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「税務コーポレートガバナンスを考える」

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株式会社SKC&堀内税理士事務所
代表取締役・税理士 堀内 章典 氏
昭和54年3月学習院大学経済学部卒業後、東京国税局採用。33年間、国税局及び税務署に勤務(うち特別国税調査官7年,東京国税局資料調査課6年、税務大学校3年など)。平成24年9月税理士開業、株式会社SKC設立。平成26年3月相続税専門サイト”東京新宿相続サロン”開設。

【株式会社 SKC & 堀内税理士事務所】
所在地:東京都新宿区四谷3丁目9番地 慶和ビル603
Tel:03-5363-5580  FAX:03-5363-5581

■ オフィシャルサイト(企業の税金についての情報が満載)
http://skc.jp.net/

■ 相続税専門サイト(相続税対策の情報が満載)
http://souzoku-salon.net/

【小説】『東上野税務署の多楠と新田』~税務調査官の思考法~
https://profession-net.com/professionjournal/reading-73//
*毎月絶賛好評連載中(税務会計web情報誌Profession Journal )

■ 税務リスクは管理する時代
昨年10月わが国有数の一流ホテルが1億3400万円の所得隠しをしたとして、重加算税を含む5千万円を追徴されたという報道がありました。“ブランドを大切にする一流ホテルが5千万円くらいの税金を誤魔化すなんて”と世間一般の人々は思うでしょうが、税金を誤魔化そうとしなくても一定の税務リスクがあると税務調査において所得隠しとして認定され、重加算税が課されるケースがあるのです。このケースも新聞報道を読む限り、税務リスクに対する認識の甘さがもたらした結果のように見えます。税務リスクは経理部門など関係する部署が認識していれば良いというものではありません。このホテルの場合、遅れていた耐震工事を何とか決算年度内に終了したかのように工事部の方で処理したことが、国税局の調査において仮装行為による過少申告に当たり、所得隠しとして認定されたのです。

■ 税務コーポレートガバナンス
近年、企業のコンプライアンスやコーポレートガバナンスが厳しく求められるようになりました。特に上場企業に対しては、一層高度のものが要求される時代になっております。この傾向は税務の面でも同様で、国税庁では本年3月決算を迎える全国の各国税局が所掌する全企業約3万社を対象に、“税務リスクに関する自主管理”を推奨し、今後企業の税務面でのコーポレートガバナンスを重視していく方針を打ち出しました。具体的には、企業側に税務リスク管理を自主的に行わせることで、税務申告時に申告書の自主点検と税務上の自主監査を促し、“税務リスクに関する確認表”を提出させることで良好な企業の調査サイクルに対しては、今まで3年に1回の調査サイクルを5年に1回にするといった調査運営を考えているようです。国税当局は、これにより今まで税務リスクを良好に管理している企業に投下していた調査の事務量を、多額の不正が潜在している企業に振替えることにより、限られた調査事務量の中で適正公平な課税の実現を図っていくという狙いがあります。一方企業側にも次のようなメリットがあります。
①加算税等を含む多額の税金の追徴を未然に防止
②税務調査に対応する事務量削減や精神的苦痛の緩和
③マスコミ報道など、企業価値を著しく損ねる事態の回避
これからは、企業全体が税務リスクを常に認識し、企業側の自主監査や改善を図っていく時代が来たことを意味しているのです。

■ 今後の対応
これからIPOを目指す企業にとっても、税務コーポレートガバナンスは軽視できない存在になります。毎期利益を計上していく過程で、税務調査を避けて通ることができないからです。まもなく国税庁から公表される予定の“税務リスクに関する確認表”をもとに、国税局所管の企業が一斉に企業全体を挙げて税務リスクの自主管理・改善を行う作業がスタートするものと思われます。ついつい税務に関する取組みは後回しになりがちですが、冒頭紹介したホテルのように対応が遅れることにより生じる企業へのダメージを回避するためにも早目の対応が今求められていります。

■ 当事務所のサポート
堀内税理士事務所では、特別調査官をはじめとする長年の国税の職場で培った知識と経験を活かして、IPOを目指す企業の税務面でのサポートを積極的に行ってまいります。調査現場で経験した者でしかできないような視点とノウハウを駆使して、効率的かつ効果的な税務リスクの自主管理、改善策の考案、企業内の税務コンプライアンス体制の構築など、様々なプログラムを提供してまいります。

■ 株式会社SKCのサポート
代表の堀内が元特別調査官時代に調査で接触した企業は、そのほとんどが毎期継続して利益を出している企業でした。その経験値から導いた“利益の出る企業”の数々の典型的なパターンを踏まえ、企業のニーズと実態にマッチしたビジネスモデルの構築等をしてまいります。また、弊社事務所では、その他、事業承継、起業家支援事業など様々な形での税務・経営コンサルを提供しております。

※「THE INDEPENDENTS」2015年4月号 - p17より