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「NED(日本エンタープライズ・デベロップメント)の人たち」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年(株)インディペンデンツ設立、代表取締役就任。


1972年に設立されたエヌイーディー(株)(日本エンタープライズ・デベロップメント)は、独自スキームのワラント社債による事業承継対策の提案で、多くの中堅企業の株式公開を支援しました。当時は日本合同ファイナンス(現・ジャフコ)の強烈なライバルでしたが、親会社だった日本長期信用銀行の経営破たんで、安田火災海上保険(現・損保ジャパン)と安田生命(現・明治安田生命)が設立した安田企業投資(株)がベンチャーキャピタル部門を買収、特別清算してその歴史的使命を終えました。

1999年からの安田企業投資(YED)は、旧NEDから移った多くの投資部員が中心となって、積極的な投資活動を始めました。ちょうどマザーズ市場が設立されIT業界が急成長する時期で、創業間もないベンチャーへの投資機会が増えました。創業期ベンチャー投資には、事業立ち上げを支援する機能の強化と投資リスクヘッジが必要です。そこでYEDは他のVCとの協調投資を積極的に進めていき、その結果、YEDの人たちを中心にベンチャーを応援するネットワークがどんどん広がっていきました。「一人でも多くの人と一緒に、1社でも多くの公開会社を育てる」というインデペンデンツクラブの原点はこの時にあります。

2012年、投資環境及び株式市況の悪化によりYEDはベンチャーキャピタル事業の縮小を決定、新規のベンチャーファンド設立を中止しました。YED投資部門にいたベンチャーキャピタリスト全員が同社を去ります。現在、旧NEDの人たちの多くは、VCや投資先企業、ベンチャー支援分野で活躍しています。ベンチャーキャピタリストに必要な事は経験と人脈ですが、ベンチャー企業に寄り添う気持ちも大切です。

※「THE INDEPENDENTS」2015年3月号 - p2より