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「商標権の取得(7)」

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弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士 幸谷 泰造 氏

2003年東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻修士課程修了後、ソニー(株)にて、ソフトウェア開発業務に従事。その後企業内弁理士として、国内外の特許権利化や特許侵害に関する業務等に従事した後、現職。

【弁護士法人 内田・鮫島法律事務所】
所在地:東京都港区西新橋1-20-3 虎ノ門法曹ビル701
TEL:03-5511-6211(代表)
構成人員:弁護士19名・スタッフ10名
取扱法律分野:知財・技術を中心とする法律事務(契約・訴訟)/破産申立、企業再生などの企業法務/瑕疵担保責任、製造物責任、会社法、労務など、製造業に生起する一般法律業務
http://www.uslf.jp/

1.今回のテーマ
 今回は、新しいタイプの商標と、海外での知財の活用についてお伝えしたいと思います。

2.新しいタイプの商標
 今年の4月より、色彩のみからなる商標、音商標などの新しいタイプの商標の出願受付が開始されました。従来の文字や図形からなる商標の他に、様々な形で保護が図られることになりましたので、例えば自社を想起させる色や音などがあれば、商標権で保護するという戦略が可能になりました。
 以下は特許庁に出願された商標の一例です。いずれもどこかで見たことや聞いたことのあるものかと思います。

(1)色彩のみからなる商標の例

(2)位置商標

(3)音の商標
実際の音については、特許情報プラットフォームで出願番号を検索すると聞くことができます。

3.海外での知財の活用
(1)海外での商標登録出願の手続
 近年、海外へのビジネス展開を図る中小企業が増加しており、海外での知的財産権の取得についても考えていく必要が高まってきています。特に商標についてはいかなるビジネスにとっても切り離すことができないものです。自社ブランド名の使用が海外ビジネスの障害とならないよう気を付ける必要があります。
 海外での商標権の取得については、日本における商標登録出願又は商標登録を基礎として、1つの出願手続で複数の国へ出願できる便利な制度があります。詳しくは専門家へご相談いただきたいと思いますが、海外へビジネス展開される際には、こういった制度をうまく活用して自社ブランドを保護していくことが望ましいでしょう。

(2)海外での画像デザインの保護
 日本におけるソフトウェア画像についての知的財産権による保護は、現状では制限がありますが、海外では知財の制度が異なるため、意匠権で保護することができる国があります。特に米国においては広く認められていますので、IT関連企業等で海外でのビジネスを考えている場合は、ソフトウェア画像について積極的に保護を図っていくことが可能です。
 以下は海外での画像デザインの登録例になります。

※「THE INDEPENDENTS」2015年8月号 - p15より

【知財を活用した中小企業のブランド戦略第1回】商標権の取得(1)
【知財を活用した中小企業のブランド戦略第2回】商標権の取得(2)
【知財を活用した中小企業のブランド戦略第3回】商標権の取得(3)
【知財を活用した中小企業のブランド戦略第4回】商標権の取得(4)
【知財を活用した中小企業のブランド戦略第5回】商標権の取得(5)
【知財を活用した中小企業のブランド戦略第6回】商標権の取得(6)