「息吹始めたベンチャーコミュニティの新しい芽」
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國學院大学
教授 秦 信行 氏
野村総合研究所にて17年間証券アナリスト、インベストメントバンキング業務等に従事。
1991年JAFCO に出向、審査部長、海外審査部長を歴任。
1994年國學院大学に移り、現在同大学教授。1999年から約2年間スタンフォード大学客員研究員。
日本ベンチャー学会理事であり、日本ベンチャーキャピタル協会設立にも中心的に尽力。
早稲田大学政経学部卒業。同大学院修士課程修了(経済学修士)
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ベンチャーコミュニティは、一昨年あたりからICT産業を中心に、2000年代前半に続いて再び本格的な活況局面に入っているようだ。ベンチャーキャピタル(VC)投資についてVEC(ベンチャーエンタープライズ)の統計を見ると、2013年度は1,818億円、前年度比77%増と大幅な増加となった。2014年は第3四半期までの速報値しか得られないが、それによると2014年の第1四半期~第3四半期で投資額は1,209億円、前年比6%の増加であった。昨年のVC投資額の大幅な伸びは海外投資の増加によるところが大きかったが、日本での投資に限っても45%増であった。今年の第3四半期までを見ると国内は前年比10%増となっており、好調は持続している。
VC投資については、昨年の半ばあたりから既にバリュエーションの高騰がキャピタリストの間では話題になり、高値警戒感も出始めた状態にある。その意味でも投資の活況が裏付けられる。
新規株式公開(IPO)会社も大きく拡大した。2014年の新規上場企業数は77社(東京プロマーケット市場を含めると80社)、2013年の54社を大幅に上回った。特に昨年12月には28社が上場し、審査のキャパなどを考えると月間では限界に近いのではとも言われた。
確かに、現状ベンチャーコミュニティは量的に見て、本格的に新たな山を築きつつあるといってよかろう。しかし、より注目したいのは、質的な面での変化である。
質的変化の第一は、既にこのコラムでも触れたが、日本の大企業がベンチャーにより関心を持ち、何らかの連携を模索し始めたことである。
話は少し飛ぶが、1月上旬にラスベガスで開かれた米家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に関する新聞記事を読むと、欧米勢は今話題の「IoT(インターネット・オブ・シングス)」というインターネットとの接続の技術に最大の関心を持っている。それに対して日本勢は、まだまだ個別製品に拘り、その改善・改良に力を入れているという。さらに、個別の技術は優れたものを持っているのに、個々の企業、研究者が独りよがりで繋がっていないため、それを活用するアイデアがなかなか出てこない。
しかし、日本企業もようやくその辺りの問題に気付き、他企業との連携、特にIoT分野で技術力のあるベンチャーとの連携や提携を考え始めているようだ。企業内VCであるCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の新設やVCファンドへの出資など増えているのはそのあらわれと言ってよかろう。
第二に、これも既にこのコラムで触れたが、新しい若い起業家とその支援者であるベンチャーキャピタルが出始めていることである。彼らは優秀で、それぞれが良く勉強もしており、意識も高いと感じられる。今までであればベンチャーコミュニティに目を向けることなどなかったような若者達がこの世界に目を向け始めている。彼らが継続的に関心をもって活躍してくれることを期待している。
※「THE INDEPENDENTS」2015年2月号 - p16より