「日本で頑張る専門家にもっと輝いてほしい」

地域メディアと連携して街の専門家のブランディングを支援する。
「こころに響くサービス」をインターネットで追求する起業家。


―貴社の事業内容を教えてください
私たちはwebブランディングを核に、専門家紹介サイト「マイベストプロ」運営と、大手広告代理店を通じたwebインテグレーション事業を行っています。

―専門家紹介サイト「マイベストプロ」について教えてください
地域の専門家・プロを紹介するインターネットのポータルサイトです。一般消費者に対して、弁護士・税理士などの士業や、医者・スクール・建築関係などの専門家を紹介するタウンページ的な存在です。現在の登録専門家は約2400名で、地域別では東京、大阪、神戸が約200名と最も多く、平均60名です。

―全国各地の新聞社やＴＶ局とタイアップしています
神戸新聞とは「マイベストプロ神戸」、九州朝日放送では「マイベストプロ福岡」というように、各都道府県の地域メディア毎にサービス展開しています。「マイベストプロ」は電通および私どもの登録商標であり、地域メディアとの共同事業です。

―各地域の新聞社と組む目的は何ですか
インターネットの欠陥である信頼性を補完するためです。各地域メディアの広告審査をクリアした専門家は「新聞社ブランド」「テレビ局ブランド」を背景に、消費者に対して信頼性ある情報を発信できます。地域メディアの記事や番組で、登録専門家の意見が紹介されるケースもあります。

―パーソナルブランディングが事業コンセプトです
ブランディングとは、差別化ポイントを明確にして、それを世の中に認知させる事です。せっかくの良い商品やサービスもその魅力が伝わらなくて淘汰されるケースがあります。特に知名度の低い中小企業や個人事業主にはファン作りのためのアウトプットが重要です。

―「マイベストプロ」の収益モデルを教えてください
登録専門家からは月額1万円の会費をいただき、地域メディアとレベニューシェアいたします。登録専門家に対しては弊社マーケティング担当者が対応致します。関西と関東地区は毎月訪問、他地域は電話対応によって、ブランディングやネット利用についてコンサルしています。

―登録専門家にとっての広告効果は十分あがっているのでしょうか
現在の会員継続率は約80％ですが、対応人数を増やし継続率95%を目標としています。ポータルサイトでは、専門家による解説コラムや時事コラムを掲載してページビューを増やしています。また「ヤフー知恵袋」とも提携して、登録専門家の知名度アップも図っています。

―事業立ち上げ5年で全国展開しました
黒字転換まで時間がかかりましたが、積み上げ型の収益基盤は作れました。今後は、HP制作、電話代行、コラム作成などのオプションメニューを増やし収益拡大を行います。ただそれらオプション全部でも最高で月額5万円以内に抑えます。

―競合対策についてはどのようにお考えですか
満足を超える感動を提供し続ける事が、競合に対する最大の参入障壁になります。地域メディアとの提携でプロモーション費は抑えられます。サービスクオリティに関しては、webインテグレーション事業で培ったノウハウが活かせます。月額1万円を下回る価格で弊社以上のサービス提供継続は難しく、実際に撤退する大手ネット企業がありました。

―起業はいつから考えていたのですか
30歳までには起業したいと思っていました。画家でありながら貸し絵事業を始めた祖父の影響です。ただ当時は最低資本金10百万円の時代でしたので、まず銀行に就職し金融の世界を勉強し、次に外資系航空会社へ転職しパーソナルブランディング事業の会社を設立しました。

―設立2年目にVCからの資金調達に成功しています
資金があっても知識がないのでずっと赤字続きでした。いくつもの失敗を繰り返し、ようやく軌道にのってきたのが7年後の2009年です。その間、リードインベスターだった日本アジア投資の担当者には追加出資だけでなく、他のVCにも同行して資金調達を助けていただきました。2008年のリストラ最中時には、池田泉州銀行と三井住友銀行から追加融資をいただきました。関西にこの恩を返さなくてはと思っています。

―2017年の株式上場を目指しています
「マイベストプロ」サービスを通じて地方や日本の活性化に貢献したいと考えています。英語版マイベストプロを作り、外国人に日本各地の優れた商品やサービスを紹介するブランディング事業を行っていきます。専門家ポータルサイトも前例がなくて成功するかわからない事業でしたが、自らチャレンジしてそれを証明していきます。

―企業理念は「“こころ”が感じられるサービスを提供する」です
事業を興した時から企業には目的、すなわち企業理念が必要だと思っていました。私の最大の失敗は価値観を同じにするヒトを集めなかった事です。私たちは単なるインターネットサービス企業ではなく、“こころ”が感じられるサービスを提供し、全社員の幸せと共に世の人々の幸せを追求し続けます。今は毎週、社内勉強会を行っています。

※「THE INDEPENDENTS」2015年1月号 - p4-5より