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「介護に関わるすべての人が必要な情報を見つけられるようにする」

公開


【代表取締役 鹿野 佑介】
1984年10月13日生。APU(立命館アジア太平洋大学)へ入学。卒業後はワークスアプリーションズ社、東証一部上場企業人事部にて勤務後、2013年当社設立、代表取締役就任。

【株式会社ウェルモ】
設 立 :2013年4月30日
資本金 :25,250千円
所在地 :福岡市博多区博多駅東1-17-1 福岡県福岡東総合庁舎4F
事業内容:介護福祉事業向けプラットフォーム「ミルモ」の開発販売
http://www.welmo.co.jp/

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ITリテラシーの低い介護福祉業界のソーシャルリソースプラットフォームを構築する。
福祉問題解決とベンチャー支援に熱心な福岡市で創業した起業家。


―福祉情報システム「ミルモ」について教えてください
私たちのビジネス基盤は福祉ビッグデータの収集です。ケアマネジャーに無償でタブレットを配布し、介護施設よりwebサービス利用料を獲得するクラウドシステムです。介護業界における情報共有手段は未だに電話やFAXなどのアナログ手段が主流で、適切な福祉サービスを一般市民が選択できないという現実があります。

―「ミルモタブレット」の特徴は何ですか
ケアマネジャーは120項目以上の検索項目からの事業所検索や写真閲覧によって、最適な介護施設やサービスを介護利用者のお宅にて紹介できます。また介護保険計算や介護行政からの最新情報も取得できます。新人もベテランも同じ情報が共有できる教育システム的な側面もあります。

―CRMシステム「ミルモプロ」について教えてください
通所介護事業所、住宅型有料老人ホーム、サービス付高齢者住宅の方にご利用頂く経営管理・営業支援ツールです。周囲のケアマネジャーの方が持っているタブレットにタイムリーに編集内容を反映することや自事業所の認知度情報、他事業所との比較稼働率をグラフで確認することができます。利用料金は1ヶ所月額3,000円~15,000円です。

―介護情報サイト「ミルモプラス」もリリース予定です
「ミルモタブレット」「ミルモプロ」と連動して、地域特化型の介護従事者向けポータルサイトを今冬開設します。

―現在の「ミルモ」ユーザーやクライント数はどれくらいですか
リリース開始11ヶ月で福岡市内のケアマネジャー218事業所(シェア58%)、包括支援センター37事業所(シェア95%)、介護事業所110ヶ所(シェア27%)です。NHKクローズアップ現代で紹介された事で、千葉、横浜、川崎、神戸、札幌など県外の業者からも問い合わせが増えています。

―今後の営業戦略はどのように行っていきますか
東京23区内の介護事業所9,031ヶ所に対しては、介護事業所にアプローチしたいベンダーとのアライアンスで新規開拓します。私たちは保守運用サービスを行い、月額利用料や広告販売のレベニューシェアを考えています。

―公共・自治体向け業務効率化サービスも行っています
現在の売上40%は自治体向け福祉分野におけるコンサルティング業務です。福祉分野の窓口業務の質の向上や市民への情報提供におけるROI改善に、相談業務支援システムの介護分野のビッグデータ活用による政策策定用根拠データを開発しています。

―創業メンバーは人事基幹システムのワークスアプリケーションズ社の出身です バックグランドは福祉分野とは関係ありませんが、仙台から福岡までの介護事業所で、ボランティアと介護現場の方へ8ヶ月間、900時間にわたるインタビューを行い「ミルモ」を開発しました。人事システムと同様に、要件定義が数値化しづらい定性情報が主である点は前職の経験が活かせています。

―APU(立命館アジア太平洋大学)のご出身です
学生の半分以上が海外からの留学生であるAPUでは、学生投資サークルを立ち上げたり、日銀金融広報委員会とコラボして高校生への投資教育を行なったりしていました。就職はフラットな組織が自分に似合うと考え、コンサルタントの道を選びました。

―福岡はベンチャー企業の活発な地域です
介護業界や行政関係の方も非常にオープンで「ミルモ」構想段階から積極的に支援いただきました。福岡には縁もゆかりもありませんでしたが、ごく自然な形でここで起業しました。佐賀銀行には地元VCのドーガンを紹介いただき資金面でもサポートいただいています。

―介護現場でのボランティア経験が起業のきっかけです
2025年に介護福祉費21兆円と言われる一方で、介護福祉現場には上場企業と比べ間接業務やもったいない時間が多いと感じました。介護福祉分野のIT化は難しく誰もやりたがらない分野です。だからこそやる価値があると思っています。競合他社は現在見当たりません。

―社員の8割が東京から引っ越してきています
私たちは社会問題解決型のソーシャルベンチャー企業です。六本木の大手IT企業や大手金融機関で活躍していたメンバーが、「福祉分野の情報活用を次世代の水準へ」という理念に共感して、前職の給料の40%オフでも集まってきてくれました。

―将来ビジョンについて教えてください
福祉における社会資源を見える化し、福祉事業者・行政・一般市民がしっかり選べるようにすることが「ミルモ」の目指すところです。介護業界の課題である生産性、労働環境、人材不足を改善することで介護サービスの質の向上にも貢献していきます。

※「THE INDEPENDENTS」2015年1月号 - p6-7より