「【PicoCELA㈱】広域無線通信技術ベンチャーの知財戦略」
公開
<聞き手(右)>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
代表弁護士 鮫島 正洋さん
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。
<話し手(左)>
PicoCELA株式会社
代表取締役CTO 古川 浩さん
1970年1月20日生。福岡県立鞍手高等学校出身。1992年九州工業大学卒業、1998年九州大学工学博士、NECを経て当社設立。九州大学教授(大学院システム情報科学研究院)。PicoCELA無線技術のIPRホルダー。
<PicoCELA(ピコセラ)株式会社 会社概要>
設 立:2008年8月8日
資本金:10,000千円(株主:経営陣)
所在地:福岡県糸島市東1963-4 社会システム実証センター
事業内容:①スモールセル向け無線バックホールシステムの研究開発ならびにライセンシング
②同無線バックホールを活用したアプリケーション開発
広域無線通信技術ベンチャーの知財戦略
鮫島:特許をベースにしたライセンスビジネスは、技術開発型ベンチャーの重要な経営戦略になっています。
古川:当社は、WiFi利用による広域無線中継(バックホール)技術を核に、出願中も含め数十件の特許を保有しています。事業会社へのライセンス提供等で、前期売上は約85百万円になります。
鮫島:それは技術力や独創性はもちろん、WiFi通信のコスト優位性が市場から評価されているからだと思います。しかしライセンスビジネスだけではビジネス展開に限度があります。
古川:当社は単純にライセンスを提供するのではなく、周辺ソフトウエア技術をハード(スモールセル端末)にポーティングするビジネスを展開しています。
鮫島:ソフトウエアやノウハウはブラックボックス化すべきですが、顧客を説得するにはプロトタイプは必要です。
古川:現在は福岡天神地下街のWiFiアクセスポイントに導入されています。今後はセンサーネットワークシステムへの展開のため、プラント、工場、倉庫などへの導入事例を増やしたいと考えています。海外企業へのライセンス提供も計画しています。
鮫島:海外で特許を権利化するには、PCT国際出願しても現地手数料や翻訳料など1カ国毎に約200万円の費用負担になります。
古川:弊社の事業モデルをより強固にするためには、知的財産権の補強が何よりも重要と考え、そのための資金調達を検討しています。
鮫島:大企業では知財部があり、特許をビジネスに如何に活用するかを管理しています。しかしベンチャー企業には、特許をビジネスに活かすリソースが不足しています。私どもは中小ベンチャー企業の知財部として、コストパフォーマンスを考えた特許の取得や、ライセンスビジネスの仕組みづくりなど、知財戦略をアドバイスいたします。もちろん英文を含む契約書のリーガルチェックも行います。まずはお気軽にご相談ください。本日はありがとうございました。