できる製品を開発し提供しています。従来のアルゴン溶接は高熱で処理するため、冷めた際にワークと溶接部分にヒケやクラックが生じることがあります。また、溶接のために重い金型を取り外さなければならず、処理後は熱を冷ましてから装着する必要があります。当社の製品では、パルス状に放電・照射するため低熱で処理でき、ワーク素材が溶融せず、歪み・ヒケ・クラックなどが発生しません。ピンポイントの小さな肉盛にも向いています。また、製品自体がコンパクトで100?200Vの電源で使用できるので、金型を外すことなくオンサイトで処理でき、修理によるダウンタイム短縮、コストダウンを実現できるのが大きな特徴です。

―用途と導入実績
アルミダイカスト・鋳造金型のコーティングによる予防保全や肉盛補修、機械部品のオンサイト補修、プラスチック成形用金型のインライン補修、アルミ製品の欠陥補修などの用途に使われています。主に、自動車関連メーカーに導入され、近年は海外需要も増えています。NASAでロケット部品の補修にも導入されました。放電回路を利用したコーティング・肉盛方法は、当社が特許を取得しており、これまでに国内外で4,000台以上の納入実績を有しています。またパルス状のレーザー光を利用した小型・低価格のレーザー肉盛・溶接機も開発し、さらに精密さと幅広い用途に対応できるようになりました。放電もレーザーも、専門性や高度な技術・経験を要する従来の溶接に比べ、短時間のトレーニングで誰でもオペレーションでき、メンテナンスコストを大幅削減できると喜ばれています。

―粉末材料で広がる用途と今後の展開
最近ではダイヤモンド粒子などの粉末材料の成膜の用途で注目されています。これまでは金属製のワイヤーが主な材料でした。粉末材料を使うことで、ミクロン単位の薄い被膜に効果を発揮します。従来技術+粉末材料で、精密機械部品などさらなる用途の広がりが生まれています。これまでにない用途の開拓と、海外展開が今後の鍵だと考えています。現在、売上の20%が海外向けです。今年、タイに現地法人を設立します。タイからアジアに製品販売と賃加工業務を積極展開していきます。


推薦者のコメント(株式会社チェンジマスターズ 法貴 礼子) 青嶋社長が前職時代にお客様から要望された声から出来上った製品です。豊田工業大学で放電加工技術をゼロから研究されたそうです。溶接・肉盛用のレーザー加工機はほとんどヨーロッパからの輸入で、テクノコートは唯一の国内メーカーです。まだまだ需要のある海外への拡販とメンテナンスユース以外での新たな用途開拓で、さらなる成長が見込めます。


※全文は「THE INDEPENDENTS」2011年10月号 - p38にてご覧いただけます